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特別編6







「しょうもな!!」



花見の席。ヒノエにレイコとミヨの出会いの話を何気なく雪野が尋ねたことから、始まった。

大事な簪を返してやる代わりに、森の出口を教えろ。教えないならカラスの餌にする。という、なんともタチの悪いレイコとミヨにヒノエは心を射抜かれた。

そして、聴き終えた斑が冒頭の一言を吐き捨てた。



「いつ聞いてもお前とレイコとミヨの出会い話はビミョウだなっ」

『(何回も聞いてるんだ)』

「それは…悪かったなヒノエ」



美しいと言われながらもタチの悪い性格の祖母に、孫たちは複雑な心境。



『でも、ヒノエの名前って友人帳にないよね。名前をもらえーって、ヒノエならアタックしそうだけど』

「ああ。もちろん猛アタックを繰りかえしたさ。しかし、一度言うこときかせた妖に興味はないとあしらわれた」



なるほどと納得。



「まぁ、それでも私は構わなかった」



煙管を外して、ヒノエは酒を一口飲むと思い出すように目を閉じた。



「出会い方も追っかけた日々もたあいないものだったけれど、なぜか何もかも忘れがたくーーーー…私にとっては昨日のことのようさ。それが人にとっては…孫とはねぇ…」

「『……』」



しんみりとした空気の中、ヒノエは夏目と雪野を見つめると、煙管と酒を置いた。



「だからこうして可愛がりたくなる気持ちもわかるだろう!?」

『ぎゃーーーー!?』



力一杯抱きしめてきたヒノエに雪野は悲鳴。



「ヒノエ、雪野が引いてる」

「よさんか色ボケ妖怪。酒がまずくなる」



宥めようとした夏目だが、斑の余計な一言に喧嘩勃発。



「雪野と夏目だけを花見にさそったのに。帰れねこまんじゅう!」

「私のチューハイをのんでおきながら何たるタイド!!クチビルおばけめ」

「やめろよもーよっぱらいども」



喧嘩して大騒ぎな斑とヒノエに呆れながらも、夏目と雪野は顔を見合わせると可笑しそうに笑った。





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