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特別編8






ーーーー人の子はかわいらしいが、好きにはなれぬ。表情のある生物はどうも苦手であります。


















コホコホと、咳をする雪野に塔子が気付く。



「雪野ちゃん咳が出てるわ。寒くない?」

『あ、大丈夫です。ちょっと空気が乾燥してるだけですよ』

「最近寒くなってきたものね。そうだわ」



思いついたように塔子は笑った。



「今日は柚子湯にしましょうか」

『わ、いいですね。じゃあ早速拾ってきます』

「ダメよ、咳が出てるのに。私が…」

『大丈夫ですから。いってきます』



コートとマフラーを装備して、早速雪野は柚拾いへと出かけた。



『ありがとうございました』



柚を拾わせてくれた家主に挨拶をして、袋いっぱいの柚を見下ろす。



『少し拾いすぎたかな…あ』



前の方を歩く夏目と斑、それにちょびの後ろ姿を見つけた雪野は手を挙げた。



『おーい』



声に振り向いた夏目達に手を振り駆け寄る。



『久しぶりだねちょび』

「む?雪野、その袋の中身はなんだ?」



匂いに気づいたらしい斑が一番に聞いた。



『柚だよ。今日は柚子湯だって』

「へえ、いいな。楽しみだ…あ、ちょびも少しいるか?」

『たくさんあるから、少しあげるよ』



笑いかける夏目と雪野に、ちょびは無表情ながらも考える。



「ーーーー人の子は苦手であります」

「…急にどうした?」



呟いたちょびに二人はん?と戸惑い目を瞬かせるしかない。



「柚は嫌いだったかい?」



微笑む夏目を、ちょびは見つめた。



「ーーーーいえ。頂くであります」



ちょびが受け取ると、嬉しそうに夏目と雪野は笑った。

ーーーー小さなことで、怒ったり笑ったり、うつむいたり…孤高で高貴な私の目も。






つられて

ゆらりと

揺れる気がするのであります。





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