7.5 「人の話を聞かない奴だったな……」 『坊っちゃんなんて話を遮られてばっかりでしたしね』 走り去った後ろ姿はあっという間に見えなくなる。 リオンには馴染みの無い住宅街の路地は、落ちかけた日も重なりまるで自分が普暮らしている町には見えない。 「ああ……本当にな」 『それにしても、不思議な子でしたね』 晶術のことも含めて、とシャルティエは呟く。 「シャルの声も聞こえていた……」 『報告……、するんですか?』 ふと瞳に影を落とすリオンに控えめにシャルティエが問う。 二人の雰囲気はレイスが居た先ほどまでの物とはどこか違った。 「確かに声は聞こえていたが、ソーディアンを持っている訳でもない。あの晶術もどきも今は危険だとは考えられないが……」 『…………』 「様子を、見る方がいいだろう」 リオンは今度こそ路地から目を離してメインストリートを歩み始めた。 ← → |