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「おいていかないでっ…!!!!」
「黄瀬?!気付いたのか???」
伸ばした手と、その声に俺はぼんやりとあたりを見回す
「此処っ…」
「僕の寝室だ、流石にいきなり倒れたのは驚いたよ」
不意にすぐそばから赤司の声が聞こえる
「申し訳ないが、君の体を寝ている間に色々と診てもらった」
「どうして、言ってくれなかったのだよ…!!!!」
緑間が何だか泣き出しそうな声でそう叫ぶ
訳が分からない
「真太郎、落ち着け。黄瀬。君の体はもう限界らしいな。」
その言葉が頭にはっきりと届いたとき
「青峰っち、またなんスね…?」
黄瀬はそう呟くほかなかった
「黄瀬」
呼ばれた名前に振り返ると、赤司がだぶって見える
「君は、一体何にとらわれているんだ??」
前に、別の世界の赤司が同じように「涼」として現れた彼に聞いた質問

「大好きな…人…会いたいのにっ……会えないっ…辛いっすよ…ッ、どうして…!!!!」
そこまでいって言葉が途切れる
黄瀬の体を赤司が抱きしめたのだ
「すまない、酷い事を聞いたね。いいよ、辛いなら話さなくていい。いいから…。」
その腕の中は変わらない温かさで
やがて、緑間がぼそりと呟く
「黄瀬、俺はお前の事、何も知らない訳ではない。お前が悩んだら頼ってくれていい。俺は、お前という存在に救われているのだよ」
やがて、彼はその腕の温かさに安心するように再び眠りにつく
その寝顔を見ていた赤司と緑間はお互いに顔を見合わせる
「どうして、この世界にきたのだよ…?」
「分からない。だが、俺達も大概イレギュラーだ。気をつけろよ、真太郎」
「分かっているのだよ……」
「早く、全てにカタがつけばいいな…。こいつが泣いている姿を見るのは、堪える…」
「あぁ…早く、会わせてやりたいな…」
「…どうか…早くその苦しみの連鎖から抜け出せるよう…」
そう呟いた彼の言葉を最後に緑間と赤司は二人で無言で黄瀬が目覚めるのを待ち続けた

だが、彼の眼は覚める事はなかった
この世界での「黄瀬」は、この日、その命を終えて眠りについた


「彼」は再び真っ暗な空間にいた
眠りについたはずだったのに、死んじゃったのか…
「彼」は自分が巡っている事に気づいていた
そして、おそらくその原因は青峰関連だということにも
会わなくちゃ…
皆が、泣いてる姿ばかり見てる
早く俺は青峰っちに会わなくちゃ
でももう、死にたくない
あんな風に怖い思いを一瞬だけでもするのはもう嫌だ
「彼」は祈った
戻りたい、戻りたい、戻りたい
ただ、真っ暗な暗闇に祈った
(青峰っち…)

やがて、同じように彼の意識はまどろみ始める
(どうか、今度こそ…)
彼の願いは……




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