先生、黒色になる?
「「友人帳」をお持ちですね?」
学校帰りに妖に絡まれてしまった雪野は、ひとまず神社かお寺に身を隠そうと林の中を駆けていた。
『(まだついてくる…)』
ーーーーブチッ.
振り向きながら走っていた雪野は、何かを切った音に目を見張った。
『(え…なに、縄ーーーー…?)』
「何をよそ見しておる。さあ、友人帳をおよこし!!」
『!』
切ってしまった縄に気を取られていた瞬間、妖に間合いを詰められ捕まった。
『あっ、放せ…』
「やれやれうるさいな」
『ニャ、ニャンコ先生』
ガサガサと茂みの中から斑が現れる。
「妖にまた絡まれおって。たまには夏目のように逃げ切ってみせろ」
『ちょ…』
斑は助ける素振りを見せず、襲われている雪野には見向きもしないでヒラヒラと舞う蝶々を眺める。
『先…う…苦し…』
「よこせ友人帳」
『放して…先生早く何とか…』
「よこせよこせ」
『くっ…』
雪野の我慢の限界がきた。
『苦しいって、言ってるだろうがっ!!』
捕まえる妖の顔面を蹴りつけ、助けない斑の脳天に踵落としをした雪野は制服についた埃を払い立ち上がる。
「…お、おのれ。いつか隙みて喰ってやる…」
『……』
恨みがましく呻く斑は放って、さっさと雪野は家へと帰った。
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