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「#エロ」のBL小説を読む
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「やめだ!やめだ!やっぱやめよう!こんな仕事どうせこんな…」



ーーーーピルルル.

通りがかった男の着信音と視界の隅の異様な光景に私らは振り向いた。

ーーーーずぽ.

巨大なアフロから携帯を取り出したスーツ姿の男は写真の整形後(予想)八郎だった。



「オス、オラ八郎。あ、ハイ。今からお迎えに参りますんで」



いっ…いたァァァァァァァァ!!



「マッ…マジでかァァ!?いっ、いたぞオイぃぃ!!」

『ネバーランドじゃない!かぶき町にいたよ!!外歩いてるよ!!』

「どどどどーすればいいの!何をすればいいの僕達!?」

「おちつけ!とりあえずババア呼んでこい!!」

「お母…」



ん?



「アレ…何やってんの?アレ…」



店先のバーさんを見てみると、バーさんはガングロギャルのグループに囲まれていた。あれ…。



「ギャルとメンチ切りあってるアル」

「バババぁぁぁ!!」



なんでそーなる!?



「アレは俺らがなんとかすっからお前ら八郎を追え!」

「「うす!!」」



大人しくしとけよなババア!!私らは慌ててバーさん達のもとへ行く。



「救急車ぁぁぁぁ!!」



は?



「ちょっ、何呼んでんの!?ありえなくね!?何ちょっ、何やってんの!?」

「誰かァァァァ救急車を早くぅ!!この人達顔色が土色の上吐き気を訴えていますぅぅ!!」

「てめーがキモいって言ったんだよババア!ちょっ、マジムカつくんだけど!」



ねェもう関わりたくないんだけど…。目で訴えるも銀ちゃんは首を振ってバーさんの手を引いた。



「母ちゃん早くこっち来い。ワリーな、田舎者だから許してやってくれ」

「ちょっ、ダメよ銀さん、あの娘達の顔見て!アレ父ちゃんが死んだ時と同じ顔色よ!」

『アレはこえだめから生まれてきたんだよ』

「それどーいう意味だコルァ!!」

「そーいう意味だ。ちょ、忙しいからこえだめに帰れ」



早く解放してくれよ。



「ちょっとちょっと何ィ何ィ?」



あ?



「お咲ちゃんモメ事〜イェ〜」

「勘吉さん!」



腰パンしてズルズルと裾を引きずるチャラい要素全て取り込みましたみたいな知り合いらしい男が現れた。もう存在がうざい。



「なんかァ〜このダセー親子が私らに絡んできて〜」

「オイオイ何この三人は。おのぼりさん?イェ〜」



イェ〜って付けなきゃ死ぬ病気なのかな。なら仕方ない。



「どこの山奥から来たのかしらないけどさ、あんま俺の街で調子こいてっと殺すよマジで」



間のバーさんが銀ちゃんと私の着物の裾を引く。なに?



「アレ、あの人足短い」

「ファッションだコラァァァァ!!」



短いね。



『すいません、田舎者なんで、勘弁してください』

「ちょっ、忙しいんで俺逹はこれで」



さっさとその場を去ろうと背を向ける。



『バーさんアレは失礼だよ。絶対傷ついたって、本人もあえてアレをやってんだから』

「アレはな、今江戸で流行ってる足の短さをごまかすファッショ…」

「オメーらが一番失礼なんだよ!!」



あれ?小声で言ったのに聞こえてた。



「コルァァ待てや!!マジなめてっと、ババアだろーとなんだろーと容赦しねーっ…」



ああ!?

ーーーービッ.



「オイ、忙しいっつったのきこえなかったか坊主ども」

『人の話ぐらいちゃんと聞けねーのかいい年して』



蹴りかかってきた野郎どものズボンを股間にめり込む勢いで引っ張り上げる。



「なァ、オイ、足袋でも袴でもルーズにキメんのは結構ですけどね、ババアに手ェあげるたァどういう了見だィ、お兄ちゃん逹……足袋はルーズでもさァ」



うおりゃァ!!



「人の道理はキッチリしやがれェェ!!」

「「ぎゃあああ!!」」



ーーーードゴ.

コンクリの地面に脳天から叩きつけて気絶した連中を振り上げる。



「オラァァァズボンをあげろォォ!ボケがァァァ!」

『短い足を見せつけてやらんかいワレェェ!!』

「足袋をあげろォォ!哀川翔を見習えェェ!!デッドオアアライヴの時のォォ!!こんなんだったぞォォ!!」



ちょっとそれは知らん。



「そのへんにしておきたまえよ!」

「『!!』」



もういっちょ地面に投げ飛ばした時声がかけられた。誰?



「勘吉。こんな所で何をやっているんだ君は」

「!!きっ…狂死郎さん!!」



高級そうな身なりのイケメンはこいつの知り合いらしい…ん!?



「…なんだ」

『銀ちゃん、隣のやつ…』

「!!」



狂死郎の隣からこちらに歩いてくるのは…八郎!?

ーーーーゴッ.



「このボケがぁぁぁぁ!!」

「ぐふぅ!!」



八郎が勘吉の顎を蹴り上げた。



「下っぱとはいえウチの店に勤めてるモンが、狂死郎さんの顔に泥をぬるようなマネしやがってェ!!」



蹴り飛ばした勘吉を容赦なく八郎は何度も足蹴にする。



「てめーはクビだ。二度とこのかぶき町に足ふみいれるんじゃねェ」



え?何?どーいうこと。銀ちゃんと二人顔を見合わせる。



「キャー狂死郎様と八郎様だわ」

「『?』」

「ヘェー、あれがかぶき町NO1ホストの本城狂死郎」

「カッコイイけどちょっと恐くない?ヤクザチック」



…ホスト?アレ…ホストってなんだっけ。



「なんだィアレ?銀さん、架珠さん。ポストってなんだィ、ねェ…ちょっと」

「…あん、アレだよ。ホステスの男バージョン」

『そーそー。選ばれたイケメンのみがなれ…』



…アレ?ホストってなんだっけ。

八郎を見て再び考える。

選ばれたイケメ……アレ?ホスト?

鼻毛ともみあげが一体化している八郎をもう一度よく見る。

これ…ホスト…?…ホスト!?

勢いよく振り向いて銀ちゃんと顔を見合わせ、バーさんの顔を見る。

コレの…息子が…。



「『ホストぉぉぉ!?』」



思わず絶叫した私らに周囲の奴らはビクッと驚いていたが、それどころじゃない!呆然としていた私らは、野次馬の向こうにいた新八と神楽を見つけ恐る恐る振り向けば、二人はコクコクと頷いた。マジか……。



「ウチのモンが迷惑かけて大変申し訳ない。おケガありませんか?」

「ああ、平気だよこんなモン」

「ぜひお詫びがしたいので、ウチの店へきてくださいませんか?」



店?



「俺逹の城、高天原へ」





next.

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