小さきもの【後編】
『貴志君!先生!』
すぐさま夏目達を探しに来た雪野達は、カルの群れに襲われている夏目と斑を発見。
ーーーーボッ.
「ギッ」
「ギィッ」
飛んできた火に、カル達は夏目達から離れる。
「夏目!」
「夏目様、ご無事ですか!?」
「!雪野、ヒノエ、中級…」
ヒノエの持つ松明により、カルの群れは奥へと逃げていった。
「…まったく、何てザマだい斑」
「うう…この札のせいであんな小物も祓えんとは…えい、えい」
「ああ先生、毛もごっそりぬけちゃうぞ」
無理やり剥がそうとする斑に夏目が声をかけるとヒノエが呆れてため息して、少しきつめに言った。
「毛の心配してる場合じゃないだろ夏目」
「う…」
「そうですぞ。光らぬ豚猫などただのブサ巨顔足短豚猫ですぞ」
「何!?」
散々な言われようの斑だった。
「ーーーーあぶなかったですな」
改めて、芝生に腰を下ろし話し合う。
「…見たところ個々は弱く臆病のようでしたが…妖を食いあらしては移動していく恐ろしい連中だとか。夏目様まで食おうとは。グルメですな」
「……」
最後の一言はいらなかった。
「まいったな。迂闊に近付けないなら益々あの毛玉を見つけるのが難しくなる」
弱った夏目は、顔を上げるとヒノエ、中級達を見つめた。
「すまないがおれ一人じゃどうしようもない。しばらく力をかしてくれ」
『私からもお願い』
夏目に続いて雪野も軽く頭を下げた。
「!ふん!!素直なお前達は気持ちが悪いねえv」
すぐさま雪野に抱きつくヒノエ。夏目にも手を伸ばすが夏目はその手から顔を青ざめ身を引く。
「おまかせください夏目様」
「我々が光らぬ三毛ブタに代わりお守り致します」
そういう中級の背中には「夏目さまに恩をうる会」という旗が背負われていた。
「だまされるな夏目!こんな下心みえみえにだまされるな!!」
散々言われた斑は不本意そうに怒鳴っていた。
ーーーーヒノエや中級が協力してくれることとなり、あちこち探してみた夏目達だったが成果はなかなかあがらず、気付けばすっかり夜となり、人の子は足手まといと帰された。
「『ただいまー』」
「おかえり雪野ちゃん、貴志君。どうしたのこんな時間まで…まあ、どうしたの。服が汚れているわ」
出迎えた塔子は夏目と雪野がボロボロで驚く。
「す、すみません。八ツ原でニャンコ先生を探してて…」
「あら!?貴志君ケガしてる!?大変お薬」
「だ、大丈夫です。擦り傷です」
「とにかくお風呂で土を落としていらっしゃい!雪野ちゃんはほら、こっちで土を落としてあげるわ」
『あ、自分で…』
「いいからいいから」
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