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翌日。とにかく毛玉を探そうと夏目達は知り合いの妖達に片っ端から聞きこむことに。



「ーーーーほぉ、毛玉の妖ですか?」

「そうなんだ。こんなカンジの」



八ツ原の中級二匹に、夏目は毛玉の似顔絵を描いた紙を見せる。



「……」

「……」

「…これを、お探しですか…ぶぶ」

「…言っとくがおれの絵心うんぬんじゃなく、本当にそんな姿だからな」



笑う中級二匹に夏目はそう付け足す。



「それで、鈴木様の額の紙はなんです?人間たちに流行りのおしゃれですか?」

『違うよ。この妖とは別の妖にやられたの』

「ーーーーこの妖についた指輪を三日以内に見つけないと、家や裏山一帯を焼かれてしまうんだ」

『私や先生のこれもはがれないってこと』

「ほう…それはご災難」

「では八ツ原へ参られよ、そんな所にいては危ないですぞ」

「え」



妖からの提案に夏目と雪野は目を丸くする。



「そうですぞ。お二人に人の世は生きにくそうだと日頃思っておりました。いっそのこと八ツ原でご一緒に面白おかしく暮らしませぬか?」



誘いに面食らっていた夏目はふふ、と笑う。



「ありがとう。でもおれは、今の生活が大切で仕方ないんだ」



隣で同意するように雪野も微笑んだ。



「ーーーー…あの辺りには私の友人の妖もおりますし、何より面白そうだ。夏目様、お手伝い致しましょう」

「本当か!?ありがとう」



夏目、斑と別れて雪野は中級二匹と共に森を探すことに。



「ああ雪野!何だいその邪魔くさい紙は!お前の愛らしい顔が隠れてしまっているじゃないか!!」

「おお、ヒノエ殿」

『…色々あったんだよ』



探していた最中出会したヒノエが嘆きながら抱きついてくるが雪野はされるがままでいることを学んだ。



『ちょうどよかったヒノエ。この妖を知らない?』

「ぷっ。何だいそれ」



中級同様、似顔絵を見た瞬間ヒノエは愉快そうに笑う。



「ヒノエ殿はこれをご存知ないですか?夏目様が探しているのです」

「夏目が?相変わらず不憫なことだ…ーーーーおや?これ…」

『知ってるの!?』



よく似顔絵を見つめるヒノエに雪野は笑顔を浮かべた。



「この妖は、「カル」って奴じゃないかい?」

『…「カル」?』



中級達も聞いたことないようで不思議そうにする。



「渡り鳥のように旅をして回る、まぼろしの妖と言われている…ーーーーまずいね、カルは集団で移動する」



だからあんなにいたのかと雪野は呑気に理解するが、ヒノエの表情は固いまま。



「とても食い意地がはっていて各地をまわっては妖を食いあらすという噂だ」

「何と!恐ろしい…」

「夏目も危ないかもしれない」

『え』

「人の子がひとりでカルの群れなんかに出くわしたらーーーー」



ヒノエの言葉に、雪野は嫌な予感がして表情を曇らせた。




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