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標的2




『…え?今日の球技大会のバレーにツナ君が…?』



チアリーディング部所属である殊夏は、球技大会の応援練習をしていた。今は休憩時間だったので友人の京子と花と話している。



「そ。あいつ持田センパイ負かしてから注目度すごいんだから」

「ふふ。ツナ君かっこよかったもんね」

『…ツナ君、球技大会でるんだぁ』



ーーーーやった!!応援するから一番前で見れる!!

えへへ、と嬉しそうに笑っていた殊夏は屋上からリボーンが見ていたことに気づかなかった。



「あいつの手先の器用さ、身体の柔軟性はファミリーに使えるな」



そんなことを呟いていたことも、もちろん気づいてはいなかった。



『私、張り切って応援するっ』

「いやぁ、持田センパイの時は確かにすごかったけど、今回もそうとは限らないよ」

「そんなことないよ。ツナ君、今回も頑張ってくれるよ」

『そうだよ!花ちゃんったら』



その時集合の合図が。



『そろそろ行かなきゃ』

「また後でね殊夏」

「練習頑張ってね」

『ありがとう』



二人と別れたあと、よし、と気合いをいれると練習へと戻った。



「何より、あのやる気の良さは必要不可欠だな。決めたぞ」



望遠鏡をおくとリボーンはニッと殊夏の走り去る背中に笑いかけた。



『っくし…な、なんか悪寒が…』



ぶるりと震えた体に風邪かと首を傾げる。



「劉閻さん、悪いんだけど体育館行く前に先生にこのプリント渡してきてくれない?」

『あ、わかりました』



プリントを受け取ると殊夏は急ぎ足で廊下を歩くと、目当ての先生に手短に説明してプリントを渡した。



『早く行かなきゃ試合始まっちゃう』



バタバタと今度は走って行っていた殊夏の耳に、体育館からの凄い歓声が聞こえてきた。



『うそっ。もう始まっちゃった』



急がなきゃ、とまた走りだそうとした殊夏はん?と足を止めた。そして壁に備え付けられている消火栓の扉を凝視した。



『な…なんで消火栓からコーヒーのいい香りが…?』



えぇ…と見つめていた殊夏の前で、ゆっくりと消火栓の扉が開かれた。



「ちゃおっス」

『ありえないよ!!』



中から現れたのは優雅にコーヒーを飲んでいたリボーン。ビクッとしながらもしっかりとツッコミはいれていた。



『ていうか、え!?なにこの内装。リボーンくんがやったの!?』

「そうだぞ。オレのアジトは学校中にはりめぐらされている」

『学校中!?なんでそんなこと』

「ツナを見張るためだ」

『(見張る!?)』

「あとは、ファミリーの選抜もかねているぞ」

『ファミリー?』

「そうだぞ。殊夏、お前は今日からツナのファミリーだ」



リボーンの言った言葉に固まった殊夏。ファミリーとは、日本語で家族?ツナと家族になるのか?!



「お前多分違うこと考えてるだろ」

『ちょっとよくわかってない…どういうこと?』

「言わなかったか?ツナはイタリアンマフィア、ボンゴレの次期後継者候補だ。そのツナの仲間、ファミリーになれって言ってんだ」



ぶっとんだ話に思い出す、今までのリボーンの言動。



『っ!無理無理。絶対無理!!!せっかくの誘いだけど、誰か別の人を…』

「はいるだろ?」

『人の話を聞いて!私一般人だし、マフィアとか縁遠いし、そんなの…』



ーーーーズガンッ.



「はいるだろ?」

『…………うん…はいりたい…デス……』



リボーンが放った銃弾は殊夏の頬を掠め、後ろの壁にめり込んだ。横目で壁にめり込んでいる銃弾を見て、頬に手をやりぞっとする。再度問いかけてきたリボーンに殊夏は泣く泣く入ることを了承した。



「さて、初ファミリーゲットだ。ついてこい殊夏」

『え?わ、私体育館いかな…』

「いくぞ」

『う…』



ジャキ、と銃口を向けられた殊夏は黙ってついて行くしかなかった。あんなに天使のように可愛いと思っていたのが遥か彼方に飛んで行った。そして向かった先は体育館脇にある水道。そこにはツナがいた。



『あれ…ツナ君?』

「劉閻さん!?(なんでリボーンと!?)」

「帰んねーのか?」

「…ああ。じゃあな」

「あばよ」

『あ、ツナ君!』



走り去ろうとしたツナを呼び止めた殊夏。



『バレー頑張ってね。私、すっごく応援するから!!』

「あ、ありがとう!」



照れながらも精一杯伝えた殊夏は、ツナ君と話せた…と嬉しがっていた。そしてまたリボーンに連れてこられたのは体育館の二階部分。



「殊夏、オレを抱えろ」

『え?うん』



よいしょ、と言われた通り抱える。まだまだ見た目は小さいリボーンは軽々と抱えることができた。



「柵の前にオレを突き出せ。ツナのいる辺りにな」

『ええっ?危ないよ』

「大丈夫だからやれ」

『う、うん…』



戸惑いながらも指示された通りにした殊夏はギョッとした。リボーンがライフルを構えていたのだ。



『リ、リボーンくん!?』

「わかればよし」



それは、しっかりとした思いをもったツナへの言葉。



「くらえ!!」



ダダン、と撃った二発の銃弾は、ツナの足へと一発ずつ見事に命中した。リボーンを慌てておろした殊夏は柵を両手で掴み身を乗り出してツナを見る。



『あれ?なんとも…ない?』



でも、しっかりと命中していたのに…。



「くるぞツナ!ブロック!!」

「オッケーーーー!!(やれるだけやるんだ)」

「!」

『ええっ!?』



チームメイトの声にブロックするべく飛躍したツナだったが、なんとその高さがネットを優に越える高さだった。直後、持田のときのような大きな歓声が体育館をゆらした。












ダッシュで帰ってきたツナは一目散に自室へとやってきた。



「リボーン!!って、劉閻さん!?」

『あ…お、お邪魔してます』

「遅かったな」



ツナが部屋に入るとそこには殊夏が座っており、隣にはリボーンがいた。



「な、なんでここに?」

『えと、リボーンくんに呼ばれて…』

「リボーン!お前勝手なこと」

『あっ、迷惑だったら帰るから』

「あ、いや、そんなことないけど…」



どうしようと立ちかけていた殊夏は、ホッとしてまたその場に座った。



「それより、お前にいい知らせがあるぞ」

「いい知らせ?」



殊夏の向かいに座りテーブルにあったお茶をカップにつぐツナ。



「殊夏がお前のファミリーになったぞ」



ーーーーグワシャ.



「はあっ!?」



注いでいたお茶を思わず握りつぶしてしまったツナだが、そんなことにかまっていられるほど冷静ではなかった。



「よかったな」

「よくねーよ!!何しちゃってんだよお前!!」

「殊夏だってはいりたいって言ったぞ」

「いや絶対お前が脅したんだろ!何劉閻さんに迷惑かけてんだ!」

「迷惑か?殊夏」



ツナから視線を外し殊夏へと向けるリボーン。急に話を降られ、え、と戸惑っていた殊夏は恐る恐る口を開いた。



『最初は驚いたけど…でも、ツナ君の役にたてるなら嬉しいなって思って』

「え!」



えへへ、と笑いながら殊夏が言うと、驚き顔を赤らめたツナ。



「殊夏もこう言ってんだ。いい部下をもったなツナ」

「オレは部下とかそんなの…っ!」

『そういえばリボーンくん。体育館で撃ったあの銃って一体なんだったの?』

「はっ!そうだ、オレも気になってたんだ」

「あれはジャンプ弾だ」

「ジャンプ弾〜!!?」

「「死ぬ気弾」ってのはボンゴレファミリーに伝わる特殊弾が脳天に被弾した時の俗称にすぎない」

『死ぬ気弾って?』



首を傾げた殊夏に銃弾を見せるリボーン。



「この弾で脳天を撃たれた者は、一度死んでから死ぬ気になって生き返るんだ」



死ぬ気になる内容は死んだとき後悔したことだ。



「死ぬ気っていうのは体中の安全装置をとっぱらった状態なんだ。だからギリギリまで命をけずるかわりにすごい力を発揮することができるんだぞ」

『じゃあツナ君って、本当はすごいんだねっ』

「あ、あはは…」



なんだか素直に喜べなかったツナだった。



「この特殊弾は被弾した体の部位によって名称も効果も変化するんだ」



太ももに撃てば、ジャンプ弾だ!



「ってことは他にもいろいろ効果があるってことか?」

「ああ。体の各部の名前の分だけ効果がある」

『じゃあ、手とかヒザとか全部ちがうの?』

「そうだ」

「す…すげーっ!!」



マフィアってそんなすごい銃弾があるんだ、とちょっと感動した殊夏。



「なんでそんなスゲーもん隠してたんだよ?死ぬ気弾しか教えてくれなかったじゃないか」

「ツナが弾をあてにすると思ったから言わなかった」

「!」

「でもツナ、今日弾をあてにしなかったからな」

「………リボーン」



リボーンを感激の眼差しで見るツナ。



「(こいつムチャクチャやってるようで…オレのことちゃんと考えてくれてるんだ…)」

『いい家庭教師さんだねツナ君』



にこっと笑いながら言った殊夏に、照れくさそうにツナも笑った。



「…つってもそれはたいした理由じゃない」

「『?』」



ガチャガチャとケースをまさぐりだしたリボーンを不思議そうに二人は見る。ケースから銃を取り出したリボーンはニヤーッと笑いながら言った。



「撃ってないと腕がなまるんだ。これでガンガン撃てるぜ」

「『(めちゃくちゃいいカオしてる〜〜〜っ)』」



リボーンの微妙な表情の変化がわかるようになってきたツナと殊夏であった…。





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