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「ちょっとォ、三人ともひどいっすよ。アレ、ワザとでしょ」
「ワザとじゃねーよ。アレ、だってほっといたらアニメ化飛ぶぜ」
「おめーらがつくってるモンもスレスレなんだよ!」
雪玉をもう少し整えようと神楽と一緒に最終調整。
「それによォ、いくら頑張ったって結局俺逹の作品がグランプリとるんだから」
「絶好の宣伝になるヨ。仕事もポイポイ入ってくるアル」
『賞金も手に入って仕事も来て億万長者だよ』
「オイ、俺今スゲー事思いついた。翼つけよう翼」
「銀ちゃんスゲーな。なんでそんな発想ができるネ」
「いや、なんかしらねーけどピンときたピンと」
『サンピエーションってやつだね』
「インスピレーションっスよ」
「ん、貴様ら来ていたのか」
あ。
「大方グランプリの賞金目あてというところか」
「桂さん」
指名手配犯が変装もせず白昼堂々祭りに来てるよマジかよ。
「むっ。これはネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲ではないか。完成度高けーなオイ」
「だからなんでしってるんだよ」
「別名「走る雷」。バルカン戦役における惨劇「火の7日間」を引き起こした地獄の兵器だ」
「さっきと話違うんですけど」
「ヅラ、お前なんでこんな所にいるアル?」
「息抜きに俺も参加していてな。どうだリーダー、ちょっと遊びに来んか」
で、作品を見に行った。
「うおおおおお!!スゴイ!!アミューズメント化してる!!」
エリザベスの雪像を土台に滑り台や階段が取り付けられていた。
「こういうものは自己の創作欲を満たすため存在するのではない。子供達を楽しませるためにあると思わんか」
ふーん。
「いや、雪像だけではない。世の中というのは明日を生きる子供達のためにあるべきだ。俺逹は未来を彼等につなぐために、この腐った世の中を正さねばなら…」
「なんですべり台から攘夷活動の話なんですか」
「とにかく俺は未来の鍵を握るおぬし達に期待している。ぜひ遊んでいってくれ」
ほォ。
ーーーーガッ.
登山靴を履いてすべり台から頂上を目指す神楽。
「リーダー遊び方違う」
「ロッククライミング的な」
「違うすべり台だぞそれは」
『なんかすべりにくいすべり台だな』
「それですべるなァァ!!」
登山靴で容赦なく雪を削りながら滑っていく。
「オイ、ヅラ。これ階段どこにあんの?」
「貴様等あくまでロッククライミング!?明らかに階段途中まであがった形跡があるだろーが!!」
側面からせめていく銀ちゃんは明らか階段使っただろーけど、あくまでロッククライミングだから。
「あーあ。すべり台キズだらけ」
もう一度すべり台の頂上で銀ちゃんと神楽と合流し用意。
「スグにみがくんだ。急…ん!?んごォォォ!!」
ヅラの顔面めがけて私等は勢いよく登山靴のまま滑り降りる。
「貴様等ァァ!!さてはグランプリを狙うため俺を蹴落とす気か!!そう簡単にいくかァァ!!」
チッ。避けたか。
悔しがっていたが、避けたヅラが着地すると耐えられなくなったすべり台が折れた。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
ーーーードォン.
よし、ヅラも潰れた。
「…バンジージャンプしかなかろう」
「いやバンジージャンプはないですって」
「普通にあのまま雪像ってことで」
「いやバンジージャンプしかなかろう」
「いや危ないですって。あんな所から子供落とすんですか。やっぱりあの…」
「バンジージャンプしかなかろう」
折れたすべり台は私らが回収した。
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