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飼い主とペットは似る




「『ふぬをををををを!!』」
「おめっ、ダメだってこんなとこで用たしたら…お前の排泄物はわんぱく坊主の夢よりでかいんだから!!」
『あーもー!!だから散歩なんて嫌だったのよ!!』


定春の散歩に出た私と銀ちゃんだったが、道の途中用をたそうとしだした定春。そんなことしたらクレームの嵐がくるので私らは必死にリードを引っ張る。


「チキショー神楽の奴、面倒は私が必ずみるアルとか言ってたくせによォ。最後はぜってーお母さんが犬の世話することになるんだよ!!」
『それって銀ちゃんじゃん』
「アレ?俺お母さん?」
「フン」
「『!』」
「ペットのしつけもできんとは情けない…」


この声は…。


「動物一匹自由にできんようで天下国家をどうして動かせようか…貴様らそれでも侍か!?」


振り返って見てみれば、そこにいたのはやっぱりヅラだった。ただ、いつもと違うものがプラスされていた……その隣の白いペンギンみたいな物体なに?


「ヅラァ、なんだソレ気持ちワル!!」


隣でこくこくと頷く私。


「気持ち悪くない!エリザベスだ」
『どんだけミスマッチな名前つけてんだ』
「単体で見るとそーでもねーが、お前とセットになると気持ちワリーよ。つーかお前が気持ち悪い!」


私はまた隣でこくこく頷く。


「坂本のバカがこのあいだ俺の所に来て勝手においていったんだ。大方、どこぞの星で拾って来たんだろう。相変わらず宇宙航海などにうつつをぬかしているらしいからな」


どこの星かめっさ気になるの私だけ?てゆーか…。


『アンタ、地球外生物は嫌いじゃなかった?』
「こんな思想も何もない者を、どう嫌いになれというんだ。それに…」


それに?


「けっこうカワイイだろう?」


……なっ…。

ヅラの言葉に私らは絶句した。カワイイって……今こいつカワイイって……。


「よーしいくぞエリザベス。今日は河川敷までいこうか!」





「ヘェーーーー。あの桂さんがねェ。意外なところもあるんスね」
『まーね。奴も丸くなったってことなんじゃないの?』


家へと帰り先程の事を話していた。定春は相変わらず銀ちゃんの頭にかぶりついている。


「ウチのももらってくんねーかな。生産性のねェ奴はウチにはいらねーよ。コイツが産むのはウンコと痛みだけじゃねーか!」
「そんな言い方定春に失礼アル。定春!そのままかみ砕くヨロシ」
「待て待て待て待て。わかったわかった!!ウンコと痛み、プラスシッコだ」
「ヨシ定春離してやれアル」
「ヨシじゃねーよ。ロクなモンプラスされてねーじゃねーか!」
『くだんね。テレビでもつけるか…』


リモコンをとるとテレビのスイッチを入れる。なんかおもしろそーな番組ないかな…。


「大体ペットは安らぎを与えてくれる存在ですよ。見返り求める方が間違ってますよ」
《番組では変なペットを募集しています》


私はチャンネルを変えていた指を止めた。


《鎖国解禁以来、我が国には天人と共に様々な生物がやって来ております。あなたの近所にも、変なペットがいませんか?当番組では、そんな変なかわいいペットを集めた、日本一を決定したいと思います。グランプリには豪華賞品が…》
「…安らぎと豪華賞品、どっちが欲しい?」


全員がテレビに釘付けの中、銀ちゃんが分かり切っている問いかけをした。


「変であることを恐れるな、変とはつまりオリジナリティーだ!第一回宇宙で一匹変てこペットグランプリぃぃぃぃぃ!!」


問い合わせてみたらまさかの出演が決定した。うわ、私らすごくね?


「ホントに来ちゃいましたね…」
「やるからにはてっぺん狙うぞ。気合いいれてけ」
『豪華賞品ってなんだろなァ』


できれば金が一番嬉しいんだけど。


「えーと、こちら坂田さんに食いついて離れないのが定春くん?っていうか大丈夫ですか」
「大丈夫っすよ。定春は賢い子だからちゃんと手加減してますからね〜」
「血ィ出てるんですけど…」
「銀さん、血ィ止めて止めて」


スプラッタ映画のワンシーンみたいだよ銀ちゃん。


「神楽ちゃん定春止めてよ!神楽ちゃんのいうことしかきかないんだから」
「ウン」


あれ、何かメッチャ冷や汗ダラッダラだけど。しかもカッチコッチして歩いてるし。


「定春ぅぅ!!メッ!!晩ご飯抜きにするアルヨ!!」
「オメーも抜きにされてーのか!?」


神楽が言った相手はカンペを持ったAD。バカ。


「……えーペット以上に個性的な飼い主さん達みたいですね」


それ褒めてんの?


「じゃあ、いったんCMでーす」
「ちょっとォちゃんとやってくださいよ。こんなんじゃ決勝まで残れるわけないでしょ!?」
「そーか?審査員の奴ら俺にくぎづけになってたぞ」
「そりゃくぎづけにもなるわ。鏡で自分の顔見てこい!!」
『夢に見れるくらいのインパクトがなきゃ優勝なんてできないよ』
「悪夢を見せるきか!!」
「三人とも動きがかたいネ。舞台をフルにつかっていこう!身体もっと動かそう!!」
「おめーが一番ガチガチじゃねーか!!」
「ハーイ、じゃあ次の方どーぞ」
「!!」


私らの対戦相手か…誰だろ。


「続いての変てこペットは、宇宙生物エリザベスちゃん。そして飼い主の宇宙キャプテンカツーラさんです」


見覚えのある顔と格好。


「…何やってんのアイツ」


ホント、何やってんだろ。


「指名手配中の奴が変装してまでテレビに出てきたよ」
「よほどペットが気に入ってるよーですね…」
「ペットもそーだけどあの衣装も気に入ってるアル」
『てかダサいんだよ、名前も衣装も存在も何もかも』
「えー、カツーラさん宇宙キャプテンって要するに何なんですかね?」
「要するに宇宙のキャプテンです」


そのまんまじゃねーかよ。


「えー、あちらの定春ちゃんと対戦し、勝ち残った方が決勝へと進めるわけですが、どーですか自身の程は?」
「あんなのタダのデカい犬じゃないですか!ウチの実家の太郎もアレぐらいありますよ」


ヅラの言いぐさに反応した銀ちゃんと私。


『んだとコラァヅラァ!てめーのなんかただの白いペンギンの化け物じゃねーか』
「てめーのそのペンギンオバケみてーな奴もな、ウチの実家じゃ水道の蛇口ひねったら普通に出てきたぞ」
「ばれるよ、ばれるウソは止めて!!」


もっとマトモなウソ言ってよ。


「それじゃ、アピールタイム終えて対決にうつらせてもらいます。私の投げたこのフライドチキンの骨を先にくわえ持ち帰った方が勝ち。飼い主の誘導もけっこーですよ」
「んなまどろっこしーの止めてよォ、男らしく殴り合いでいこーや?」
「望むところだ!」
「いやオメーらじゃねーよ!!いい加減にしろよオメーら!!」


バカだろやっぱ。でもまあ…。


『これ、もしかしたら勝っちゃうんじゃないの私ら』
「ええ、エリザベスはどう見ても鈍足そーですもんね!ねェ、神楽ちゃんもそうおもっ…」


振り返れば、なぜかADになってカンペを持っている神楽。ちなみにカンペには新八そこでボケる≠ニある。


「もう帰れば」


まあそんなこんなで対戦よーい。


「それじゃあいきますよォォ位置についてェェよ〜い」


司会者から骨が投げられた。


「ど〜ん!!」


一斉に動き出した二匹。だったが…。


「ああーっとこれはっ…!!」


げ。


「おわァァァァァァァ!!バカおめっあっちだって!いだだ」


なんと定春の奴骨に見向きもせず銀ちゃんへと飛びついた。お前どんだけ銀ちゃん大好きなんだよ。


「定春ちゃんイキナリ逆走して飼い主に食らいついたァ!!一体何なんだお前らの関係は!?一方エリザベスちゃんの方は…」


ハッとエリザベスの方を見た私は我が目を疑った。


「ものスゴイスピードだ!!一見不利と思われたエリザベスちゃん、スゴイスピードでかけてゆく!!」


うっそだろォォォォォォ!!イヤイヤイヤイヤイヤ、遠い未来の猫型ロボもビックリ…ん゛?


「アレ?気のせいか!?一瞬オッさんの足のよーなものが…アッ、また見えた!!」
『ちょっと、アレ絶対着ぐるみ着たオッさんだよ!!』
「いいがかりは止めろ。エリザベスはこの日のために特訓を重ねたんだ。オッさんとか着ぐるみとかそんなこと言うな!」
「あ…スンマセン」


司会者おれるなよ!


「架珠さん、どうしようもうダメだ!」


いや豪華賞品は私らのモンだ!何がなんでも!


『神楽!』
「ウン。定春どくアルヨ」


定春から奪い神楽は傘の先端に銀ちゃんを吊り下げる。


「!!」
「ホーレホーレほしいかいコイツが」
「オイオイ降ろせクソガキ!!」


これ見よがしに揺らしてやれば定春釘付け。


「いけェェェェェ!!」


ーーーーブォン.


「「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」」


ーーーードゴン.

ぶん投げられた銀ちゃんは先を急いでいたエリザベスに激突。そして銀ちゃんを追いかけ始めた定春。ナイス神楽!!


「これは坂田さん、定春くんが自分に食いついてくるのを利用してエサになった!」


神楽と二人ハイタッチ。


「猛然と駆ける定春くん!!しかしエリザベスちゃん!既に骨に手を……」


げげっ!!豪華賞品がっ…!

ーーーーガッ.


「!!」


あと数センチというところで銀ちゃんが木刀をエリザベスの首にかけ食い止めた。


「豪華賞品は渡さん」


ーーーーガッ.


「!!」


しかしその銀ちゃんを背後からヅラが止めに入った。


「エリザベスを離せェェ!!豪華賞品は俺とエリザベスのも…」
『あ』


ーーーーッー.


「……フン。なんだかんだ言っても御主人様が好きか?」


ヅラの頭にかぶりついた定春。血が出てるよヅラ。


「だがそれ以上かみつこうものなら君の御主人の首を折るぞ!!さあどーする?」
「どーするじゃねーよ!!通じるわきゃねーだろ!!」
「てめーらよォ!!競技変わってんじゃねーか!!頼むから普通にやってくれェ!!放送できねーよコレ」


あ、司会者キレちゃった。


「放送などしったことか!!」
「あーもういいっスわ〜」
『『『!!』』』
「なんかだるい」


え゛え゛え゛ちょっと!!エリザベス喋ったんだけど!!銀ちゃん達はビビって離れたし。そりゃそーなるけどさ。


「もう帰るんで、ちょっと上どけてもらえますぅ?」


そうして口から出てきた人間の手。


「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛コレは……」
「…ウソだろ。エリザベ……」


………………うわァ…。


next.

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