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困った時は笑っとけ




「決めた。わしゃ空にいくぜよ」


その日の夜は、今起こっている現状なんて忘れさせるくらい無数の星が輝いていた。辰馬は屋根の上でその夜空を目に焼き付けるように見つめながら、隣にいる銀時と架珠へ語りかけた。


「このまま地べたはいずり回って天人と戦ったところで、先は見えちょる。わしらがこうしちょる間にも、天人はじゃんじゃん地球に来ちょるきに。押しよせる時代の波にはさからえんぜよ」


今まで戦いながらも考えていた事をこうして打ち明けるのは初めてだった。


「こんな戦はいたずらに仲間死ににいかせるだけじゃ。わしゃ、もう仲間が死ぬとこは見たくない」


屋根の下には、ケガをしたたくさんの者たちがいた。


「これからはもっと高い視点をもって生きねばダメじゃ。そう、地球人も天人も、いや星さえも見わたせる高い視点がのー。だからわしゃ、空にいく。宇宙にデカい船浮かべて、星ごとすくいあげる漁をするんじゃ」


そこまで言って辰馬は隣にいる二人へと視線を向けた。二人に打ち明けた本当の理由は、この先にある。


「どうじゃ銀時、架珠?おんしゃらこの狭か星にとじこめておくには勿体ないデカか奴らじゃけー。わしと一緒に…」
「『ぐーぐー』」


意を決して話した内容なんて聞いていたのかいないのか。二人揃って屋根に寝転がりイビキをかいているのを見て、辰馬は空へと豪快に笑った。


「アッハッハッハッハッハッー。天よォ!!コイツらに隕石ば叩き落としてくださーいアッハッハッハッ」















「はっ!!ハハ、危ない危ない。あまりにも暑いもんじゃけー昔のことが走馬灯のように駆けめぐりかけたぜよ。何とか助かったってのに危なか〜」
「助かっただァ?コレのどこが助かったってんだよ…」


落ちた場所はなぜか一面砂漠に太陽が二つもある星だった。


「大体テメーが舵折らなきゃこんなことにはならなかったんだぞ」
「アッハッハッハッ。数行前のことなんか忘れたぜよ!男は前だけ見て生きてくもんろー」
「なーにすっとぼけてんだコノ毛玉ァ!!」
「あーもう暑いから騒ぐなや〜!!」


隣でなんか騒いでるけど、あまりの暑さに参加する気力もなかった。今ならアイスのように溶けれる気がする…あ、アイス食べたい。


「ちょ、架珠さん大丈夫ですか?目がすわってますよ」
『…なんでゴリラがいんの?』
「ゴリラって近藤さん?僕あんなのと間違えられてんの!?あーもーダメだ!誰も信用できねー!おしまいだァァ!!」
「アッ!!なんだアレ!?」
「『!!』」


空から徐々に近づいてきているのは……船!!


『あーっ!生き返った!』


こんなに水をおいしいと思ったの初めてだよ。あの後私らはやってきた辰馬の会社となっている快援隊に保護された。


「オイ架珠タルとれ」
『神楽まだ飲むの?』


タル一個すでに空じゃん。それでも飲み足りないのか銀ちゃんのまで奪おうとして、挙げ句の果てには私のまで奪い出そうとする始末。その時、悲鳴が私らの耳に聞こえてそちらを見れば、なぜか人が砂から出た触手につかまっていた。え、なにアレ?え、やだ。

じーっと眺めていると辰馬まで捕まり、その際辰馬の発砲した銃で他の奴らは助かった。辰馬はどーするのかと思っていれば、砂の中から触手の本体のデカい変な生き物が出てきてびっくり。さらに大砲で攻撃したせいで、生き物は辰馬を連れたまままた砂の中へと潜り始めて私は焦った。


『ちょっ、辰馬ァ!』


鉄扇を手にして大砲へと突き刺したが、それは私だけではなく、木刀を銀ちゃんは大砲に突き刺していた。


『こんなものぶちこむから、ビビってもぐっちゃったんでしょーが』
「やっこさんが寝てたのを起こしたのは俺達だぜ。大義を通す前に、マナーを通せマナーを」
「銀さん!」
「オメーに言われたくねーよ」


え、なにあの人こわっ。


『辰馬ァ、アンタ星をすくうとかデカイ事吐いてたくせにこれで終わりなの!?』
「昔からテメーは口だけだ…俺を見ろ俺を。自分(テメー)の思った通り生きてっぞォォ!!


私らは砂の中へと飛び込んだ。






「……そーか。お前らがおりゃあ面白か漁になると思っちょったんだがの〜」
「ワリーな。こう見えても地球(ココ)が好きでね」
『私も』
「宇宙でもどこでもいって暴れ回ってこいよ。おめーにゃちまい漁なんざ似合わねー」
『おっきな網宇宙にブン投げて、星でも何でも釣りなよ』
「…おんしゃら、これからどーするがか?」
「俺か?そーさな…俺ァのんびり地球(ココ)で釣り糸たらすさ。地べた落っこっちまった流れ星でも釣り上げて、もっぺん宙にリリースよ」
『じゃー私は弁当でも作ってやろーかな』
「へェ、期待せず待つとするか」





しっかりと辰馬の手をとり私らは地上へと出た。


「!!あー坂本さんじゃ!!」
「坂本さんが生きちょっだぞォ!!」


あーつかれた。


「アッハッハッハッ。いやー助かったじゃき」
「何笑ってんだよオメーはよォ」
『たく、せっかくの旅行だったってのに…』
「銀時、架珠」
「『?』」
「…ありがとう」
「『……おう』」


next.

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