02



目が覚めたときには、見慣れた家の天井があった
自分でも驚くほどに冷静で、そろそろ時間切れだということを頭では理解し始めていた

「残夏様、お客様が参られていますが、お通ししてもかまいませんか?」
「大、丈夫。通して」
視えた姿は彼だったと思うから
何とか力の入らない体に無理やり力を込める
開けられた扉の先には、案の定彼がいた
「渡狸…、また君の前で倒れちゃったね、ごめんね?ww」
「残夏…。」
いつになく苦しそうな表情をした彼はまっすぐにこちらに歩み寄ってくる
「どうしたの、そんな悲しそうな顔してww何かあった?」
「全部、聞いた。そんで…ごめんな、残夏。前の事、思い出したよ。」
「…え?何言って、るの?何を…?」
「俺は、おまえの事が本当に大好きな友達だったんだな」
そして、倒れかかっていた僕の背を支えて彼は笑った
「残夏、ありがとうな。今までいっぱい守ってくれて、今まで、いっぱいいろいろしてくれて」
その言葉で僕の中の今までの記憶の僕がすべて切れた気がした
「ほんと、にっ…?思い出した…の?」
彼に似合わないような遠い目をして彼は再び口を開く
「今日話してたあの場所、俺とおまえが1番最初に出逢った場所だったよな、今回は病院だったけど、いつもおまえはあの場所にいたよなww」
そうそれは、僕が彼に会った最後の時に話した内容で初めて、すべてがつながった気がした
初めて、僕の違和感が消えた
「わた…ぬき…、なんだよね…」
「そうだっつの、こんないい奴、俺意外に知ってるのか、残夏?」
そう言って太陽みたいな笑顔を浮かべた彼はまぎれもなくあの頃の彼のもので
「やっぱり馬鹿だよね…」
「何をぉ〜!?」そう言って顔を覗き込んできた彼は笑う
「変わらない、おまえの瞳の色だwwただいま、残夏。待たせたなっ!」
「ほんと、だよっ!今まで記憶の僕に僕がどれくらい縛られてた事やらww」
それから、少しだけ彼と思い出話をした
彼は、最後に僕を看取れなくて後悔してたんだけど、その後の転生2回目で記憶が飛んでしまったらしい
彼は笑って言う
明るくて、楽しかった昔の僕が何よりも僕自身が凄くうれしかった
思い出話は尽きることはなかったけれど、もう1つ気になっている事があった
「ねぇ、君は全部聞いたって言ってたけど、まさか僕の身体の事聞いたのかい…?」
そう問いを投げかけた瞬間彼の表情は曇る「あそこな俺の系列が実は経営にかかわってたから、聞いてみたんだ。残りの時間はもう、あまりないんだってな…?」
「そこまで、聞いちゃったのかぁ〜、困ったなぁ〜ww」
「笑いごとかよ、でもお前は昔からそうだよな、自分の本音は見せてくれやしない。」
「……そんなことないんだよ、渡狸」
「え?」
「僕が泣いたりできるのは…君の前だけだもん。十分、僕は君の前で本音を晒しているほうなんだよ?」
「wwやっと、聞けた。なぁ、残夏。………生きたいか?」
それはとても唐突な問いで、だけど彼はとても真面目だったから
「…今の君と別れてしまうのは、少しさびしいよ。」
そう呟くと彼は笑った
「よし、じゃぁもうちょっと頑張ってくれよ?今度は俺が恩返ししてやるからさww」
「何を…する気?」
「そんな心配そうな顔すんなよ、だいじょうぶだよ。俺は今までたくさん知らない間に残夏に守ってもらってきたから、そんでこれからも残夏に守ってもらうためだけに頑張るんだよ。」
「意味が分からないし、答えになってないよ、渡狸。」
「俺、医者になる…!!」
「君、自分の成績…」
「言うと思ったぜww知ってるか残夏、俺実は結構実践は強いから評定上がってきてるんだ。だから、おまえは俺が助ける。」
「え、でもきみ彼女いたじゃない… 。いいの?医者になるの、確か彼女は嫌がってて、今の大学医学部かなりし渋々なんでしょう?」
「なんでお前彼女の事知ってるんだよっ!?」
「いや、今さらでしょ、僕百目の先祖返りだよ?」
「…実は、もう別れようと思ってた。どうせ、俺は家に縛られていくだろうし、俺は家の奴らが嫌いじゃない。あいつは確かに好きな奴だったけど、もうそろそろ俺も自分の事否定されるのに疲れてきたから」
「…僕のためのウソじゃない…」
「なんでこういう時に限って見破るかなぁ!!ちょっとはかっこつけさせろよっ!!ww」
「いや、だから百目だから僕…(呆」
「いいよ、そんなお前だから、俺もお前は嫌いじゃない。大事な友達助けるのに今まで自分がやってきたことが役に立つんだぜ??こんなうれし いことねーよっww」
本当にうれしそうに笑った彼はこともなげに言った
「だから、おまえは今まで通りふてぶてしくてそのままのお前で必死に生きてろ!これは、俺からの命令だっ!」
「断固拒否」
「即答!?おまえちょっとは俺に花もたせろよっ!!」
「いやだよ、僕は入院生活に入ったらもう君とは会えないからね、精一杯いじるためにも勉強するより最後まで僕の傍でいじめられてよ☆」
「この馬鹿っ!お前、俺と一緒にもっといろいろしたいとかおもわねーのかよっ!?俺はひかないよ。お前を絶対助ける」
こうなったら、渡狸は絶対に自分の意志を曲げたりはしないと薄々思っていた僕は仕方なくため息をつく
「…はぁ〜…、分かったよ。代わりに無茶はしないでよね。君は僕の見ていないと 思っているところで結構無茶してるから。だから、自分を1番なうえでにしてね。はい、残夏兄さんとの約束っ?」
「俺からも1個約束だ!…」
ふいにまじめな表情になった彼は言う
「俺より先に死ぬな、絶対におまえは俺が助ける。だから生きろ」
「…。僕、そんなに気が長くないから早くしてねっww」
「おぅww約束なっ!」
そうしてその日から、彼とは本格的に会えなくなってしまうようになった
僕の身体のタイムリミットは病院で寝ている分にはそう簡単に短くなることはないだろう、仮にも妖怪の血が混じっている先祖返りだから
彼との約束から2カ月がたった
僕のタイムリミットは変わらないままだと、自分の身体が告げている



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