▼ 特別編「俺はとばっちり≠ニいう名の星のもとに生まれたらしい…」
三ヶ月前、普通科入学式前夜。
「普通科新入生の皆さん。『親睦の夕べ』にようこそお集まり下さいました」
ステージに立つのは藍堂と眠そうな架院。
「夜間部を代表してこの僕、藍堂英が挨拶をさせていただきます!…とは言っても、夜間部と普通科は時々しか接点がないのが実情なんですけど…」
男子新入生『『『……0』』』
女子新入生『『『夜間部の人がエリートで美形というのは本当だったのね…』』』
そのうち新入生な優姫が呟いた一言に藍堂はアイドル先輩となった。まさかの名付け親は優姫で、藍堂はそのあだ名に初めてのことに嬉しげ。
架院は頭悪そーなあだ名でいいのか?と呆れていたが……。
『『『ワイルド先輩∨って呼んでもいいですかーっ!?』』』
架院暁とばっちり≠ナあだ名決定となった。
Q いつもこんな感じですか?
A …まあ、いつもだいたいこんなものだ。たとえば、俺と英は従兄弟同士で寮では同室。ごく自然に行動を共にすることが多い。
【例:第一夜】
「(月に住みてー…)」
ちょっとよそ見をしていると……。
「あ。かじりやがった」
「藍堂センパイっ」
校内での吸血行為は禁ずることを夜間部校則にあるのだ。
【第一夜後日談】
「架院。そばにいながら藍堂を止めなかった君も校則違反とみなす、一週間の停学だ」
とばっちり。(巻き添え、ともいう)
「……(番長…)」
しかし、この時ばかりはとばっちりは俺だけではなかった。
「それと珱。見ていながら止めなかった君も校則違反だ……お仕置きだよ」
『………』
無言無表情だったがサッと顔が青ざめたのがわかった。色が白いからなお目立つが、幽霊みたいだった。
「あ(逃げた)」
しかし番長…寮長から逃げきれるとは到底思えない。…まあ、こんなことは英に限った事じゃない。瑠佳達や錐生の時も…。
「やめておけって私闘なんか…錐生も瑠佳も…」
直後、錐生により投げ飛ばされた。
で、いいかげん俺も考えるわけだ。どーして俺にばかりとばっちりがくるのか……。
「ナルホド。ウチの番長…いや玖蘭寮長が面倒なことは全部俺に押しつけている気がしてきた。裏でな」
ティー・タイム。ポン、と手のひらを打ってしみじみと言った。
「あはは。そうだねやってそうーっ」
『うん。根拠は特にないけど…』
一条と珱は納得。
「ちょっと拓麻様!珱!番長!?今番長って呼んだわね!?」
それに対し瑠佳はとがめるように二人の名を呼び暁にくってかかる。
「そーだぞ暁。失礼な呼び方するな」
藍堂も続ける。
「せっかく枢様は容姿端麗、品行方正非の打ち所のない優等生をなさっているのに『番長』なんて言ったら身も蓋もないだろ」
「それでさ?もうすぐ僕の誕生日なんだけどねー」
『一条さん。今それ言うの?』
その時、藍堂の背後を枢が通りがかるが気づかず藍堂は叫んだ。
「せめて『裏番』と呼べーーーーっ!!」
『あ、寮長』
歩く枢以外時が止まる。
「藍堂。あとで部屋においで」
「……はい」
今、じゃないのが怖い。そして暁は思った。
「……一緒に行こうか?」
俺はまだマシな方だ。
END.
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