「みかげ、撫でてほしか」



「ふふっ、いいよ」



わたしは千歳の要望通りに、彼のふわふわした髪をゆっくりと撫でる



この男、千歳千里はいつもふらふらしていて全くつかめない



でも好き、大好きなの










「あ、千歳だ」



裏庭を通りかかると、偶然にも千歳を見かけた



「ちと、せ…」



声をかけようとして、わたしは息をのんだ





「これで、最後たい」



ガッ



なんと、千歳がそう吐き捨てながら倒れている男子生徒を乱暴に蹴っていたのだ



「ひどい…」



驚きすぎて、わたしは立ち尽くすことしか出来ない





「みかげ」




「…!」




わたしに気付いたららしく、笑顔で近付いてくる千歳



足が、ガクガクと震える




「今見たこと、白石には言わんといてほしか」




言ったらただじゃすまない、ということだろう



わたしは恐怖心に襲われながら、首を縦に動かした





「みかげは、いい子ばい」




「……っ、あ」



耳を甘噛みされたかと思うと、そのまま草の上に押し倒された



制服をだんだん剥ぎ取られ、身の危険を感じるわたし



「ちと…せっ」



泣きながら、彼の名を叫ぶ



こんなこと、止めて…




すると、


「みかげは俺んこと、好いとるけん

嫌なはずなか」



普段の、のほほんとした彼からは想像もつかないような冷たい声で千歳は言い放った




「…違うっ」



わたしが好きなのは、いや、好きだったのは



「わたしはっ、いつものふわふわした千歳がっ」



涙ながらに訴えていると、
千歳はさよか、と呟いて行為を再開し出した



「やだっ、止めてっ」



暴れる私を押さえつけるように千歳は唇をふさいだ



「みかげはむぞらしかね」




「っ、千歳……?」



わたしは、目を見開いた





千歳が泣いていたから




どれが本当のあなた?















20120311

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