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アイドルだってほぼお前らと同じことやってんたよ




「あんだっつーの」


お昼の時間、テレビをつけると映ったのは新聞でも話題だったGOEMON熱愛発覚!≠フお相手の寺門通へのインタビューニュース。


「ガキの色恋なんざどーでもいいんだって。それよりドラマの再放送はどうしたの?ピン子と春恵の対決はどーなったの?」
『ピン子と春恵、いよいよ決着かと思われた時、地球に恐怖の宇宙帝王襲来!』
「ピン子と春恵が協力して帝王を倒し終わりヨ」
「マジでか!!なんで知ってんの!?」
「昨日で最終回だったもんね〜定春」
『てか、教えたけど銀ちゃんパチいったじゃん』
「んだよチクショー見逃したぜ!!もうピン子に会えねーのか俺は!?」


煩い。レンタルしとけ。てか…。


『さっきからどーしたの新八の奴』
「ず〜っと日めくりカレンダーめくり続けてるネ」


ビリビリと虚ろな目で日めくり続けてる新八は、はっきし言って不気味。


「オーイ。んなことしても別の時空へはいけねーぞ。現実から逃げてんじゃねーよ!」


そーいえば新八ってお通の大ファンだったね。ドンマイ。


「アイドルなんぞにほれるからんなことになるの。分をわきまえろ。俺もお天気お姉さんのファンだけど、そのへんはわりきって…」
『お天気お姉さんとして人気をはくした結野アナが先月結婚していた≠チて』


ーーーービリビリ.

読んでいた新聞から見出しを読むと、銀ちゃんは新八と仲良く日めくりに。


「あらら。二人とも別の時空へいってしまったアル」


ーーーーピンポーン.


『あ、誰かきた』


するとゆらっとだけど新八が日めくりから離れ玄関へと向かう。


「オッ。こんな状態でも身体には雑用係の習慣が染みついてるネ」
『さすがだね〜』
「おっ、お通ちゃん!?」


は?あいつは何を言い出したんだ。そう思っていたが、なんと本当に客人はテレビに映っていたお通だった。居間に案内して渡された手紙には、男と別れろ。さもなくば殺すトロベリー≠ニあった。


「この知性のカケラもねー言いまわしはアンタのファンの仕業か?」
「こんな手紙が事務所に何通も送られてくるの…」


語尾で怖いのか馬鹿げてるのかよくわからん。


「恐くて父ちゃんに相談したら、アンタらならなんとかしてくれるって」
「あの親父か…元気でやってんの?」
「ウン。この話したらまた脱獄するって大騒ぎしてた…」
『あはは、やりかねないね』
「フン。そりゃ、親父がバカやる前になんとかしなきゃな」
「それじゃ、力になってくれるんだね」
「だが犯人の目星つけるにしても、アンタのファン何人いるって話になってくるな…」
「別れりゃいいじゃん!」


上、私じゃないからね。横からくちゃくちゃ酢こんぶを食いながら神楽が言う。


「別れりゃ全てまるくおさまる話じゃん」


え、いや、なにこの子。や、まあ早い話そーだけど…え、なにこの子。


「い…嫌だよ。そんなの考えられない。あの人は芸能界で唯一私に優しくしてくれたんだから」
「ケッ!男なんて女には皆優しいもんなんだよ小娘が!!」


ーーーーガン.


「い゛っ!!」


背後から頭を殴られた神楽。


「犯人がしぼれないなら、はりついて護るだけです」


およ?見ればいつぞやの親衛隊の格好をして、木刀を持った新八が。


「この志村新八。命に代えてもお通ちゃんを護ってみせる!!」
「お」
『すげー』
「復活した」


お通パワー最強ってか?

お通は珈琲専門店のあさがおでGOEMONと会う約束をしていたので、私らはお通と一緒に向かった。お通達とはちゃんと離れた所から監視をする。


「ほォ〜アレが彼氏?」
「国民的アイドルグループ反侍<梶[ダーGOEMONアル」
「てめっ、やけにくわしーな」
『もしかしてファンなの?』
「チャラ男に興味ないネ。男は味があってなんぼアル。架珠こそどーアルか?」
『私はあんなんよりジェニーズの台風のリーダー、小野君がいい』
「可哀想に小野クン」
『なんで!?』


騒ぐ私らの横で、新八は草を引きちぎっていた。怖いよ。席の背もたれから様子を伺っていた私らに、その席の奴は驚いてコーヒー噴き出してたけど気にしない。


「お通ちゃん、僕らが会うの、しばらくひかえた方がいいでござる」
「えっ、なんでGOEMONさん。嫌だよ私!」
「僕だって君と離れたくはないでござる。でも、こんなことになった以上、ファンを無闇に刺激するのはよくないでござる。ファンのありがたさも恐さも、僕は君より知っているでござる。ここはしばらく時間をおこう。大丈夫。ほとぼりがさめたら、また毎日のように会えるでござるよ」
「GOEMONさん…」


テーブルの上で手を取り合ったお通とGOEMON。それを見て新八がどんな顔してるかなんて、見なくても容易にわかった。まったく…。


「バカな奴だなァ」


歌番組のためTVスタジオまでお通についてきた私ら。神楽はどっか行ってしまい、私らはロビーでテレビを見ている。


「首つっこめば嫌な思いするのは目に見えてたろ」
『おとなしく家で日めくってたらよかったのにさ』
「お通ちゃんは僕が護るって言ってるでしょ」
「いいカッコしよーったって無駄だぜ。恋する娘は猪と同じよ。前しか見ちゃいねーぜ」
「そんなんじゃないですってば」
『じゃーなんなのさ』
「お通ちゃんはね、僕の命の恩人なんですよ」


恩人?テレビに向けていた視線を新八へと向ける。


「あれは、銀さん達と会う前。僕がまだフリーターをやっててーーーー何やってもダメでいつも店長に怒られてた頃、何もかも嫌になって全部投げ出そうとしたことがあったんです。そんな時にきこえてきたんです…」


ーーーーお前〜それでも人間か〜。お前の母ちゃん何人だ〜。


「正直、何歌ってるのかよくわからなかったけど、お客さんも誰もいないのに精一杯歌ってる姿見てたら、なんか涙出てきて…お通ちゃんはきっと、覚えてなんかないだろーけど、僕はあの時一杯元気もらったんですよ」


その時お通がいなかったら今頃新八いないだろーね。


「何でもいいんです。出来ることがあるなら、あの時の恩返しがしたいんです。こんなことしか、僕にはできないけど、何かしてあげたいんです」
「……そーかィ、オメーがそういうなら、何も言うめー」


だね。


「銀ちゃん銀ちゃん!!大変アル!!」
「!」


神楽?


「ピン子がいたヨ!!ピン子が渡る世間は鬼しかいねェチクショー≠フ収録に来てるアル!!」
「なにィ!!」
「架珠が好きって言ってた小野君もゲスト出演してたアル!!」
『マジでかァ!!』
「ピン子ォォォサインくれェェェ!!」
『小野君ンンン握手してェェェ!!』
「…………」


私と銀ちゃんは会いに行くために神楽に案内させた。やったね生の小野君に会えちゃうよ!!ウキウキ気分でスタジオに行ったけど、一応新八の事も考えてたからね?だからこうしてトイレに来てるんだからね?サインと握手は忘れなかったけど。

ーーーーゴドシャ.


「ぎゃああああ!!」


男子トイレの中へと入ると、そこには個室に向かっている新八の姿が。


「お前〜それでも人間か〜お前の母ちゃん何人だァァァァァァァァァ!!」
「ひぃぃぃ!!」


木刀を振り上げた新八に、中にいたGOEMONは悲鳴をあげた。まあ、女遊びの激しい奴だったから、お通も遊びだったって事が新八にバレたんだろ。私らは背後から新八に近寄った。

ーーーーガッ.


「『ハイそれまぁでェよォ〜』」
「!!」


新八が振り上げた木刀を銀ちゃんは後ろから掴んだ。


「銀さん架珠さんっ。てか架珠さんここ男子トイレ…」


気にすんなよ。銀ちゃんはくいっと顎で漏らして気絶しているGOEMONを示した。


「写真でもとっとけ。二度と悪さできねーようにな」


いい脅しの材料には持ってこいだね。ひとまずこれで事件としても解決したし、新八もお通とそれなりの仲になれたことだろう。

……まあ、覚えてもらってた名前は新二くんだったけど。


next.

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