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「貴志くん、雪野ちゃん、猫ちゃんまだ帰ってこない?ご飯食べに出てこないの」

「『え?』」



夏目と雪野は顔を見合わせる。

知ってる?
知らない。



「…よそで食べてるのかも。腹が減ればすぐ出てきますよ」

「そう?だったらいいけど」



夕飯を食べ終え、夏目と雪野は自室に戻ってないか確かめる。



『先生ー?』



声を掛けるも、返事はないし気配もない。



『ーーーー…強く殴りすぎたかなー…』

「ぶひゃひゃひゃひゃひゃ」



突如聞こえてきた夏目の滅多になかろう爆笑の声に飛び跳ねた雪野は、何事かと部屋へと向かった。



『た、貴志くん?どうし…』



ちょこんと、真っ暗な斑がいた。

ーーーーっふ。



『ぶひゃひゃひゃひゃひゃま、真っ黒!!何で!?どうしたの先生!』

「黒ーーーーっっ!!どうしてーーーー!?」



お腹を抱えて笑う二人の前を、斑はとてとてと短い足で歩く。



「『あっ』」



真っ黒な斑の足跡が続く。



「汚れた足で歩きまわるな」



笑を引っ込め、夏目は斑の脳天へと拳骨を落とした。



「まったくもー」

『ほら、おいで先生。洗ってあげる』



と、お風呂で真っ黒な色を雪野は落としてやったのだが…。



「あれ!?真っ黒なまま!?」

『それが全然落ちなくて』



とりあえず、汚れは取れたのだが色は真っ黒なままだった。そして、帰ってきてからずっと、斑は無言だ。



「何でしゃべらないんだ先生」

『蹴ったからスネてるの?』

「……」

「……」

『……』



やっぱり無言の斑。



『…何さ。さっきのは先生が悪いんだよ…』

「どうせ用心棒をサボったんだろ」

「ただいまー」



窓を明けて帰ってきたのは、真っ白な何時もの斑。



「『わっ、先生!?』」

「ん?…あ!!?何だその黒いのはーっっ」



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