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昔の武勇伝は三増で話せ 盛り上がればいいんだよ盛り上がれば




「坂田サーン、オ登勢サンノ代ワリニ家賃ノ回収ニ参リマシタ。開ケテクダサーイ。イルノハワカッテマスヨ」


坂田サーン、アホノ坂田サーン、と万事屋の玄関からキャサリンの呼ぶ声が聞こえるが誰も出ない。それどころか鍵かけてテーブルの下に私らはいる。


「いいか、絶対動くなよ。気配を殺せ。自然と一体になるんだ。お前は宇宙の一部であり、宇宙はお前の一部だ…」
「宇宙は私の一部?スゴイや!小さな悩みなんてフッ飛んじゃうヨ!」


ガタガタと暴れ出した神楽に、ただでさえ狭いのにとイラッとした。


「うるせーよ静かにしろや!」
「アンタが一番うるさいよ!」
『いやアンタのツッコミが一番うるさい!』


てゆーか全員うるさい。すると急に外が静かになった。


「?静かになったな。帰ったか?」
「ナンカ、修学旅行ミタイデドキドキスルネ」


…………………。


「「「『ぎゃああああああああああ!!』」」」


お前いつの間にいたんだよおおお!!ガタガタとテーブルの下から慌てて抜け出して逃げようとしたが時すでに遅くお登勢さんのところへ連行されてしまった。


「キャサリンは鍵開けが十八番なんだ。たとえ金庫にたてこもろーがもう逃げられないよ」
「フン、金庫が開けられよーが中身が空じゃ仕方ねーだろ」
『ウチにはもうチクワと小銭しかないよ』
「『さァどーする』」
「どーするってお前らがこれからの生活どーすんだァ!!」


渋々ながらも私らはお登勢さんのお店の掃除中。


「とにかく、金がないのなら働いて返してもらうよ」


ーーーーガシャン.


「チャイナ娘ェェ!!雑巾がけはいいからお前はおとなしくしてろォ!!バーさんのお願い!」


雑巾がけをしていた神楽はテーブルにつっこんで破壊した。


「ソレガ終ワッタラ私ノタバコ買ッテキナ」
「てめーも働けっつの!」


スパンと便所スリッパでキャサリンは叩かれると動き始めた。


「しかしバーさん、アンタももの好きだねェ」


キャサリンの後ろ姿を見ながら銀ちゃんが言う。


「店の金かっぱらったコソ泥をもう一度雇うたァ。更正でもさせるつもりか?」
「そんなんじゃないよ。人手が足りなかっただけさーね…」
「盗み癖は天然パーマなみにとり難いって話だ」
『それはもう呪われてるかってくらいにね』
「ボーっとしてたらまた足元すくわれるぜバーさん」
「………大丈夫さ。あの娘はもうやらないよ。約束したからね」


……ふーん…お人好しだなお登勢さんも。まあそんな言えた義理じゃないけど。


「それよりお前らも働…」
「『……………』」


振り向いた先に銀ちゃんの姿はなかった。あのクソパァァ!!

ーーーーカチャカチャ.


「ズルイヨ銀ちゃん一人だけ逃げるなんて…おかげで私たち仕事量倍ネ」
「もう部屋は貸さないってお登勢さん怒り狂ってたよ、僕らどーなるんだろ」
『新八ィアンタはいいっしょ?私と神楽なんてとばっちりで追い出されたんだぞ』


外へと空きビンとダンボールを運ぶ私ら。あーこのビンあのパーにぶつけたい。


「コノダンボールアゲマショーカ?」
「住めってか!ソレに住めってか!」
「ふざけるなヨ!こんなものに住めるわけない!Lサイズにしてヨ!」
「アレいいのかコレ!?間違ってねーかコレ!?」


ズボッと頭からダンボールかぶった神楽。私はヤだよそんなホームレスなんて。


「オ登勢サンニ迷惑カケル奴ハ私許シマセン。家賃モ払ワナイオ前ラナンテダンボールト一緒ニ廃品回収サレレバイイ」


あ゛?


『んだとォォ一番の迷惑者は泥棒やってたテメーだろがこのブス猫ォォ!!』
「その耳ちぎってただの団地妻にしてやろーかァァ!!」
「ナニヲー!!オ前コソ語尾カラアル<`ギッテ凡ヨウナキャラニシテヤローカァ!?」


取っ組み合いを始めた私らに新八が近づく。


「ああもうおちついて三人とも!」
「ウルサイアル!お前も顔から眼鏡ちぎりとってさらに影うすくしてやろーか!!」
『ツッコミという役割をとってもはや通行人Aにしてやろーか!!』
「んだとォォォォォォコラァァァァァ!!てめーらはこの世界におけるツッコミの大切さをわかってねーんだよ!」


とっくみあいに新八まで加わってきた時だった。


「オゥオゥキャサリン元気そーだな!」
「!」


ん?誰?


「探したぜ〜」
「……クッ…クリカン…」


すごく驚いているキャサリン。知り合いか?


「ぎゃああああ!!ゴメンナサイ!ゴメンナサイ!」


神楽にボコられている新八はスルー…にしたかったけど、キャサリンが男につれてかれちゃったので気になった私は二人を止めてついていった。なんでも、あのクリカンとかいう奴は昔泥棒していた時のキャサリンの仲間とか。縁を切ったキャサリンの鍵開けの技術が必要でまた誘いにきたようだ。断っているみたいだけど、バーさんの名前を出され迷いだしたキャサリンに、クリカンは丑の刻三丁目の工場裏でまってると…それを聞いた私らはすぐさまスナックへと戻った。


「ヘェーそうなんだ」


知らせてバーさんからの一言目。


「そうなんだ≠チてお登勢さん!このままじゃキャサリンまた泥棒になっちゃいますよ」
「ほっときゃいいんじゃね、いつかやると思ったヨ俺ァ」
「銀さんだ、ちっちゃい銀さんだ」
『似てるよ神楽』


ーーーーガララ.


「そうそう、ほっとけほっとけ」
「!」
『銀ちゃん』
「芯のない奴ァほっといても折れていく。芯のある奴ァ、ほっといてもまっすぐ歩いていくもんさ」


手に抱えていた紙袋から銀ちゃんが取り出したのは結野アナのフィギュア。


「俺の宝物よ。これで何とか手を打ってくれ」


打つわけねーだろ。

ーーーーガシャアン.

私はビールビンを銀ちゃんへとおもっくそ叩きつけバーさんは殴り外へとぶっ飛ばした。


「…ったく、バカばっかりだよ。アンタらもさっさと出ていきな」


あーあ。追い出されちゃった。まあ、このまま引き下がったりはしないけどね。復活した銀ちゃんと一緒にキャサリンのもとへといくと、キャサリンはクリカンにボコられていた。


「オイ服部刀貸せェ!!この女耳きりとってただの団地妻にしてやらァ!!」
『そんなもんねーよ』
「ああ!?お前もってたろーが…て、女の声?」


不思議そうにこちらを向いたクリカン。


『もってねーって言ってんだろクソヤロー。でも、隣の奴があげるってよ』
「!!」


私と銀ちゃんは見上げてきたクリカンにどす黒い笑顔を見せる。


「おうよ。木刀ならいつでも…」
「てっ…てめーらは!?」
「くれてやるぜェェェ!!」


言うと共に木刀でぶっ飛ばした銀ちゃん。


「よっと」


私らは土管から出る。少し離れた先では仲間と思わしき二人がのびている。


「類は友を呼ぶとはよく言ったもんだね。お前、ロクな人生送ってきてねーだろ?」
『ま、私らも変わんないっしょ』
「だな…人様に胸はれるよーな人生送っちゃいねェ、まっすぐ走ってきたつもりがいつの間にか泥だらけだ。だが、それでも一心不乱に突っ走ってりゃ、いつか泥も乾いて落ちんだろ」


ジッと見ていたキャサリンが目を閉じ立ち上がった。


「ソンナコト言ウタメニキタンデスカ、坂田サン、田川サン。アナタ達本当ニアホノ坂田ト田川デス」
『いやさァ、実はどっかの誰かさんのせいでバーさんに家追い出されてさァ』
「今日は土管で寝ようと思ったんだが…キャサリン、お前助けてやったんだから口ききしてくんねーか?」
















「……ですって。どーですかね、家賃三ヶ月分ぐらいの働きはしたんじゃないですか?」
「…ハァー。バカかお前は、一月分だよ……」


なんとか追い出されずにすんだ私らだった。


next.

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