01


廻る巡る、ただ俺は記憶を抱えたまま何度も違う体、違う『俺』で繰り返し続ける
いつから繰り返しだしたのか分からないけれど、頭の中にはたった一つ
「青峰っちに好きって言う。」
たったその一言だけが渦巻き続ける
どうか今度の世界では会えますように
もう、無為に死ぬのは疲れた
早く、早く、彼に伝えてしまいたい
どこにいるの?
どこに行ってしまったの?
きみは、今どこにいるの?

「あれ?モデルの黄瀬クンじゃんww」
始まりは唐突で、それでも

【君を好きになるのは運命で

「黄―瀬っ!」
そういって名前を呼ばれた先には俺のあこがれてる、大好きな人の姿
「青峰っちっ!!」
此処の所モデルの仕事に呼ばれすぎてあまりのんびりと彼との時間を過ごす事が出来ていなかった俺にとってはうれしい誤算。
振り返った先にいた笑顔の彼の元に駆け寄る
「どうしたッスか?」
そういって彼が尋ねると青峰はいつものように髪をワシャワシャすると俺様の表情で
「今日、久しぶりに時間あるって赤司に聞いた。練習、付き合ってやるよ?」
黄瀬の表情がかなり明るくなる
「ほんとッスか!!??1on1してくれるんっすか??」
背景音にキラキラという音が聞こえてこんばかりに笑顔を浮かべる黄瀬に青峰は
「まぁ相手になればの話だけどなww」と茶化す
「ひどいっすよ、青峰っち!」
「どうせ体なまってんだろ?w」
「うぐ…それでもすぐに戻るっス!!」
「はいはい、体力だけは取り柄だもんなww」
「それ、体力バカの青峰っちにだけは言われたくないっすよ!!!」
「はいそこまで〜」
黄瀬の後ろに不意に大きな影が現れる
「紫原」
「紫原っち」
「あんまり教室のドアの所でいちゃいちゃしないの〜、後ろの子たちがすごく入りづらそうにしてるじゃない」
「あ、」
そういって黄瀬はその表情を慌てて申し訳なさそうな表情に変えて青峰の背を押しながらその場をどこうとする
「ごめんね?」
そういって僅かに頭を下げてそのまま行こうとする黄瀬の制服を後ろから紫原が掴む
「黄瀬ちん、どこ行く気、もうすぐ授業始まっちゃうよ〜?」
「え、まじっすか??」
心底残念そうな黄瀬の表情を見た青峰は笑いながら黄瀬の方向に振り返り彼にそっと耳打ちする
「・・・・・・・・な?」
そういって珍しく笑顔を浮かべた彼に黄瀬は真っ赤になって思いっきり青峰を殴ろうとするものの彼は舌を出して笑いながら去った後
ぷんぷんとしながら紫原と一緒に席に戻る黄瀬
「ほんとありえねー、あの変態!」
「黄瀬ちん、さっき峰ちんに何言われたの〜?」
「最低なセクハラ発言ッスよ」
ぶすくれた表情でそういうもののふっとその表情を緩め小さくつぶやく
「でも…幸せな事…っスよ」
そういって愛おしそうに片耳についているピアスを触る
そんな表情を見ながら紫原も少しだけ寂しそうにその姿を見つめる
「まぁ、黄瀬ちんが嬉しそうならそれでいいけど」
〜放課後〜
いつものように部活が始まって、キャプテン赤司による絶対王政の下での練習メニューをこなす
「よし、ここからは自主練に切り替える」
その声を合図に黄瀬は一目散に青峰の元に「青峰っち!!青峰っち!!1on1!!」
そういって駆けていく
これがいつものバスケ部の日常
変わらないバスケ部の日常
此処は帝光バスケ部1軍練習場所
途中から入部した黄瀬の進化に誰もが戸惑い羨み嫉妬は尽きなかったが、彼の持ち前の明るさや性格とキセキの守護があったおかげか今は彼を愛すべきわんこと認識している部員が多い
そして、すでにバスケ部員の中で知らないものはいないが青峰と黄瀬はそういう意味でいわゆるお付き合いというものをしている
そこに至るまでの過程は中々バスケ部員も思わず固唾を見守ってしまうような事もあったが今は黄瀬が幸せそうな表情をしている事で救われているのだろう
変わらずに青峰にデリカシーはなくしょっちゅう拗ねている黄瀬を見かけることはよくあるそうだが
そんな部活でも一部(特にキセキ)アイドルと化している黄瀬が久しぶりに部活に姿を現し楽しそうに青峰にバスケをせがんでいる
その姿はいつもの帝光バスケ部の風景で誰もがそれを当たり前のように受け止めて
「今日も相変わらず可愛いよな…」
「青峰さんも黄瀬の前だけじゃいい表情するようになったしな」
「黄瀬も幸せそうだしな…」
なんて囁く声とともに各個人での自主練が始まる
それは彼がまだ幸せまっただ中にいた時代のお話

そして、彼の運命は周回を始める】

「今度の練習試合だが、いつものメンバーでオーダーは決まっている、皆遅刻寝坊等しない様に」
その赤司の声で今日の練習が終わり、自主練居残り組メンバーである黄瀬、青峰黒子の3人が場所を変えて再びバスケを始める
「いつ見ても黒子っちのパスはほんとに綺麗っすよね〜」
そういって青峰にパスする黒子の姿やボールを目で追いながら黄瀬はそう呟く
「テツとは、バスケしかあわねーよなww」
「本当に驚くぐらい他はあいませんよね」
「あははっww黒子っちストレートww」
「青峰君なんてこんな扱いで十分です」
「おいテツ、お前なぁ…」
呆れたように彼を見る青峰
それから不意にこちらを振り向くと黒子が微笑む
「黄瀬君バトンタッチです、疲れたので休ませて下さい」
そう言った黒子とバトンタッチのハイタッチを交わして黄瀬と黒子が入れ替わる
青峰はわずかにその雰囲気に鋭さを増すと目を細めて
「黄瀬、もういけるよな?」
「もちろんっスよ!」
そして彼らの1on1が始まる
それを見ながら黒子はすぐそばに来ていた桃井に声をかける
「桃井さん」
「お疲れ様、テツ君。またやってるんだねww」
彼女の視線の先には訳の分からないフォームでシュートを決めては黄瀬にもう1回!!といわれてバスケをする彼らの姿
彼女と黒子は微笑みながら二人のバスケを見守る
「黄瀬君、だいぶ上達しましたよね…」
「きーちゃんの進化には目を見張らされるよ」
「それに、悔しいですがやはり青峰君と1on1しているときの黄瀬君は楽しそうです」
「大ちゃんもそうだよね、普段のバスケしてる時より、ちょっとだけ優しい表情をしてるもん」
「黄瀬君、幸せになってよかったですね…」
「一時はどうなるかと思ったもんねww」
「流石に青峰君を本気でイグナイトしよう と心に決めてましたよ、赤司君なんか笑顔なのになんか黒かったですし」
「でもそれでも、こうやってバスケして、一緒に泣いて笑って、落ち込んだり楽しんだりする相手決めたんだよね」
「どこがいいのか…なんて彼の相棒やってる僕からしたら聞くのはおかしい気もしますが」
「ふふっwwテツ君も、結構大ちゃんの事気に入ってるもんねww」
「茶化さないでください、それに僕が好きなのは彼のバスケに対する姿そのものですよ、それに…」
「それに?」
「分かっているとは思いますが、黄瀬君の事キセキの皆と同様に大切ですから。」

「聞こえてんぞ―テツ!たまには俺にも言えや!!そう言う事!」
と、目の前でちょうどボールをリングにくぐしたらしい青峰の姿
「だぁぁぁぁぁッ!!??もうなんであれで入るんッスかぁぁぁぁ!!!!もう1回!!」
地団太を踏みながら彼の元に寄ってくる黄瀬に青峰は桃井が持っていたタオルを受け取ると
「ちょっときゅーけいしろ、バカ、お前体にがたくるぞ?」
そう言ってふんわりと彼の頭の上にタオルを落とす
「もー!!青峰っちに負けっぱなしいやっスヨぉぉぉ!!」
「うっせーな、今までお前かってね―だろーがww」
「今回はいける気がしたんス!!!」
「いつもおんなじこと言ってんじゃねーかwwとりあえず、いったんきゅーけいな。言う事聞け。」
「ぶ―…」
そういいながらも体育館の床にねっ転がった青峰のすぐそばに腰かける黄瀬
「あー疲れた―」
「なんであれでシュートはいるんっすかぁ…」
「しらねーってww」
「もー・・・」
(桃井さん、これ僕ら忘れられてますよね)
(いつもの如くのいちゃいちゃタイムね(呆れ)
(どうしましょうか、そろそろ暗いですし、女性には厳しい時間でしょうからなんなら僕が送りますよ?)
([まじか何このチャンス、ありがとういちゃいちゃ万年夫婦!!]あ、ありがとう、でもテツ君、平気?疲れてるなら…)
(女性一人送るぐらいの体力は残ってますよ)
([テツ君ジェントルマン過ぎて死ねるっ!!可愛いのに!!見た目こんなに可愛いのにっ!!])
(?どうかしましたか?)
(ううん、なんでもないよ)
そう言って二人は静かに立ち上がると扉の方に近寄っていく
「…!あっ!!黒子っちたち帰っちゃうんスか!!?」
(黄瀬君(きーちゃんに見つかった)orz)
「もうそろそろ時間も時間ですからね…女性には危険ですし」
「あー、もうそんな時間っすか。じゃぁ青峰っち今日は黒子っちたち送ってこ!!」

「「え(゜д゜)!!??」」
「はぁ!?なんで送ってかなきゃなんねーの!!??」
「だって、今日結局黒子っちとあんまり話せてないし、桃っちと黒子っちってむしろ・・・ね?」
「っ!!!」
「え??青峰っちなんで顔そむけたのっ!!??え、ちょ、青峰っちってば―っ!」
「天然って怖いですね…」
「きーちゃんの小首かしげる姿は…そこらの女子より破壊力がね…」
「うっかり写メってしまいました…」
「きーちゃんの写メ画像だけどんどんたまっていくねww」
「黄瀬君が可愛いのがいけないんです、僕は悪くない」
「(そんなテツ君が可愛いですぅぅぅぅ!!!!)う、うん、そうだねww」
とまぁ、そんなこんなで結局一緒に帰る事になった4人
「青峰君ざまぁm9(^Д^)プギャー」
「大ちゃんざまぁm9(^Д^)プギャー」
「うるせっ!!ったく、あいつの頼みじゃなかったら聞いてねーよ」
「でも、青峰君出来る限り桃井さんの事は気をつけてあげないといけませんよ?」
「はぁ?なんでだよ?」
「最近噂を聞きました、どうやらここら辺にたちの悪い恋愛がらみの悪霊が出没するとかで」
「さつきに恋愛とか関k「だいちゃぁぁぁぁん?(氷の微笑発動)」
「……俺だけ仲間外れっすか?(´・ω・`)」
「違います黄瀬君、むしろ仲間はずれは青峰君です!!」
「そうよ、き―ちゃんは私達と楽しくおしゃべりしながら帰ろう!!番犬は後ろ!!」
「番犬って何だこら!!おいさつき!」
「あは はっwww青峰っちが犬だーwww」
「黄瀬、本家わんこが何言ってるんだ!」
「あ、本家わんこって何スカー!!(`Д´)ぷんぷん」
「黄瀬君番犬が後ろでほえているだけです、さっさと帰りましょう」
「そうだよ、きーちゃんに夜道は危ないよっ!!」
「いや、それむしろ桃っちや黒子っちじゃないっすか??ほんと、気をつけるんっすよ?」
「も―きーちゃん優しい!!どっかの馬鹿ガングロとは大違い!!」
「さぁ〜つぅ〜きぃ〜?」
「大ちゃん、悔しかったらとり返してみろ―だww」
「…(ぶちっ)」
「おい黄瀬、お前のとなりは誰のもんだっけ?」
「へ?」
不意に後ろに引っ張られた黄瀬、気付けばすっぽり青峰の腕の中
そう言って意地悪そうに微笑むと彼の額に軽くキスを落とす
「黄瀬?お前の隣は?」
「っっッ!!!!/////」


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