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祟られるのも嫌なので、家へと招き入れ酒を振る舞うことに。ふと雪野が窓の外を見ると、もう夕暮れ時だった。
「いいのか?おれらなんかに構ってて。さっきの男性に取りついてたんじゃないのか?」
「失礼だな。あれと私は友人だ」
「『ゆ!?』」
酒瓶を持ったままさらりと言った妖の言葉に驚愕し、夏目は口に含んでいたジュースを思わず吐き出した。
「友人って…妖が見えるのか、おれ達と同じに…」
「正確には、見えていただな」
『今は見えないってこと?』
「ああ。若い頃のあの人とはよく話をした。しばらくはずっと一緒にいた。でもある日、突然あの人は妖が見えなくなった。それっきりだった」
「そんなことってあるのか!?」
「大人になるとそういう力が衰える者もいると聞くしな」
「あの人が近々結婚するらしいと噂で聞いたので、せめて晴れ姿くらい見てやろうと思って来たのさ」
「そ…そうか…」
『……』
妖からそんな話を聞いた雪野は、信じられない気持ちで目を瞬かせた。
ーーーー…見えなくなるって…そんな可能性、考えたこともなかった…。
「私達は丁度お前達のような関係だったのさ」
「む、私らは友人関係ではない」
「「飼い主とペットの関係だ」」
見事に夏目と斑の主張はかぶった。
「見解は一致しているようだが…どちらが主だ。まぁ、人の子とまた話せるとは愉快だ。何かの縁だ。式の日まで世話になる」
「何!?」
『ええー…』
こうして、この妖の面倒を見ることになった。
「女の部屋にしては殺風景だな」
『そう?こんなものだよ』
「もっとこう、きゃぴきゃぴきらきらしたものだと思っていた」
『きゃ…?』
…同性で妖を見る者は初めてだからって、私の部屋に招いたけど…。
「よーし酒だ。雪野、酒をもっと持ってこい」
『(くっ…もれなくオマケも来てしまった)』
夏目が是非に自分の部屋へと勧めたのを雪野は思い出す。
『…お酒はそれだけ。私はもう寝るからね…』
と、電気を消したが、淡い光が。見ると、妖の体が光っていた。
『…?』
光るなんて、変わった妖…どんな妖なんだろ。
『(地味にまぶしい…)』
ーーーーその夜、誰かが呼んでる夢を見た。優しい声が響くなか、誰かが泣いてる夢を見た。
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