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「うわ鈴木、いつにも増して顔色悪いぞ。大丈夫か?」

『え…うん、平気』

「本当かあ?」



疑わしげな西村に雪野は笑いかえす。



『(益々妖怪とばかり関わってる気がするなー)』



気をつけないと、と決心していると、隣から西村が自分を呼んでいることに気づいた。



「鈴木?きいてる?」

『ごめん聞いて………』



ビク、と視線を感じて振り向くと、一人の男子生徒がこちらを見ていた。雪野が見ると、その生徒は笑って教室に入っていった。



『(今の視線あの人が…?誰だろう)』



ちょっと考えて、西村に聞いてみることに。



『ねぇ、今通った人誰かわかる?』

「ん?ああ、一組の田沼っての」

『へぇ』

「…そういえば、この前あいつ夏目のこときいてきたな。確か、八ッ原の少し先の家に、最近引っ越してきたらしい」

『八ッ原にーーーー…?』



思い出す、人間退治の事。







「八ッ原に越してきた田沼ーーーー…」

『うん』



夕食を食べ終え、部屋で西村から聞いた話を夏目にした雪野。



『偶然かな?』

「……」

『貴志君?』



ぼーっとしていた夏目はハッとして笑う。



「何でもないよ」



不思議そうに雪野は首を傾げていたが、そのまま夏目の部屋を去った。

しばらく考え込んでいた夏目だったが、時間がもう遅くなっていた事に気づき眠りについた。それから時間が経って、朝方近くに夏目は目を覚ました。



「ーーーー…ニャンコ先生?」




寝ていたはずの斑の姿がなく探すと、ふすまが開いている事に夏目はため息。



「(明日、田沼にあって話をしよう)」



雪野に話を聞いて、夏目はその田沼が気になっていたのだ。



「ただいま」

「…ニャンコ先生…」



ん?とふすまの隙間を見ると、猫目がこちらを見ていた。



「どこ行ってたんだ?」

「ふふ、ちょっとな」



とてとてと中に入ってきた斑を「ん…?」と夏目はよく見る。と、漂ってきた凄まじいアルコールの匂い。



「うわ先生酒臭え!布団に寄るな、あっちいけ!」

「かたいこというな。土産に蛙をとってきたぞ」

「ゲコゲコ」

「うわっ………………っっ」



それから朝。



「さあお帰り」



窓から蛙を外へと逃がしてやる。



「もう二度とアホニャンコなんかにつかまるなよ」



そう言う夏目の後ろでは斑が頭にたんこぶ作って倒れていた。



「おう夏目に鈴木。え?田沼?来てるかな。あいつ存在感薄いから…」



その日、夏目と雪野は一組に来ていた。



「八ッ原付近に住んでるのか?」

「らしいな、バスもろくに通ってないし、嫌な噂も多いってのにな」

『嫌な噂?』

「むかしから、おばけが出るって有名な所なんだ」

「……おばけねぇ」

「少し先に寺があったけど、今は確か廃寺のはずだ」

「『(だからあんなにのさばってるのか)』」



しばらく教室を見渡していた北本だったが、田沼の姿は見当たらない。



「やっぱ休みだな」

「住所わかるか?」

「え」

「……何?」



驚いたように声を出した北本を二人は不思議そうに見る。



「…いや、鈴木はともかく、夏目が誰かに興味を持つなんてめずらしいなと思って」

「…そうかな」

「そうだよ」



「ーーーーでも」と北本は笑った。



「確かにお前達、どこか似てるかもな。1人好きだし、突然そわそわしたり。恐いものでも見たように、急に青い顔で俯いたり」



曖昧に笑って、二人は北本にお礼を言ってその場を去った。



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