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「あ!!来ました。真選組が来ました!」



攘夷浪士共が人質と立て篭ってる寺院に来ると、野次馬やテレビ局の連中で大層賑わっていた。真選組の到着にすぐさま記者やカメラマンが車の周りに群がる。



「やっちゃったなーオイ…やっちゃったよ〜。まさか逮捕されちゃうとは思わないものな〜」



マスコット姿になって私らはいの一番にマスコミの前に出た。



「あっ!!あなたは誰ですか?真選組とはどのような関係で!?」

「不当逮捕以外の何ものでもないものな〜」

「不当逮捕!?真選組にですか!?何があったか詳しくおきかせ願えませんか!」

「あっ、オイ!後ろでも女の子がしっ…死んでるぞコレェェ!!何があったんですか!!」

「とり調べというより拷問だったものな〜」

「話をややこしくするんじゃねェ!!」



ーーーードカ.

車から飛び出しながら多串君が銀ちゃんの頭を蹴り飛ばす。ああ死体が落ちちゃった。



「いい加減にしろよテメェーら。元はといえばテメーらが出てこなきゃこんな事態には!」

「見ましたか今のを!まるでチンピラです!」

「ぬぐををををを!!」

「トシぃぃぃやめてェェこれ以上評判が落ちたら俺逹もう…」



これだけのマスコミの前で下手な事は出来ないね。悔しがる多串君に銀ちゃんはイヤミたらしく笑っていた。いいぞもっとやれ。



「みんなァ!!」

「クク、来たか真選組!解散の手続きは済ませてきたんだろうな」



最上階からお通とリーダー格の声。



「え?何て言ったの今。すいまっせーん!もっかい大きい声でお願いします!」

「みんなァ!!」

「クク、来たか真選組!解散の手続きは…って二回も言わせるな!なんか恥ずかしーだろが!!」



マヌケだな。結局それからは筆記でやり取りする事に。



「いいか、できるだけ時間を稼ぐんだ。二番隊、三番隊はこのスキに裏に回れ」

「へい」

「貴様らァナメているのかァ!!」



沖田クンの持つボードを見ると「字が小さくて読めません」とあった。



「きこえないフリしろきこえないフリしろ」



めちゃナメられてんな。んで結局双眼鏡で確認するハメに。



「「証拠が欲しい。お前達が我等の忠実な犬になったという証拠が。三回回ってワンと言え」と書いてありますぜ」

「あの野郎共ォ」

「(土方限定)と書いています」

「ウソつけェェ!!お前明らかに今つけたしたろ!!」

「しょうがねーよトシ。お通ちゃんのためだ」

「ウンしょうがねーよトシ」

「オメーにトシとか言われたくねーんだけど!!」



で回った多串君だけど、ちょっとカッコつけて回って余計に恥ずかしい終わり方だった。爆笑。



「土方さん間違えました。「腹が減ったからカレーを用意しろ」の間違いでした」

「どんな間違いだァァァァ。まるまる違う文章じゃねーかァァ!!」

「局長ォ!!どーでもいいからそんな事!」



ゴリラのボードには「辛口がいいですか。甘口がいいですか」とあった。本当にどうでもいい。

人質もいるこの状況じゃ断れずテロリストの言いなりでカレーを作り始めた真選組。めちゃいい匂いしてきた食いてェ。



「クソが調子に乗りやがって、ロボットダンスをやれだァ。(沖田限定)だ」

「マジですかィ。仕方ねェ」



絶対嘘だろ。



「ロケットパーンチ!!」

「ぶふォ!!」



ロケットパンチをモロに喰らった多串君。ロケットパンチから入るダンスとか言う沖田クン無駄にうまいし。んで次はものまね。



「限定ナシか。仕方ねェ、ここは俺がやろう。沖田のマネ!!」



さっきのロケットパンチをした多串君だけど沖田クンはしゃがんでかわし、その流れで多串君の腰をホールド。



「エビのマネ!」



背中仰け反らせて多串君の頭を地面に叩きつけた。すげェ。んでついに多串君切れて二人仲良く乱闘。バカだ。



「おおーっとついに仲間割れだ!!真選組!堕ちた!もはや見る影なし」



マスコミからも当たり前の辛口。



「局長ォォォ!なんかどんどんイメージ悪化していくんですけどォ!!」



そのゴリラは私らと出来立てのカレーを試食中。うめェなカレー。



「局長ォォォォ!?」

「局長がカレーの国に逃げたァァ!!」

「おかわりはどーだい?まこっちゃん、スナフキン」

『死体用に一杯』

「やっちゃったな〜オイ。結局やっちゃったな〜アイツら」

「やっちゃったモンは仕方ないよまこっちゃん」



悟り開いちゃったかゴリラ。



「まこっちゃん、もう帰っていいよ。あとは俺逹でなんとかするから」

「そうもいかねー。イメージマスコットだから俺はお前らの」

『お通には前払いで金もらってるし、きっちりやらないとね』



死体もとい神楽にカレーを与えると元気よく食べ始めた。



「イメージマスコットって何?俺らってそーいうイメージなの?」

「こーいうカンジだろ」

「どーいうカンジだ」

「『バカで物騒で江戸の平和を護るカンジ』」

「バカなカンジしか出てないんだけど」



それさえ出てれば文句なしでしょ。



「さて行くか。オイ、カレー用意しろ」

「へい」



カレーの乗ったトレイを持って歩き出す。



「オイ、どこに行くまこっちゃん」

「言ったろ、まこっちゃんはお前らのイメージマスコットだ。バカで物騒で江戸の平和を護る」



パッカラパッカラ蹄の音立てて向かった先は、寺院の出入り口。向かう最中にテロリストは「局長を切れ」と言ってきたが、もちろん出来るわけない。



「うーす」



真選組とテロリストがやり取りしてる間に入り口到着。もちろん見張り付き。



「カレー届けにきました」

「なんだお前ら?」

『バイトのマスコットっす』

「もーまいりましたよ。こんな事にまきこまれて」

「ちょっと今いいとこだからあっちいっててくんない。カレーその辺においといて」



ーーーーガバシャン.



「この辺スか」



銀ちゃんとそれぞれテロリストの顔面にカレーごとトレイを叩きつけた。



「お通ちゃん!すまなんだ!!」



階段を上がる最中にゴリラの声が聞こえる。



「色々手伝ってもらってなんだが、結局俺逹はこーいう連中です!もがいてみたがなんにも変われなんだ!相も変わらずバカで粗野で嫌われ者のムサイ連中です!どうやらコイツは一朝一夕でとれるムサさではないらしい!だがねお通ちゃんの言う通りもがいて、自分達を見つめ直して気付いたこともある!俺逹はどんだけ人に嫌われようが、どんだけ人に笑われようがかまやしない!ただ、護るへまきものも護れん、ふがいない男にだけは、絶対になりたくないんだとね!」



「剣を抜けェェお前ら!!」ゴリラの声が響く。



「たとえ俺の屍を越えても、護らなきゃならねーモンがお前達にはあるはずだ!さあかかって来やがれ!」



最上階に到達。



「カレー届けに参りました〜」

「ああ、そこおいといて」

「このへんですかね」

「ちょっ、うるさい!今イチバンいいところだろーが!」

「あ、スイマッセーン」



みんなして真選組に釘付けで、こっちには一瞥もくれない。ありがたいのでその隙に人質達を回収する。

ーーーーズドド.



「局長ォォォォ!!」

「あ゛ーーーーーー!!」



え?あ。



「何をしている貴様らァァァ!!」

「あーやっちゃったな〜オイやっちゃったよ〜」



バレちゃった。



「何をしている斬れェ!!斬れェ!!」

『うわわ早く行って!』

「うを!!」



新八と銀ちゃんを押し込んで階段を駆け下りる。お通の方は、大丈夫だろ。



「あー、カツラは頭がかゆくなっていけねーや。お通ちゃん後でサインくださいね」



なんかいつからいたのかずっと女装して紛れ込んでたジミーがお通は助けていた。まあ、ということはだ。

ーーーーガチャ.

ゴリラも生きてるということで。



「さよ〜ならーめん替え玉」



イヤミたらしく笑うゴリラはそう言い、真選組一同は構えたバズーカをぶっ放した。



「うっ…」



ーーーードォン.



「うごわァァァァ!!」



人質は全員無事に救出。でも寺院は半壊。プラマイゼロなところがバカで物騒で江戸の平和を護るカンジで、イメージマスコットのまこっちゃんは新聞の一面にもきちんと写っていた。





next.

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