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標的4




校舎に隣接する木の枝で、今日もツナを見張っているリボーンは、鼻提灯を器用に作っており、教室の方では、理科のテスト返しが行われていた。



「川田」

「はい」

「栗原」

「はい」

『(あーあ…私理数系苦手なんだよなぁ…)』



次々と返ってくる様子を祈る気持ちで見る殊夏。別の席では同じく青ざめた顔で頭を抱えているツナの姿が。



「沢田」

「はい」

「ち」



理科担当教師、根津は舌打ちしたかと思うとツナがテストをとる前に自分に引き寄せた。



「あくまで仮定の話だが……クラスで唯一20点をとって平均点をいちじるしく下げた生徒がいるとしよう」

「あの……っ?」



いやらしく笑いながら話す根津を殊夏は怪訝そうに見る。



「エリートコースを歩んできた私が推測するに、そういう奴は学歴社会において足をひっぱるお荷物にしかならない」

「(それって……)」

「そんなクズに生きている意味あるのかねぇ?」

「うわーーーーっ」



わざとらしく答案用紙をちょうど点数が見えるようにした根津に、顔を赤くしながら焦るツナ。



「見えた!」

「わ、26点!」

「やっぱダメツナか…」



クラス中は笑っていたが、殊夏は一人顔を青ざめていた。



『(うわ相変わらず性格クズ……私、何言われるんだろ…)』



バクバクと心臓を鳴らしながら、祈るように両手を握りしめて順番を待つ。



「次、劉閻」

『はい』



今にも倒れそうにふらふらと顔色悪く答案を受け取りに行く殊夏を心配そうに京子は見つめる。



「…あくまで仮定の話だが」

『えっ…』



向き合った殊夏に根津は答案を渡すことなく口を開く。



「クラスで唯一10点代をとって、平均点をどこぞのクズ以上に下げた生徒がいるとしよう」

『……』



ああ、自分ですか…ともう悟りを開く殊夏。



「そんな奴は、どこに行っても足手まといにしかならない邪魔な存在になるんだ。そんな奴と一緒にいる奴もその程度の存在だな」



そう言ってちら、と京子と花を見た根津。さすがにカチンときた殊夏も黙っちゃいなかった。



『…あくまで仮定の話ですけど』

「なに?」

『教師でありながら生徒をクズや邪魔、友人をバカにするなどと暴言を吐く先生がいたとして…そんな人は、いずれバカを見ると思います』

「なっ!」

「(劉閻さん…)」



さらりとツナまでも庇ったことに、ツナは驚きながらも嬉しそうに見ていた。



「お、お前は私をバカにするのか!!?」

『誰も根津先生のことだなんて言ってませんよ』

「!!!」

「「(ナイス殊夏!)」」



言葉につまった根津を見て席からいつでも応戦できるようにスタンバっていた京子と花は拍手を贈った。クラスの皆も誰かが吹き出した途端笑いがうつり、またクラス中は笑いの渦に包まれた。怒りに体をぷるぷると震わせる根津から殊夏は、ばっと答案を奪い取ると席へとついた。



『(こわかった…!)』



一気に脱力した殊夏に、木の上から見ていたリボーンはニッと笑った。根津が文句の一つでも言おうと口を開いた時、教室のドアが開かれた。笑いもやんで一斉にそちらを見ると、そこにいたのは獄寺だった。



「コラ!遅刻だぞ!!今ごろ登校してくるとはどういうつもりだ!!」

「ああ!?」



ギラッとすごんだ獄寺に「うっ」と怯んだ根津。



「やっぱこえーよあいつ…」

「先パイ達をしめ返したって話だぜ」

「(他人のフリ他人のフリ…)」



関わらないように縮こまらせていたツナだったがそれもむなしく、獄寺は近づいてきた。



「おはよーございます10代目!!」



根津への態度が嘘かのようにピシッと気をつけして挨拶をした…しかもその相手がツナということもありクラスはざわついた。



「どーなってんだ!?」

「いつのまに友達に?」

「いや…きっとツナが獄寺の舎弟になったんだよ」

「い…いやちがうんだよ…(ただでさえ勉強できなくて目ぇつけられてるのに、不良と知り合いだと思われたら最低…)」

『おはよう獄寺君』

「あ?おお」

『ていってももう午後だよ』

「だからなんだよ。来てるだけでもいいだろうが」

『むしろもう休んでもいいぐらいの時間だよ…』



普通に獄寺と会話をし始めた殊夏にもまたクラスは一層ざわつき始めた。



「劉閻まで話してやがるぞ!」

「あいつもまさか舎弟か!?」

「なんだか訳わからなくなってきた…」

「(なんかスゴいことになってるーーーーっ)」

「あくまで仮定の話だが」



冷静さを幾分か取り戻した根津は、メガネを押し上げながら口を開いた。



「平気で遅刻してくる生徒がいるとしよう」



ええ?獄寺にまで!?という空気が漂う中、構わず根津は続ける。ある意味勇者というか、命知らずというか。



「そいつは間違いなく落ちこぼれのクズや邪魔者とつるんでいる。なぜなら、類は友を呼ぶからな」



先程の殊夏の件での仕返しも含みながら根津は言うが、獄寺が黙っているわけがなかった。



「おっさんよく覚えとけ」

「!?」



ずいっと振り返ると根津に詰め寄り、獄寺はガッと胸ぐらを掴んだ。



「10代目沢田さんへの侮辱はゆるさねえ!!!」

「!」

『『『!』』』

『!』

「!!(オレの名前出すなよーーーーっ)」



クラス中が驚愕に包まれた中、真っ青になって頭を抱えるツナ。



「あくまで仮定の話だと言ったはず…だ………っ、ガハァ」



ぎゅううぅと首元をしめられている根津は苦しそうだが、お構いなしに獄寺はニカッとツナに笑いかけた。それにツナはこっち見んなオレにはカンケーねーっとあわあわしているが、意味などない。



「10代目落とします?こいつ」

「ゲフッ」

「(もーほっといてくれーっ)」





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