「ざいぜーん、日向ー!」
2日目のプール掃除が(最悪な雰囲気のまま)終わり、片づけをしてプールから出たところで、オサムちゃんが小走りでやってきた
「げ、オサムちゃん・・・」
「げ、とはなんやみかげー!!
せっかく頑張る二人にアイス買って来たんにー…」
確かに、よく見ればオサムちゃんの手に握られているのは、コンビニのビニール袋
「うっわ先生おおきにー、愛しとるで!」
そういいながらわたしはビニール袋を奪い取った
「心変わりはやっ!」
「俺は愛してるとか言わへんで、でもおおきに」
「財前がめずらしく素直やな…
じゃぁ仕事に戻るわ〜、後はお若いお二人さんで仲良うしてな〜」
オサムちゃんはニカっと笑って、校舎内へ戻っていく
「オッサンみたいなこと言っとる…」
「あのひとオッサンやからな」
でも、あんなオッサンでいいからいて欲しかったんやけど財前と二人で仲良くアイス食べるなんて、気まずすぎや
よし、早いとこ食べて帰ってしまおう
そう決心したわたしは、アイスを夢中で頬張った
「その食べ方、女子としてどうなん」
財前がまた人を馬鹿にしたように笑うので、わたしは無視してアイスを食べ続ける
「なぁ日向」
「‥…」
「ピアス、いつから開けとるん?」
「・・・つい、こないだや」
「ふーん、日向って結構不良やねんな」
「アンタに言われたかないわよ、入学してきた時からピアス開けてたくせに」
学校に入りたての頃、財前はずいぶんと噂になったものである
それに、今よりもっとツンツンしとったような・・・
わたしは、一年前をふと思い出してみる
―――――アイスが溶けていることも気づかずに
「アイス、溶けとるで」
財前の声がしたかと思えば、
わたしのアイスの溶けかかっていた部分が、彼によって舐めとられてしまった
「え、っ‥ちょ!!!」
あたふたするわたしに、平然としながら
「はよう食べな、また溶けてしまうで」
と言い、アイスを食べ始める財前
永劫スローモーション
財前の舌がわたしのアイスを舐めた瞬間の厭らしさが
目に、こびりついてしまった
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あれ・・・?
ヒロインが変態に、あれ?