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「#甘甘」のBL小説を読む
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「お話に上がっている新入生の名前…もしや、シエル・ファントムハイヴという名ではありませんか?」

「なんだ、知り合いか?」



意外そうに見てきたレドモンドに「はい」とエドワードは頷く。



「あいつは僕のいとこでリジー…いや、妹の婚約者です」



うーん、とエドワードは信じられないと腕を組む。



「まさかあいつがこの学校に入学してたなんて…」

「ま、ココにゃ英国中のお坊ちゃんが集まるわけだし、珍しくもねーだろ」



「手紙きてないとか嫌われてんじゃねえのお前」というチェスロックの言葉に若干傷つきながらもスルー。



「先日事故のあったカンパニア号にも同船していて…」

「へえ!あの豪華客船沈没事故のか」



レドモンドの声が少しはずんだ。



「それは是非ココに呼んで話が聞きたいな」

「えっ?」



レドモンドの後ろでモーリスが反応した。



「あれだけ人が亡くなったのに不謹慎だぞレドモンド」

「俺はただかわい子ちゃんの旅の話を聞きたいだけさ」



グリーンヒルの言葉をかわす。



「毎日ムサイ顔ばかり見るのも飽きてきたとこだ。お前らだって、自慢の紅茶と軽食ってのは気になるだろ?」



じっとレドモンドを見つめて話を聞いていたモーリスは笑顔を浮かべた。



「僕は知らなかったけど、そんなに凄い子なんですね!でも新入生をいきなりこんな上級生ばかりの所に呼ぶと、緊張させてしまうかも」

「僕はいいと思います」



モーリスが言い終わるか終わらないかでかぶせるように、エドワードが言った。



「身内だからこそ厳しく接しているつもりでいます」



「でも」と、エドワードは手を握りしめる。



「あの年で立派に家督を継いでいるあいつを、僕は男として尊敬する」



真っ直ぐ前を見て、雑念なんかない思いをハッキリと言ったエドワードにグリーンヒルは笑う。



「お前がそこまで言うなら、俺も賛成しよう」

「グリーンヒル先輩…」

「ヴァイオレットは?」

「面白そうだし呼べば?」



そうレドモンドに返したバイオレットは、なんと結局あの魔女の毒液のような紅茶?を飲んでいた。



「じゃあ決まりだ!いいよなロレンス」

「お前がそれをやめるなら」



仕方なさそうに、もうどうにでもなれというようにブルーアーはため息まじりに言う。というか、どーしてもファーストネームで呼ばれたくないのだろうか。



「で?いつ呼ぶ?」

「明日でいいんじゃないか?」

「じゃあ明日の午後2時に」

「じゃあ」



わいわいと早速日時を決めていた中、弾んだ声が響いた。



「善は急げと言いますし、今から僕が伝えてきますよ!明日の午後2時ですね」



楽しみだ。そう言いたげな笑顔で名乗り出たのは、モーリスだった。













【聖迷宮】



「シスター・アンジェ」



シスターの寮となる聖迷宮の一室で書類整理をしていたダリアは顔を上げた。



「こちら、午後の連絡網ですわ。ミカエリス先生によろしくお願いしますね」

『ええ。わかりました』

「他のシスターにはもうお伝えしましたから、安心してください」

『はい』



笑顔で書類を受け取り、伝えにきたシスターが部屋を出て行くや盛大にため息。



『なんだって私があいつのために動かないといけないのよ…』



苛立ちを含ませながらも、受け取った書類を手に席を立ち校舎へと向かう。すれ違う生徒に挨拶を返しながら探すと、廊下の先にセバスチャンを発見し声をかけた。



『ミカエリス先生』

「シスター・アンジェ」

『こちら、午後の連絡網となります』

「ありがとうございます」



笑顔で受け取ったセバスチャンは愉快そうに細く目を開けた。



「偉いじゃありませんか。しっかり仕事をなさって」

『ふん…』

「よほどお仕置きがきいたようですね」

『っ…違う!!』



大声を出したダリアは周りからの目にハッとして誤魔化すように咳払い。



『ミ、ミカエリス先生。何か手伝う事があれば手伝いますが』

「では、次の授業では生徒たちのサポートをして頂けますか?」

『ええ』



生徒たちから見えないようにセバスチャンに持っていた本の角をぶつけようとしたが、セバスチャンはそれを手で軽く制していた。



「先生、シスター、こんにちは」

「『こんにちは』」



笑顔でのやり取りに、勿論生徒たちは気づくわけなかった。



「ねえ君」



廊下を歩いていたその生徒は、その声に呼び止められ振り向く。



「呼んでほしい子がいるんだけど…」



声の主を見たその生徒は、信じられないと徐々に頬を赤くするとダッシュした。



「ファファファ、ファントムハイヴッ」



窓際でマクミランと会話していたシエルはただならぬ様子の呼び声にそちらを向く。



「コール先輩からお呼び出しだぞ!」



一気に教室がざわつき注目を浴びた。



「ええッ、コール先輩から!?」

「オレ初めて喋った!!」

「はあ?誰だそれは?」



隣のマクミランや呼びに来た生徒は興奮気味だが、当の本人シエルは首を傾げる。



「深紅の狐寮の監督生の寮弟、モーリス・コール先輩知らないの!?」

「学園一の美少年なんだぞ!!どこで知り合ったの?」

「いや、会ったこともないが…」



何故美少年で盛り上がる?



「いいから早く行きなよ!!」

「あっ、ああ…!?」



グイグイと二人から背中を押され、シエルは廊下へと出た。廊下の窓際に立っていた上級生が振り向いた。



「君がファントムハイヴ君?初めまして!僕はレドモンド先輩の寮弟のモーリス・コール」

「シエル・ファントムハイヴです」



と、名乗るが何故かモーリスはじ〜と品定めするかのように見下ろしてきて、なんなのかと内心困る。



「あの…何かご用ですか?」

「ああ!そうだった」



ぽん!と両手を打ち鳴らして笑顔を浮かべる。



「実は監督生とその寮弟だけでよく白鳥宮に集まってるんだけど、すごく優秀な新入生がいるって話になってね」

「はぁ…」



それが?とまだ合点がいかない。



「これは是非とも一度お話してみたいってことになったんだ。だからファントムハイヴ君、明日白鳥宮に来てくれない?」

「!!」



ーーーーこれは…一気にP4に近付くチャンス!!



「もちろん、お受けします!」



願ったり叶ったりの誘いに内心ほくそ笑む。





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