×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -





「『……いってきまーす』」



翌朝、学校へと行くため二人は玄関を出る。夏目の印は広がるし、斑も小さいままで、今は小ぶりのお椀を寝床に。



『あ…』



石柱に、昨日の影の姿が。



「何でこんな所に?またつっ立ったまま…」

『うん…』



じっと、見つめる二人の脳裏に同じものが過る。



「……なあ、この影さーーーー…」

『うん…「メリーさん」みたい』

「メリーさん?」

「『わっ』」



寝ていたはずの斑が、夏目の胸ポケットから姿を現す。



「先生!?いつのまに……」



話が話だっただけに、背筋が一瞬冷たくなった二人だった。



『得体の知れないものが少しずつ近づいてくるっていう、メジャーな伝聞階段だよ』

「電話がかかってくるんだ。『私、メリーさん。今、門の前にいるの』って。暫くすると、また電話が鳴る。出てみると、『私、メリーさん。今、玄関の前にいるの』」



その次は、「私、メリーさん。今、玄関の中にいるの」。



『……』



やっぱり近づいてきてる!!

玄関の前にいる塔子の隣に、あの影が何をするでもなくいた。



「あら、おかえりなさい雪野ちゃん」

『…ただいま。どうしたんですか?玄関で』

「ああ…貴志君の声が聞こえた気がして出てきたんだけど、気のせいだったみたいで」

『貴志くん、まだ帰らないんですか?』

「ええ。いやねぇ、空耳だなんて年なのかしら」



照れ臭そうに笑う塔子に、雪野も一緒になって笑った。

その翌日。



『ねえ貴志くん』

「なに?」

『昨日夜中にさ、何処か行った?』

「え、なんで?」

『物音がしたから』

「………ああ、また先生だよ」



ふ、と笑った夏目に、雪野はあまり納得いかない顔をした。



『本当…?』

「ああ。ほら、遅刻する…ぞ…」



はた、と夏目と雪野は動きを止めた。玄関、家の中に、影。

ーーーーぞっ.



「『いっ、いってきます』」



流石に恐ろしく、慌てて家を出ていった。



『あ、あの影って貴志くんの印と関係あるの?』

「あ…ああ、まあ、なんか監視役?みたいなやつってヒノエが言ってた」

『あれが!?監視役!?不気味』



明後日を見ながら言った夏目の説明に雪野はギョッとしていた。



prev next