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特別編3







『先生!ニャンコ先生』



夕飯の支度を抜け出し雪野は部屋でくつろいでいた斑を睨みつける。



『冷蔵庫のエビがないって塔子さんが…先生食べたでしょう。家の人に迷惑かけないでよ』

「私は知らんぞ。エビの一匹や十三匹でうだうだいうな、この愚民めが…」



怒りを込めて雪野が斑を踏みつけると、斑の口からエビの尻尾が出てきた。



「ヤクザめ。フリョウめ。ハゲ!幽霊モドキ!」

『何!?まちなさい』



逃げ足早く、斑はさっさと窓から外へ。その夜結局、斑は帰ってこなかった。



「もう昼時だけど…珍しいな、先生が家出なんて」

『いつもひょっこり帰ってくるのに…』



ーーーーザアァ.



「あ…雨だ」

『本当だ』



音に気づいた夏目が外を見ると、雨が降り始めていた。



「塔子さん、傘持って行ってたかな…届けようかな」

『ーーーー私、先生探してくる』



バタバタと小走りに雪野は傘を手にして、雨の中斑を探しに出かけた。



『先生ー』



近場を適当に歩きキョロキョロと雪野は斑を探す。



『ニャンコ先生ー、どこー』



一旦戻ろうか。そうため息まじりに考え、もう一度、先生ー。と呼びかけた時だった。



「雪野」

『!』



聞こえた声に足を止め振り向いた雪野は、そこにいた斑に安心したように笑った。



『やっと見つけた先生。帰ろう』



手を伸ばした雪野に、斑は抵抗せずジャンプし抱き上げられた。



『帰ったらお風呂だね。風邪引くよー』

「妖が風邪など引くものか。第一私はまだ許しとらんのだからな」

『はいはい』



斑を無事見つけた雪野はそんな軽口をクスクスと笑って家へと帰った。





END.
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