6三人が狼狽えていると一人(?)がボソッと呟いた。
「ち…けっこう生き残ってんじゃねーか」
「ヒッ!?ど…どなた様ですかぁ―――!?」
まるで死んでくれてた方がよかった発言にビビる三人。そこへゆらりと現れたのは…。
「あんまりトンネルがこわれなかったようだな…とにかく…ここにいる全員…皆殺し≠カゃ」
ガゴゼだった。
「若もろともな…」
「ひ…」
「ああ…こっちへ…」
ザッザッと徐々に三人へと近づくガゴゼたち。
「よ、妖怪………ッ」
そこで一気にガゴゼたちは三人へと襲いかかった。
「あああああああああああああああ」
もうだめだと思ったその時だった。
――――ゴバッ.
「おほ…見つけましたぜ若ァ。生きてるみたいですぜー」
瓦礫をやぶって入ってきたのは妖怪たちを従えたリクオ率いる奴良組であった。
「…ガゴゼ。貴様…なぜそこにいる?」
「ガ…ガゴゼさま…」
「…………本家の奴らめ…」
見下ろしながらリクオが問うと、奴良組の登場に焦り始めたガゴゼ会の者達。
「こ…今度は何ーーーー?」
「そ…そんな…こんなぁ…」
「なんだよー清継くんーーーー」
「わ…わからん…こんなの…何かの間違いだァーーーー!!」
妖怪などいないと言い切っていた清継は目の前の光景に混乱状態だ。
―――トッ.
乗っていた妖怪から飛び降りるとリクオはスッと横へと視線を向けた。
「よ〜しよしもう大丈夫だよ」
カナ達を安心させようとしていた妖怪たちだったが、顔が怖いせいで逆に怖がらせていた。
「やめろ。おめーらは顔コエーんだから」
「ヘ…ヘイ若…」
ずばり言い切ったリクオの言葉に若干傷つきながらも離れる。
「………」
三人とももう泣いてしまっており手遅れだったが。特に男二人が。
「よかった…無事で。カナちゃん、怖いから目つぶってな」
「……?誰………?」
姿も声も殆ど変わってしまったリクオに、気づくはずもない。
「……これはこれは木魚達磨どの…」
「しらばっくれるな!!貴様……何したかわかっておるのか!?」
「……………はて、私は…ただ人間のガキ共を襲っていた……それだけだが…?」
「!」
「何の…問題もないはずだろう…」
「ガ…ガゴゼ…!!」
確かに、妖怪ならばこれは当然の事なのだ。そう言われてしまえば、木魚達磨は言葉を詰まらせる事しか出来なかった。
しかし、リクオは違った。
「子供を殺して大物ヅラか」
「!?」
「オレを抹殺し、三代目を我がモノにしようとしたんなら…ガゴゼよ。てめぇは本当に…小せぇ妖怪だぜ」
ドン、と言い切ったリクオにそれはもう凄い勢いで水妖が頷いていた。しかし、それもすぐに止まることになる。ガゴゼの手下がリクオに掴みかかったのだ。
「なんだぁ〜貴様は」
「!?待て…その方は」
木魚達磨が慌てて止めようとしたが必要なかった。
「リクオ様には一歩も近付かせん。ガゴゼ会の死屍妖怪どもよ…」
「てめ…!」
リクオに掴みかかった手下の手首には、糸が巻き付いていた。バッと振り返り空いた手で取ろうとすれば、今度は逆からもう片方の手も動きを封じられた。
「なっ…!?」
見ると、頭がない身体が両手でしっかりと糸を握っていた。
「絡新婦の糸と毛倡妓の髪をよってあわせた特製の糸だ。動けばさらにしめる!」
手下の顔の後ろで頭だけの首無が言うと、手下はサッと振り向くがすぐに糸で骨が折れる凄まじい音を出しながら絞め殺された。
「な………」
「こいつら……」
「こいつがリクオ…だと…?」
思ってもみなかった事に驚くガゴゼ達。
「生きていたのか…お…おのれ…くそっ…!!殺せ!!この場で…若を殺せ!!」
若を殺せ発言に水妖はサッと武器の扇を取り出し構えた。
「ぬるま湯にそまった本家のクソどももろとも!!全滅させてしまえ!!」
ガゴゼの言葉を合図にリクオへと手下どもは襲いかかっていった。
「若!!」
前へと出たのは青田坊と黒田坊。
「力仕事は…」
ーーーーグシャアアアア.
「突撃隊長青田坊にまかせてもらおーか!!」
片手で手下どもを押し潰した青田坊は、ドーーーーンとそう言い放った。
「貴様一人ではないぞ突撃隊長はーーーーっ!」
戦いながらも黒田坊がムキになって言う。そこは譲れないようだ。
喰われ、凍らされ、干からび、次々と倒されていくガゴゼ会の妖怪ども。
「こ…こんなバカな…私の組が…そんな…誰よりも…殺してきた…最強軍団なのに…」
粗方倒した水妖はガゴゼを見ると扇を閉じた。
『ガゴゼ』
反乱者に様付けする必要は無いと呼び捨て。水妖の周りに雪女たちが集まる。
『妖怪の主になるという方が、人間いくら殺したからと…自慢になるの』
「う…」
ガーン、と水妖の言葉にショックを受けるガゴゼ。やりはしないが、やろうと思えば水妖たちだって簡単に人間は殺せる。
「あきらめろ。この企み……指つめどころじゃすまされんぜ」
「く…………ん?」
ガゴゼが見た先にはカナ達が。
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