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雪ではしゃぐのは子供だけ







「今年の冬は異常気象だかなんだかしらないがねェ、とんでもない大雪に見舞われちまって江戸の街もどこを見ても真っ白さ」



今も絶賛降雪中だしね。



「ついでに街ゆく連中どいつもこいつも青白いシケたツラして歩いてやがる。情けない話じゃないかィ」



だって寒いモン。



「雨が降れば行水!槍が降ればバンブーダンス!!どんな時も楽しむ余裕を忘れないのが江戸っ子の心意気ってもんだィ!!つーことで………第一回チキチキかぶき町雪祭り開催決定ぃぃぃぃ!!」



ほんと、突然な。



「大雪なんざしゃらくせェってんでェ!江戸が一面雪に白く染まろうが私らがかぶき町のネオンで色とりどりに染め返しゃいい!喜びな、江戸にも一つ祭りが生まれたよ!」



寒いから不参加決定だったけど、主催者のお登勢さんに聞けば賞金出るらしいから万事屋も二つ返事どころか五つ返事で参加。



「銀さーん、雪もってきました」

『サンキュー』

「おう、そこおいとけ」

「いや〜みんなスゴイのつくってますよ雪像」

「自分の店のPRもかねてるからな。かっこうの宣伝ってわけよ」

「でもやっぱり歓楽街ですね。いかがわしい雪像ばっか…まァかぶき町らしいっちゃらしいけど」



つか器用な。



「僕ら万事屋は何をつく…」

「まァこんなトコか。架珠、そっちの玉できたか」

『大きさも形もシンメトリーだよ』

「よし。あとは真ん中に棒を立てて…」



ーーーードパ.



「アニメ化飛ぶぅぅぅ!!」



銀ちゃんが今しがた作った左の玉が新八に蹴り潰された。あーあ。



「オイオイなにすんだお前は。俺がその左の玉つくるのにどれだけ苦労したかわかってんのかコラ」

『何考えてんの新八クン』

「アンタらこそ何考えてんだよ!周りのHなヤツに何も合わせなくても…」

「銀ちゃん棒できたヨ」

「きゃああああ!!何もってんの神楽ちゃん!」



なんか新八うるさい。



『新八、雪だからってはしゃぎ過ぎだろ。うるさいよ』

「雪云々じゃなくて、アンタらの作ってるものが問題なんスよ」

「お前何?何を勘違いしてるかしらないけどよ、これアレだよ。ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲だよ」

「アームストロング2回言ったよ!あるわけねーだろこんな卑猥な大砲!」



大砲なんてみんなこんな形だろ。私らはさっさと棒立てて玉を作り直す。



「アニメ化アニメ化って過敏になり過ぎてんだよお前は。意識しすぎ。結局映画して終わる終わる詐欺して三期まできてわめきながら謝罪すんのは俺なんだからよォ」

「メタ発言やめてください。話ややこしくなっちゃうんで」

『この作品にメタ発言とかゆー概念あんのかァ。つか、この雪像で喚いてんの新八だけだかんね。これだから思春期ボーイは』

「エロい事ばっか考えてるから棒と玉があればスグそっちに話もってくんだよ」

「マジキモイアル。しばらく私に話かけないで」

「いや…だって明らかにおかしいよ。アレじゃないとしてさ、じゃあ一体何よソレ?」

『だからネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲だよ』

「だからなんだよそれ!」

「オイオイ」



ん?



「何?オメーらも来てたの?」

「あっ、長谷川さん。ちょっとォ、三人止めてくださいよ。とんでもないものをつくろうとしてるんです」



出会したマダオに雪像を見せる。



「なんだよオイ、ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲じゃねーか。完成度高けーなオイ」

「え゛え゛え゛え゛!?なんでしってんの!?あんの?マジであんの?僕だけしらないの!?」

「江戸城の天守閣を吹き飛ばし江戸を開国させちまった戌威族の決戦兵器だ」

「何?こんなカッコ悪い大砲にやられたんですか僕らの国は!?」



神楽と二人で玉の修復も完璧。



「それよりアンタ、何でこんなトコにいんだよ?」

「いや、俺も個人参加で出展するんだよ。なんかグランプリとったら賞金でるらしいじゃん」



で、マダオの作品も見に行った。



「うおぉぉぉぉ!!」



翼をはためかせポーズを決める裸体のマダオの雪像。



「なんスかコレェェェ!!なんかわかんないけどスゴイじゃないですかァァ!!」



ふーん。



「いやいやそんな、たいしたもんじゃねーよ。俺結構こり症だからさァ、止まらなくなっちゃって。タイトルは「飛翔」」

「いやァスゴイですよ。これグランプリじゃないっスか?」



ふーん…。



「へェー、スゲーな。コレ何?アンタ自身がモデル?」

「ん?まァ愛情入れすぎて似てしまったというかなんというか」

「でもちょっとアンタにしちゃ筋肉質すぎね?」

『この辺削ぎ落とした方がいいよ』

「おいィィィ!!何してんのォォ!!」



スコップで軸足のふくらはぎを削ぎ落とす。



「ちょっとォ勘弁してよ!スゲー微妙なバランスで立ってるからコレ」

「あーそういう所も似てるんだアンタに」

「オイマダオ。アレもマダオのと似てるアルか」

「コラァァァァダメそんな所指さしたら!!」



神楽が指さすのは雪像の股間。



『神楽、ばっちィからやめときな』

「うわァーん架珠ー」

「オイオイうちの神楽ちゃんに何汚ねーモン見せてくれてんの。何泣かせてくれてんの」

「待て待て!あれは芸術的な意味でさ、ホラ、美術の教科書とかでも丸出しで出てくんじゃん」

「猥褻物陳列罪以外の何物でもねーよ」

『純粋な子供の心傷つけやがって。訴えるぞコラ』

「アンタらだってさっき猥褻物つくってたでしょーが!!」



雪玉構え!!



「クソがァァアニメ化の邪魔はさせねェェ!」

『うらァ砕けろォ!!』

「おいィィィィどこに雪玉ぶつけてんだァァ!!傷ついたハズの子供まで一緒にやめろォォ!!」



三人で股間めがけ雪玉を投げつけていると、パキン、と見事取れた。



「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛俺のマダオ(まるでダンディーなおいなりさん)がァァもげっ…」



ーーーードス.

もげた先の極悪興業とこの雪像の頭に刺さった。マジかァ。恐い顔したオッちゃん達が睨む。



「おんどりゃああ!!人の作品に何汚ねーモン刺してくれとんじゃああ!」

「うわわっ、来たぞオイ!何とかしろオイ!」



ーーーードフッ.



「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」



すぐさま銀ちゃんは迷うことなく軸足を蹴り折った。



「うわわァおやァァァ!!」



軸足の折れた雪像は極悪興業の方へと倒れ、マダオの雪像のタイトルは「奥さん ハァハァ ねェ いいでしょ 奥さん ハァハァ」に変わった。



「いい作品じゃないかィ」

「ああそう?」



よし、マダオは潰れた。







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