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酔ってなくても酔ったふりして上司のヅラ取れ




「ハーイ、お弁当ですよー」
「ワリーなオイ。姉弟水入らずのとこ邪魔しちまって」
「いいのよ〜二人で花見なんてしても寂しいもの。ねェ新ちゃん」
『昔からよく花見はしてたの?』
「ええ。お父上が健在の頃は、よく三人桜の下でハジけたものだわ〜。さっ、お食べになって!」
「じゃ、遠慮なく…」


ーーーーカパ.


「「『!』」」


お妙の作ってきた弁当に楽しみにしながら重箱を開けて目に入ったものは、ただの黒く焼けただれた物体X。……なにこれ。


「なんですかコレは?アート?」
「私、卵焼きしかつくれないの〜」


卵だったのコレ…卵はもっと黄色いよ…。


「卵焼き≠カゃねーだろコレは。焼けた卵≠セよ」
「卵が焼けていればどんな状態だろーと卵焼きよ」
「違うよコレは。卵焼きじゃなくてかわいそうな卵だよ」
「いいから男はだまって食えや!!」


ーーーーガパン.

手に黒い卵を持って無理矢理銀ちゃんの口の中へと入れたお妙を見て、私と神楽は慌てて卵を手に取る。


「『これを食べないと私は死ぬんだ……これを食べないと私は死ぬんだ……』」


うっ。口の中がスゴいことに…。


「暗示かけてまで食わんでいいわ!!止めときなって!僕のように眼が悪くなるよ」


え、マジで?どんだけスゴいのさコレ。


「ガハハハハ。全くしょーがない奴等だな。どれ、俺が食べてやるから、このタッパーに入れておきなさい」


…………。


「何レギュラーみたいな顔して座ってんだゴリラァァ!!どっからわいて出た!!」
「たぱァ!!」


鬼の形相でいつの間にか座っていたゴリラに、お妙は張り手をくらわした。ほんと、どっから現れたの?


「オイオイ、まだストーカー被害にあってたのか。町奉行に相談した方がいいって」
「いや、あの人が警察らしーんスよ」
『しかも局長で結構偉いよ』


お妙に殴られ続けているゴリラを見ながら会話する。


「世も末だな」
「悪かったな」


ーーーーザン.

声に振り向くと、真選組の奴らがいた。なんか、ヤクザチックな奴らばっかだな。


「オウオウ、ムサい連中がぞろぞろと。何の用ですか?キノコ狩りですか?」
『だったらここには桜しかございませーん。他行ってくれますか?』


さっさとどっか行けや。


「そこをどけ。そこは毎年真選組が花見をする際に使う特別席だ」


ちっ。ウザイな多串君。


「どーゆーいいがかりだ?こんなもんどこでも同じだろーが」
『チンピラ警察24時ですかアンタら』
「同じじゃねェ。そこから見える桜は格別なんだよ。なぁみんな?」
「別に俺達ゃ、酒飲めればどこでもいいッスわ〜」
「アスファルトの上だろーとどこだろーと構いませんぜ。酒のためならアスファルトに咲く花のようになれますぜ!!」


あれ、沖田クンキミ未成年じゃなかったっけ?てか、多串君以外どーでもいーんじゃん。


「うるせェェェェ!!ホントは俺もどーでもいーんだが、コイツらのために場所変更しなきゃならねーのが気にくわねー!!」
「『アハハ気持ちい〜』」


私と銀ちゃんは寝転がっておちょくる顔で言ってやった。


「大体山崎場所とりにいかせたはずだろ…どこいったアイツ?」
「ミントンやってますぜミントン」


少し離れた先ではジミーがラケットの素振りを。
好きなのかミントン?


「山崎ィィィ!!」
「ギャアアアア!!」


ジミーって学習能力ないのか?殴られているジミーを見て思った。


「まァ、とにかくそーゆうことなんだ」


あ、ゴリラ復活した。


「こちらも毎年恒例の行事なんで、おいそれと変更できん。お妙さんだけ残して去ってもらおーか」
「いやお妙さんごと去ってもらおーか」
「いやお妙さんはダメだってば」


どっちでもいーけどさぁ…。



「何勝手ぬかしてんだ。幕臣だかなんだかしらねーがなァ」


私らは挑戦的な眼で奴らを見据える。


「俺たちをどかしてーなら、ブルドーザーでも持ってこいよ」
『ケーキ100種類持ってこいよ』
「ハーゲンダッツ1ダース持ってこいよ」
「フライドチキンの皮持ってこいよ」
「フシュー」
「案外、お前ら簡単に動くな」
「面白ェ、幕府に逆らうか?今年は桜じゃなく血の舞う花見になりそーだな」


勿論、アンタらの血だろーけどね。


「てめーとは毎回こうなる運命のよーだ。こないだの借りは返させてもらうぜ!」
「待ちなせぇ!!」


いきなり沖田クンが待ったをかけた。


「堅気の皆さんがまったりこいてる場でチャンバラたァいただけねーや。ここはひとつ、花見らしく決着つけましょーよ」


そう言った沖田クンの頭にはヘルメットが。そしてピコハンを構えだした。


「第一回陣地争奪…叩いてかぶってジャンケンポン大会ぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」
『『『花見関係ねーじゃん!!』』』


私らは盛大にツッコんだ。
ちなみにルール説明な。

叩いてかぶってジャンケンポン≠ニはまず、用意するものはヘルメットとピコピコハンマー。

1、ジャンケン
2、勝った方が殴りかかり
3、ヒットすれば勝ち。もしくは、ヘルメットで防がれたらセーフでまたジャンケン。


『以上がルールとなりまーす』


私はボードを指差しながら言う。


「いけェェ局長ォ!!」
「死ねェ副長!!」
「誰だ今死ねっつったの!!切腹だコラァ!!」


うるさいなァ。


「えー、勝敗は両陣営代表三人による勝負で決まります。審判も公平を期して両陣営から新八君と俺、山崎が努めさせてもらいます。尚、司会進行は万事屋からお嬢、もとい…」
『は〜い、田川架珠で〜す』
「勝った方はここで花見をする権利+お妙さんを得るわけです」
「何その勝手なルール!!あんたら山賊!?それじゃ僕ら勝ってもプラマイゼロでしょーが!!」


確かにそーだね。


「じゃ、君らは+真選組ソーセージだ!屯所の冷蔵庫に入ってた」
「要するにただのソーセージじゃねーか!!いるかァァァァ!!」
『ソーセージだって!絶対勝てよ!!』
「言われなくても。気張ってこうぜ」
「オウ」
「バカかー!!お前らバカかー!!」
『んじゃ早速一戦目。ゴリラvsお妙!!』


それにしても、私が出るって言ったのにお妙の奴、なんで出たがったんだろ?


「姉上、無理しないでください。僕代わりますよ」


おお、さすがシスコン。姉おもいだ。


「いえ、私がいかないと意味がないの…」


意味がない?


「あの人、どんなに潰しても立ち上がってくるの。もう私も疲れちゃった。全て終わらせてくるわ」


そう言って振り向いたお妙の瞳は殺る気に満ちていた。


『はい!!叩いてかぶってジャンケンポン!!』


こわァ。


「おーっとセーフぅ!!」


負けたゴリラがヘルメットを素早くかぶるが、そんなの絶対意味がないと私も新八もわかっていた。



「セーフじゃない!!逃げろ近藤さん!!」
「え?」


その時、ただならぬ殺気を感じた。


「天魔外道皆仏性四魔三障成道来魔界仏界道如理一相平等……」


ゴゴゴゴと迫力満点でなんか唱えるお妙は私から見ても恐ろしい。


「ちょっ…お妙さん?コレ…もうヘルメットかぶってるから…ちょっと?」


ーーーードゴォ!!!

殺意いっぱいに振り下ろされたピコハンはゴリラに直撃すると折れ、メットにはひびが入った。その凄まじい威力のピコハンを受けたゴリラはその場で倒れて気絶。その時、この場にいた者全員の心が一致した。

……ルール、関係ねーじゃん。


「局長ォォォォォォォ」
「てめェ何しやがんだクソ女ァァ!!」
「あ〜やんのかコラ」
『『『すんませんでした』』』


まともにお妙を見た奴らは一斉に土下座をした。


「新八君、君も大変だね…」
「もう馴れましたよ…」


じゃなきゃやっていけないよね。


「えーと、局長が戦闘不能になったので一戦目は無効試合とさせていただきます。二戦目の人は最低限のルールは守ってください…!!」


おお?


「お゛お゛お゛お゛もう始まってんぞ」
「速ェェ!!ものスゲェ速ェェ!!」
『速すぎて二人ともメットとピコハンを持ったままに見えるわ』


神楽はともかく、沖田クン、君何者?


「ホゥ、総悟と互角にやりあうたァ何者だあの娘?奴ァ、頭は空だが腕は真選組でも最強をうたわれる男だぜ…」
「互角だァ?ウチの神楽に人が勝てると思ってんの?奴はなァ、絶滅寸前の戦闘種族夜兎≠ネんだぜ。スゴいんだぜ〜」
「なんだと、ウチの総悟なんかなァ…」
「オイッ、ダサいから止めて!!俺の父ちゃんパイロットって言ってる子供なみにダサいよ!!」
『ちょっとまて。アンタら何?飲んでんの!?』


二人の手元には酒の入ったコップが。なにやってんのコイツら!?


「あん?勝負はもう始まってんだよ」


いや勝負って。


「よし次はテキーラだ!!」
「上等だ!!」
「勝手に飲み比べ対決始めちゃってるよ…」


もういいよこいつらは。神楽達はどうなったかとそちらを見て私は驚いた。


『おーっと!!そうこうしてるうちにこっちはもっと苛烈に!!』
「アレ!?ちょっと待て!!」


ん?


「二人とも明らかにメットつけたままじゃねーか?ハンマーもないし!!」
「なんかジャンケンもしてねーぞ!!」


てゆーかもうコレ…。


「ただの殴り合いじゃねーか!!」
「だからルール守れって言ってんだろーがァァァ!!」
『聞いてんのかそこのバカ共!!…しょーがない。最後の対決で決めるしかないよ』
「ハイ。銀さっ…」
「「オ゛エ゛エ゛」」


銀ちゃんの方を見ると多串君と二人揃ってゲロッてた。それを見た新八はズッコケていた。


「オイぃぃぃ!!何やってんだ。このままじゃ勝負つかねーよ」


まだどっちも勝ってないしね。


「心配すんじゃねーよ。俺ァまだまだやれる。シロクロはっきりつけよーじゃねーか。このままやってもつまらねー。ここはどーだ、真剣で斬ってかわしてジャンケンポン≠ノしねーか!?」
「上等だコラ」
「お前さっきから上等だ≠オか言ってねーぞ。俺が言うのもなんだけど大丈夫か!?」
「上等だコラ」


どっちも大丈夫じゃねーだろ。


『いくよー。斬ってかわしてジャンケンポン!!』


銀ちゃんはチョキ、多串君はパー。


「とったァァァァ!!」


ーーーーザン.

あっ。


「心配するな峰打ちだ。まァ、これに懲りたらもう俺にからむのは止めるこったな」


…銀ちゃんは自分が多串君だと思って斬った桜の木に話しかける。つーか、峰打ちって嘘でしょ。おもっくそ木ィ斬れてるけど。それならそれでしっかりトドメさしてよ。


「てめェさっきからグーしか出してねーじゃねーか、ナメてんのか!!」


一方の多串君は定春とジャンケンしていた。アホらし。


「お互い妙な上司がいて大変ですね」


ジミーの言葉に私と新八は頷く。


『もうどーでもよくなってきた。そしてイー加減腹減ってきたよ』
「ホントですね」
「一緒に飲みましょーか、グチを肴にして」


その後私らは一時休戦で真選組の奴らと花見を楽しんだ。飯は真選組の奴らのをいただきお妙の物体Xは避けた。やっぱ、大勢の花見は楽しーもんだ。

ちなみに帰らない銀ちゃんを迎えに行くと自動販売機に多串君と仲良く頭突っ込んでた。


next.

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