言葉には裏がある
ケツ拭く紙の行方で勝敗が決まるとかアホらし。勝手にどうにかするだろ。何人よればなんとかの知恵とか言うし。いやでも、大将の皿は割っとくべきだったか?でもケツにウンコつけたヨーダみたいなジジイの皿を割るのもなんかいやだ。
「いたわょォォ!!そっちぃ!!回り込んでつかまえて!!」
ん?屋敷の方が騒がしい?なんだ、ネズミでも出たか。庭を挟んだ向こうに見える屋敷を見ていたら、縁側の障子をちっこいオッさんがぶち破った。
「輿矩様ァ!!」
「新ちゃん!!」
新ちゃん…新八!?お妙!?絶対新ちゃんって聞こえたぞ。すぐさま屋敷の方に向かうも、女中やちっこいオッさんに見つかると面倒そうなので、屋根から回り込む。
「お妙ちゃん。君はそんな事をまだ気にしていたのか」
九兵衛の声だ。
「新八君。君はしらないと思うが、幼い頃僕は左目を失ってね。そこにお妙ちゃんも居合わせていたんだ」
気配を殺してそっと屋根から様子を伺う。
「責任を感じる必要はないといったのに。僕はむしろ感謝している位なんだ。あの時があったから今の僕はある。左目と引き替えに、僕は強さを手に入れた」
「土方さん!!」
九兵衛に引きずられてきた多串くんは、あの状態で九兵衛とやり合い気を失ってるらしい。皿も割られてんだろなあれは。
「新八君。これで君らは残り何人だ?いや、何人残っていようと大将である君を倒せば全て終わりか。残念だったな。悪いが君の大切な姉上は僕がもらいうける」
空気を読む気もなくて屋根から飛び降りた。
ーーーーガキイイイン.
「架珠さん!」
そう簡単に皿を割らせてくれない事は分かっていたから、受け止めた九兵衛から早々に距離をとる。
『なんかもう勝った気でいるみたいだけど、私はそこの虫の息のチンピラ警察より全然強いから。それにな、新八はアンタに負けるほど弱かないんだよ』
「架珠さん…」
余裕ブッこいてんのも今のうちだぞ。
「ぐっ…誰が虫の息だァ?」
『なんだ。トドメ刺しとくんだった』
「オイ、メガネ。どうやら俺達ァ、とんだ茶番につき合わされていたようだぜ」
茶番?
「…こいつ、女だ」
…は!?
next.
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