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「おーい、みんな無事ー?」
「!ナツメとタキだ」
合流した夏目とタキにカイは駆け寄る。
『先生を呼んでくれたんだよね?ありがとう』
「ケガとか…大丈夫そうだな。よかった…」
『そっちも…』
ん?と、雪野は目の端に人影を見つけた気がした。よく目を凝らすと、何かが背を向け立ち去る様子が。
ーーーーだっ.
「雪野!?」
『貴志君は二人の側にいて!』
カイに何か関係しているのか。いてもたってもいられず、考えるより先に追いかけだした。
『(…あの妖以外にも、カイを狙う何者かがいる。たぶん、カイを箱にとじこめたやつだ)』
ーーーーでも、カイも変なことを言ってた。鍵をかけられたとか言っていたけど、あの箱に……鍵なんてついてなかった。
『(曲がった)』
ーーーーそうだ。確か、開いた箱のフタの隅にはーーーー…。
『あっ…』
ーーーー封の字が、書かれていた。
『!!』
それを思い出したのは、曲がった先で待ち構えていた人物と対面した瞬間だった。
「ーーーーやれやれ。今回は君や夏目を巻き込まないようにしていたのに、まさか君のほうから飛びこんでくるとは…」
『…な……名取さん!?』
驚き目を見開く雪野。最近姿を見ないと思えばだから、余計に驚きが増す。
『どうして、名取さんが…?あ、ひょっとしてカイをつけてたのって名取さん!?』
「そうだよ」
『どうして…』
「雪野ちゃん、あの子には近づかないほうがいい」
『ーーーーどういうことですか』
一方的なそのセリフに眉根を寄せる雪野に、名取は薄く笑った。
「わからないかい?あの子は「妖」だ」
ーーーーえ?
「人に化けて普通の人間のふりをしていられる程の力を持った妖だ」
目を見張る雪野に名取は言う。
「私はあれを退治するために来たんだよ」
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