呪術師会合
『よっ…と』
教室にノートを運び終えた雪野は、職員室へと向かう。
『先生、終わりました』
「おお、悪いな。助かった」
帰るか。カバンを肩にかけ直し、靴を履き替え校門を出かけた時だった。
「やぁ、久しぶりだね」
横から聞こえた声に、雪野は足を止め振り向いた。にこやかに笑いかけているのは、帽子とメガネでおなじみの変装をした名取だった。
『な、とりさん!?』
「はは。そんな妖怪にあったような反応しなくても」
ひい。と半歩身を引いた雪野に名取は気にせず笑う。
「おや…夏目くんは?」
『先に帰りましたよ…何か用ですか?また酷いこととか…』
「君が危惧するようなことはしないよ。大切な私の友人だからね」
そう答えた名取に雪野は警戒心を解いた。
「さて、夏目を探そうか」
『探すって、家に帰れば…』
「それじゃ面白くない。いけ」
そういう問題か。紙人形を飛ばした名取に内心呟きつつ、名取とともに紙人形を追う。
「あちいっ」
「その紙人形、誰かが術をかけて飛ばしてきたな」
「術!?」
夏目と斑の声が聞こえ、角を曲がると見つけた。
「こんにちは」
振り向いた夏目は名取と雪野に気づき目を見開かせた。
「な…名取さん。雪野まで…」
「彼女は学校で合流したんだ。それにしても…あいかわらず強力な妖力だね。居場所を探そうと紙人形を飛ばしてみたんだけど、触れられただけで君の妖力に焼かれてしまったようだ」
はっ。と眉根を寄せた夏目は手のひらを見せた。
「これ飛ばしたのあんたですか。雪野も止めろよ!」
『え…なんか、ごめんなさい…』
矛先が自分にまで向いて、理不尽だがなんとなく雪野は謝ってしまった。
「それで…何か用ですか?」
「そうだねぇ。こんな所でもなんだし、君たちのお宅におじゃましてもいいかい?」
変装を解いた名取に周りは気づき歓喜の悲鳴。そんな中、夏目たちは思う。
正直ちょっと苦手だ。
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