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特別編1







放課後、雪野は西村と机を挟んで向かい合っていた。



「ーーーーでさ!夏目のやつ雨の中どうやって帰ってきたと思う?」

『えー…濡れて?あ、先生を頭に乗せて』

「ちげーよ。なんと……でっかい葉っぱを傘がわりにしてたんだ」



どん、と言い放った西村の言葉に雪野は想像した。でっかい葉っぱを傘がわりにする夏目を。



『ぶっ…あはははっ。そ、それ本当!?』

「マジだって!どうするかなーって心配してた分、こっちの衝撃が凄くってさあ」



大声あげて笑う雪野と一緒に西村も笑う。



『私も見たかったなー』

「仕方ないじゃん。鈴木は風邪引いて欠席だったんだし。もう大丈夫なのか?」

『ーーーー…うん。もう、大丈夫だよ』



そう微笑った雪野を西村は気にするように目を瞬かせたが、首を傾げた。



「ふーん。ならいいや」

『それより、早く課題終わらせなよ。貴志君達、帰ってくるよいい加減』

「わかってるって。鈴木、これは?」

『だからこれはこの方程式を使うってさっき…』



ノートに書き込む雪野の顔を西村は盗み見る。大丈夫と答えた時の雪野を思い出して西村は夏目を思い出し、似たような笑い方をするな。とぼんやり考える。



『ーーーーで…聞いてる?西村君?』

「お!?あ…ああ、はいはい、これね、これ。これに代入していけばいいんだよな?」

『そうだけど…』



慌てて問題に取り掛かる西村。



「あとさ…」



口を開いた西村に何かと雪野は顔を上げる。



「空から急に1UPキノコが降ってきた」

『え…キノコ?1UP!?』



ローテンションで告げた西村に反応遅れつつ雪野は意味がわからん。とぎょっとする。



「色々あって楽しかったんだ。だから、今度は鈴木も来いよ。よく食って、よく寝ろ」



ペンを止め、笑った西村に雪野は面食らいながらも嬉しそうに笑顔を返した。



『うん、ありがとう』



ーーーーガラガラ.



「おーい、西村終わったかー?」

「おう!鈴木に教えてもらってばっちり」



夏目と戻ってきた北本に西村は得意気にノートを見せる。



「んじゃあ、帰るか」

「おれノート提出してくる。ありがとな鈴木」

『いいえ』

「下駄箱で待ってるな」



夏目に頷き返そうとした西村は動かしていた足を止めた。



「な、なんだ…?」



じーっと顔を見つめる西村に夏目は思わず身構える。



「…やっぱ似てねえよな。お前と鈴木」

「はあ?」

「あ!早く届けないと!」



不可解そうな顔をして凝視し呟いた西村の言葉に夏目は意味不明と顔に表すも、西村は急ぎ足に職員室へ。



「(…勉強のし過ぎだろうか)」

「夏目ー、行くぞー」

「ああ…」



疑問符を浮かべながら、夏目は雪野と北本と教室を離れた。



「(なんで似てるんだ?)」



西村は西村で、疑問符を浮かべていた。

ーーーー似ていると西村が感じた笑い方は、二人の共通点…妖絡みから嘘をつくものだからだ。そんなこと知らないし、気づかないだろう西村は翌日にはその疑問を忘れていた。





END.
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