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「#幼馴染」のBL小説を読む
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その執事、見当





【カンパニア号・第二ボイラー室】



「なんだ今の揺れは?」



地震でもきたかのような大きな揺れに他の整備士達もざわつく。と、その時地鳴りのような音が。



「ん?」



ーーーードッ.



「うわああッ」

「『きゃあッ』」



いきなり壁をやぶって大量の水が入ってきたため全員が流された。

ーーーージリリリリ.



「この警報は!」



甲高い音が鳴り響いた時、ガコンッと何かが動く音が。



「水密扉が閉じるぞ!!」



実はこの船、巨大な氷山にぶつかり船に多大な損傷が。水密扉はセバスチャンが咄嗟の判断で、これ以上の浸水を少しでも防ぐためにスイッチを押したのだが…。



「急げ!!閉じ込められるぞ!!」



水密扉の向こう側に行っていたが、はっとシエルは振り向く。



「ダリア!!リジー!!」

「『シエル!』」

「急げ嬢ちゃん達!」

「待って…!」



ダリアがエリザベスの手を取り急ごうとするが、二人ともドレスが水を吸った重みでなかなか進まない。



「もう無理だボウズ!」

「ダリア!!リジーーーー!!」

「シ…」



ーーーーゴウ…ン.

閉じられた水密扉。だが、シエルはダリア達側の方にいた。ダリアは唖然と目を見開く。



『シエルどうして!?』

「絶対に守ると約束した!」



驚いている二人の手をシエルはギュッと握る。



「スネーク!」



水密扉越しにシエルは言う。



「お前達は先に行け!」

「貴方達を置いては行けないわ!ってエミリーが言ってる」



それを聞いてダリアは水の恐怖を振り払ってキョロキョロと辺りを見渡し上を見た。



『心配しないで!ダクトから脱出するわ!』



いつも通りに戻ったダリアに少しばかりホッとしたシエルはスネークに再び言う。



「お前の友達は冷水に浸かりすぎるとまずいんだろう!?行け!」

「!」



スネークはバッと一匹の蛇を天井の柱に投げて巻きつけた。



「スマイル!リトル!」



ダクトに向かいながら聞こえてきたスネークの声を聞く。



「ダクトの中はキーツが案内してくれるわ!後で落ち合いましょう!ってエミリーが言ってる」

「ああ!後で必ず!」

『急ぐわよ!』



水の中から出て階段を駆け上がり、シエルはダクトの入口を外す。



『リジー』

「はい!」



ダクトを見たダリアは二重になっていたスカートを脱ぎ払うとエリザベスに言った。



『まずその服を脱いで!』



ミニドレス姿になったダリアを見て意味がわかったエリザベスは首を横に振る。



「イッ、イヤ!」

『なっ』

「ワガママを言うな!この中を通るにはそのスカートじゃ「絶対イヤッ」



エリザベスは拒否する。



「あたしシエルの前では最後まで可愛い姿でいたいの!!」



普段なら呆れるだけだったが事が事なだけに二人は呆れることはなく、変わりにイラつきが出てきた。



『いい加減にして!!』

「!?」



ーーーービッ.



「ダリア姉様!?」



エリザベスの背後に来るとダリアはエリザベスのドレスを背中から破いた。



「何するのイヤッ…」

「死んだら二度と好きな服が着れなくなるんだぞ!!」



怒鳴ったシエルにビクッ、とエリザベスは口を閉じる。



『死んだらおしまいなのよ!』

「『何もかも!!』」

「……っ」



立っている二人を見上げていたエリザベスはしゃがみ込んだまま泣き出した。



「ご…めんなさい…」



エリザベスのその言葉と涙に二人は眉を下げる。



「今度ニナに頼んで新しいドレスを仕立ててやる」



言いながらシエルは自分が着ていたジャケットをエリザベスの肩にかける。



「今日のよりずっといいヤツを。だから…」

「ううん。わがまま言って二人ともごめんなさい」

『私も乱暴にして悪かったわ』

「僕も怒鳴ったりしてすまなかった」



互いに謝ってダリアとエリザベスの準備が出来て動き出す。



「さあ急い…ゴホゲホッ」

「シエル!?」



ハッと先に上っていたダリアはシエルを見る。



「水が入ってむせただけだ。ダリア、早く上がれ!」

「…………」

『…ええ』



ぎゅ、とパイプをつかむと再びダリアは登り始めた。





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