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特別編4







あ。と。頼まれた買い物帰り、空き地に腰を下ろす雪野と田沼はばったり出会した。



「よ、鈴木」

『こんにちは。買い物帰り?』

「ああ。鈴木は?」

『ニャンコ先生の散歩。あの辺りにいるよ多分』



生い茂る草の向こうを指差し雪野は笑う。



「隣いいか?」

『うん』



買い物袋をおいて、雪野の隣に腰を下ろす。



「今日は夏目は一緒じゃないのか?」

『家に居ると思うよ。今日は私が散歩の当番だったから』

「へえ。なんか、お前たちっていつも一緒にいるイメージだからさ」



そう笑うと、一瞬の間の後雪野はカッと頬を紅潮させた。



『そ、そういうイメージなの?』

「あ、いや、おれが勝手に思ってるだけだから…」



まさかそういう反応が返ってくるとはと、こちらまで照れてしまう。なぜか。



「雪野ー」

『先生?』



ん?と声の方に顔を向けていた雪野があ、と田沼へ振り向く。



『先生のこと、黙っててごめん。その…タイミングっていうか、切り出し方がわからなくて…』

「…いいよ。謝る必要なんてないだろ」



後ろめたさに暗い表情を浮かべた雪野に微笑む。まだ気にしてる様子だが、笑った雪野。



「ーーーー…なあ、鈴木」

『ん?』

「前に見せた、天井の魚覚えてるか?」

『ああ、うん。覚えてるよ。綺麗な色をしてたから』

「ーーーーー…」



何色なんだ?

そう尋ねようとした田沼だったが、声に出なかった。代わりに、脳裏に夏目と花火を見た時を思い出す。



「…」

『田沼君?』

「…いや、なんでもない。何色なのか聞こうと思ったけどーーーーいつか、夏目に自分で聞くよ」



そう言うと、雪野は綻ぶように笑った。



『そっか』



ーーーーあの魚は、一体どんな色なのだろう。



「雪野ー!」

『あ、やば…じゃあ行くね。また明日』

「ああ。またな」



仕方なさそうに斑のもとへ向かう雪野を見送り、田沼も立ち上がる。



「(ーーーーいつか、話してくれるだろうか)」



ーーーーいつか訊くことができるだろうか…。

そのいつかが、そう遠くないといいなと、田沼は家へと歩き出した。





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