23


やがて
「黄瀬」
そう呼ばれて、黄瀬は振り返る
「もう、大丈夫っスか…?」
心配そうに青峰を見て尋ねる
青峰は無言でうなずく
「もう、青峰っちに、抱きついても、いい…?」
黄瀬の声は震えていた
青峰はその言葉に虚をつかれたように黄瀬に視線を合わせる
黄瀬は、泣いていた
「ったく…ほんと、お前って泣き虫だよな」
そう言うと、青峰は黄瀬を抱きよせる
「ばーか。」
そう呟かれて黄瀬はその涙腺を崩壊させる
「うるさいっ…!!」
まさに大粒の涙を流し始めた黄瀬の額に青峰が額をあてる
キョトンとした黄瀬に青峰は微笑む
「悪かったな、俺も愛してるよ、黄瀬」
そう言って、黄瀬の唇に優しく口づけると、固まったままの黄瀬を再び抱きしめる
「っ・・・//////」
「顔真っ赤www」
「うるさい!!誰のせいだよっ!!///」
そうついた悪態にドヤ顔で答えを返される
「俺のせいだろう??」
「…っ!!ムカつくっ!!」
「でも、俺の事好きだもんな、黄瀬クンはww」
そう言って笑われたのと同時に黒子がぼそりと呟く
「青峰君こそ、黄瀬君が目を覚ますまでの取り乱し様半端なかったくせに…」
「テツぅぅぅぅぅぅう!!!??????」
「はーいじゃまものは退散しまーす☆」
そう言った桃井の声に緑間、紫原黒子、そして赤司が二人に声をかける
「黄瀬、今度こそ、幸せになるのだよ」
「黄瀬ちん、峰ちんにいじめられたらいつでも言ってね」
「黄瀬君、もうその手をはなしたら駄目ですよ??」
「大ちゃん、ちゃんときーちゃんに言ってあげるんだよ??」
「涼太、大輝。もう、お前達は幸せになっていいからな。今度こそ、僕達が、全力をかけてお前たちを守るから」
だから、”大丈夫”
そんな声が聞こえた様な気がして、黄瀬は再び嗚咽をあげて泣き始める
「青峰君、後は任せましたよ」
そんな声と同時に皆の姿が消える
「ったく、テツのやつ…」
「黒子っちっ…、緑間っちっ…紫原っちっ…桃っちっ…赤司っちっ…!」
「黄瀬ー、もう泣くなって。」
「俺っ…俺っ…」
「だ―、もう俺はお前と違って泣いてる奴のあやし方なんて知らないんだよっ!!」
そう叫ぶと頭をかきむしる
「それに…」
不意にその行為を辞めた青峰が少しだけ困った様に苦笑いを浮かべる
「俺は、お前にはあんまり俺以外の理由で泣いて欲しくねーんだよな」
「……っ!!ばっ!!//////」「お―馬鹿ですよ―、お前がずっと一人で俺のために頑張ってくれてたって話はあいつらから聞いた。その 時俺がどんな気持ちだったか分かるか??」
「しらねーよっ////」
「本気で、自分を恨んだ」
そのまじめな声音に黄瀬はそむけていた視線を驚いたように青峰に向けた
「青峰っち…?」
「お前が、泣きながら、俺の為にその体も精神も疲弊させてたって、どうして君は変な所でバカなんですか、ぶつかっていかないんですかって、テツに怒鳴られた。」
青峰の表情はうつむいていて黄瀬には見えない
「俺は、お前が、本当は俺を好きってのが、俺のお前への好きと違うんじゃないかって思ってた。だから、聞けなかったし、ぶつかれなかった。そんで、その弱さのせいで今回、こんな事になった」
青峰はまるでポツリポツリと全てを懺悔するように言葉を紡ぎ続ける
「赤司も、緑間も、紫原も、テツも、さつきも、お前も。多分、たくさん傷つけたんだろうな。」
「でも、俺は…」
「でもな、黄瀬。俺は最後にお前に言われた言葉で目が覚めた。俺もお前に 幸せになって欲しい」
「…青峰っち…?」
「俺は、テツやさつきみたいにうまく伝えられねーから直球で聞く」
「…」
「お前が思ってるより、俺はずっとお前の事が好きだ。そういう意味で、お前とエロい事したいと思うし、できるならバスケも何もかも、これからはお前と色々したい」
「…うん」
「でも、俺はさつきやテツ曰くバカで鈍感でどうしようもない奴らしいから。また知らない間に黄瀬を傷つけるかもしんね―。それでも、いいか・・・?」
「え…?」
「俺でも、いいのか??」
その言葉に黄瀬はぽかんとした後真顔になって青峰に問いかける
「それは、こっちのセリフっすよ、俺は青峰っちが思うほどきれな人間じゃねーっス。質の悪い人間っス、それでも良いの??」その言葉に 青峰が笑う
「知ってるよ、お前がたち悪いのなんて」
「ヒドっ!!」
「でも、俺はお前が好きなんだから、仕方ねーだろ??」
普段はめったに言われないその言葉に黄瀬は嬉しさとむずがゆさに頬を緩める
そして黄瀬は口を開きその答えを告げる
「俺も、青峰っちがいいんっすよ。青峰っちだから、辛くても苦しくても頑張れた。」
そして首元に手をまわして黄瀬は青峰に抱きつくと囁く
「青峰っち、愛してる」
その言葉に青峰が笑った気配がして、同じように黄瀬の耳元で青峰も囁く「俺も、愛してるぜ、黄瀬」
そして無邪気に抱きついていた黄瀬の体の上に不意に青峰が覆いかぶさる
「え、ちょ、青峰っち??」
「やべぇ…ちょっとムラってきた、襲っていいか黄瀬??」
「はぁ!!????」
「あーもうほんとどうすんだよ」
「意味わかんねーつかちょやめろ首元嫌だってっ!!!」
「うるせ―、やりづらい黙ってろ」
「あんたほんとに変態っすね!!!???俺の感動返せよ!!さっきまでの紳士青峰っちどこいったんっすか!!!」
「目の錯覚だそんなもん」
「ちょ、だからここ病院だからお前空気読めよ!!!!!!」
黄瀬の必死の抵抗もむなしく青峰は黄瀬から離れようとしない
しばらく必死に抵抗していた黄瀬だが不意に大人しくなってぽつりとつぶやく
「でも、青峰っち、そんなに俺の事好きだったんっすね」
そう呟いた瞬間青峰がいきなり黄瀬から離れる
顔をそむけて何も言わない青峰に黄瀬は何かに気づいたように意地悪そうに笑いながら口を開く
「青峰っちは俺にどっぷりなんっスねwww」
「はぁ!!??逆だろう!!??」
「え―??さっきの熱烈な告白はそういう意味じゃないんっすか??www」
「…っ!!黄瀬のくせに俺をからかおうなんてはえぇんだよ!!」
「青峰っち、顔真っ赤ーって、んッ…」
不意に口づけられて衝撃に黄瀬は目をつぶる
唇が離れて黄瀬が目を開けると今までにないほど真っ赤な表情でそれでも今までにないほどの優しい頬笑みを浮かべた青峰がいて
黄瀬はそのほほ笑みにつられたように微笑む
額を再び軽く合わせてきた青峰
「何笑ってんだよ」
「青峰っちこそ」
「俺??お前の事考えてた」
「奇遇っスね、俺も青峰っちの事考えてた」
「何考えてたんだよ??」
「ん??青峰っちは??」
「俺は、お前に逢えて、お前が俺を好きになってくれて、俺は幸せなんだなって」
「ははっくさっwww」
「うるせーよwwお前は何考えてたんだよ?」
「俺はね、青峰っちにまたこうやって会って話せてチューできて、嬉しい。これからも、ずっと愛してね」
そう言って 黄瀬が微笑んだのを見て青峰が微笑む
「当たり前だろう」

黄瀬と青峰は二人微笑むとそっとまるで誓うかのようにキスを1つして、再び笑いあったのだった

                     〜Fin〜



*prevnext#




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -