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そういう時は黙って赤飯





「あー?姉貴が朝帰り?」
「そーなんです」


万事屋には縁無い立派な料亭の屋根修理の仕事中、相談したい事があると言った新八。朝からやたらとため息多いと思えばそんな事か。


『朝帰りごときで何言ってんだか。いつもそーでしょ仕事柄』
「いえ、今日はいつもよりさらに遅く帰ってきて、僕と目も合わせずに着替えてまたすぐ出てきました」


あー…。


「新八、そういう時はなァ、黙って赤飯たいてやれ」
「やめてくんない!!」


言っちゃった。


「姉上は結婚するまでそーいうのはナイです!!しばき回しますよ!!」
「将来、結婚すると決めた相手ならわかんねーだろ。しばき回しますよ」
「そんなもんいねーもん!!認めねーもん僕!」
『新八、アンタ思ってた以上のシスコンだったんだね。大概にしとけよ、キモイ』


アホらしくて屋根修理に戻る。


「新八君、君と姉上は法律上、結婚できないんだよ。姉上もようやくお前という重い鎖をひきちぎって甘美な大人の世界に翔こうとしてんだよ」


ーーーードゴ.


「あ」
『何してんだバカ』


修理するはずがトンカチで力加減間違えた神楽は穴開けやがった。すぐさま頭を引っ叩く。


「そういう時、弟はもう黙って赤飯製造マシーンになるしかねーだろ。泣きながら赤飯製造マシーンだよ、お前」
「ねえ架珠!私も大人になれば赤飯食べられるアルか!?」
『お前は泣きながら豆パンでも食ってろクソガキ』


余計な仕事増やしやがって。


「よーし、昼飯にすんぞー」
「グスッ。また豆パン。もう三日間三食豆パン」
『うまいでしょ?』
「ウン」


本当に泣きながら豆パンを食べる神楽。豆パン安売りで大量買いしたから明日まではこれだな。


「チクショー、誰だ…一体誰と…まさか…近藤さん!?まさかあのゴリラと!?」


どうしてその考えに行き着けたかが不思議だよ。ありえないだろあのゴリラとか。


「まさかそんな…でも最近、姿見ないし…僕に隠れて、密会して…!?」
「あーあーもー分かった、分かったよ。心配ねーって。あの女に限って男とか世の男共に失礼だろ。お前の思い過ごしだって」
『もう粗方終わったし、新八金もらってきなよ』
「そうしろ。その間に現実に戻ってこい」


ふらふらと屋根から降りて行った新八。大丈夫かアイツ。


「ギャアッ」


は?


『何今の声』
「銀ちゃーん」
「どうした神楽」
「瓦が落ちちゃったネ。そしたら、下から変な声が聞こえたアル」


えー…。


「オイオイ、それ誰かさんに直撃したんじゃねーのか」
「王女ォォォォォ!!なんでェェ!?上から瓦がァァァァ!!」


あ、直撃したみたい。顔を見合わせて、やはりここは謝らなくてはと下を覗き込んだ。


「あっ、スイマセン。手ェすべっちゃって」
「あっ、ゴリラが二匹」
『あっ、本当』


ゴリラと倍のデカさのモノホンのゴリラがいた。なんだ、なんでいんの?



next.

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