点火した胸、されど



図書館はきっと涼しいから



ただそれだけの理由で、日差しからスピードスターの名のごとく図書館に逃げ込んだ



「…はぁ、やっぱ涼しいな」



俺はそう呟きながら、辺りを見渡す



周りには当たり前だが、本、本





昔から読書というものが大嫌いな俺にとっては縁の無い場所




「テニスの本、あったりしてな」



そう思い立ち、図書館を歩き回るが一向にテニスの本は見つからない



やっぱり俺には図書館は合わん


早いとこ出よ




そう思った瞬間だった




「何かお探しですか…?」




天使のような声が、聞こえたのは




「……っ!」




俺はその声の主を見て、絶句してしまう



「すいません、違いましたか…?」



不安そうに眉を下げるその人に、慌てて俺は弁解をする




「まっ、間違いやないです!

本を探してます!」



(あんたが美しすぎて何も言えなくなっててん!)


そんなこと言えるはずもなく、とりあえず俺は息を整える





「テニスの本って、どこにあります…?」





点火した胸、されど



アカン



涼むために入った図書館なんに、身体熱すぎるやろ



Tシャツで軽く汗を拭いてから、テニスの本の場所に案内してくれるらしい司書さんの後を、俺はそっと追いかけた







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司書さん×謙也さんは、化学反応が起きると思うの…


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テーマ「人外ファンタジー」
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