サンタなんていねーんだよって言い張る奴こそホントはいるって信じたいんだよ
雪も降る寒い夜に、私と銀ちゃんは肉まんを買うためだけにコンビニハシゴした。
『あ〜寒…思った以上に時間かかったし』
「大体なんでこんな寒い日にこんな所まで。肉まん位おいとけや腹立つな〜」
買わずに帰らないあたり私も銀ちゃんも神楽に甘いよな。まあ、せっかくのクリスマスだし、肉まんなんて安いもんだし。
「あっ、あんまんも買っときゃよかったな。俺肉まんあんまり…」
ーーーードガシャ.
『ん』
隣にいた銀ちゃんが消えた。と思えば、雪で滑ったらしく、地面に仰向けに倒れる間抜けな姿が。
『何やってんの。つか、肉まんは?』
見当たらず問いかけると、起き上がった銀ちゃんは潰れた肉まんの袋を見せてきた。おい嘘だろ。
「…あーあ、潰れちまったよ」
「あーあ、潰れちまったよ!」
は?
「どーすんのコレ!お前のせいだよコレ!!」
下り坂の向こうに、真っ赤な服着たジジイと茶色い物体がいた。
「こんなソリメチャメチャにしちゃってさァ!!もう今年終わりだコレ!全部お前のせいだからなコレ!!」
「ふっざけんなよクソジジー!坂道下る時は必ずソリから降りるっていう約束だっただろーがァ!!こっちはもうソリを引いてるというより追われてるカンジだったんだよ。スネにガンガンソリがあたってんだよ!血だらけなんだよもう!」
「そんなもんお前がソリを上回る速さで走ればいい話だろーが!!トナカイだろーが!!あん!?お前の親父はそりゃあスゴかったよ!坂道でもグングンソリを引っぱってさ、そりゃあ立派なトナカイだった!」
「アンタえらい親父を気に入ってるようだけどな、親父は家でアンタの悪口ばっか言ってたから!言っとくけど!!」
「ウソつくんじゃねェ。カールと俺は主従をこえた戦友だぞ!!」
「いやマジ言ってたって!遺言が「アイツホントはヒゲ茶色」だったから!!」
「てめェェェェ!!デケー声で言うんじゃねェ!!クリスマスの時だけ白く染めてるなんてしれたら事だろーがァ!!」
「テメーで全部バラしてるだろーが!!」
あそこ通るし、近所迷惑だし、こりゃエスカレートしそうだなと銀ちゃんと顔を見合わせて止めに入る事に。
「オイオイちょっとちょっと、おちつけって何やってんだアンタら」
取っ組み合い始めたから宥めようとすると殴られた。
「『いだっ!!』」
このっ…。
「てめえェェェ何しやがんだ!!」
『上等だゴラ面かせ!!』
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