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次々と現れる天人を相手にしてるうちに、高杉の奴は姿を消していた。売るだけ売ってあんにゃろォォォ!!!
ーーーードシャ.
「なっ…」
甲板への出口に立つ天人共をヅラと斬り倒す。
『邪魔なんだけど』
「どけ。俺達は今虫の居所が悪いんだ」
「架珠!」
「桂さん!!」
万事屋メンバーとエリザベス達と背中合わせに合流する。勢揃いしたなやっとこさ。
「…よォ、ヅラ。どーしたその頭、失恋でもしたか?」
「だまれイメチェンだ。貴様こそどうしたそのナリは。爆撃でもされたか?」
「だまっとけやイメチェンだ」
「どんなイメチェンだ」
血まみれで体中ボロボロになるイメチェンは願い下げだ。
「桂さん!ご指示を!!」
「退くぞ」
「えっ!!」
「紅桜は殲滅した。もうこの船に用はない。うしろに船が来ている、急げ」
「させるかァァ!!」
「全員残らず狩りとれ!!」
ーーーーダン.
向かってきた天人共へと刀を振る。
ーーーーズシャァァ.
「退路は俺達が守る」
「いけ」
「しかし…!」
「銀さん!!」
「架珠!」
まだ渋る神楽達に振り向くと、エリザベスが二人を脇に抱えて走り出した。
「わっ!!離すネ、エリー!」
頼もしいなエリザベス。
「行けェェ!!あの三人の首をとれェェ!!」
ーーーードウ.
「わァァァ!!」
勢いよく向かってくる天人達に、私らはそれぞれ刀を振るって自分以外を斬っていく。
「ひっ…ひるむなァァ!!」
「押せ!押せェェたたみかけろォォ!!」
かけれるもんならかけてみろや!!
「銀時ィ!!架珠!!」
「あ!?」
人が体力すり減らして刀振るってる時になんだ!?
「世の事というのはなかなか思い通りにはいかぬものだな!国どころか、友一人変えることもままならんわ!」
「ヅラぁ、お前に友達なんていたのか!?そいつぁ勘違いだ!」
『アンタ友達ゼロでしょ!?』
「斬り殺されたいのか貴様らは!!銀時ィィ!!架珠!!」
「あ゛あ゛あ゛!?」
『なんだよォ!』
ーーーーザッ.
「お前達は、変わってくれるなよ」
背中合わせに息を整える。しんどい…歳かな…考えたくない。
「お前達を斬るのは骨がいりそうだ。まっぴら御免こうむる」
「ヅラ。お前が変わった時は、俺らがまっ先に叩き斬ってやらァ」
『葬儀も任せな』
ーーーージャキ.
「高杉ィィィ!!」
「そーいうことだ!」
春雨の船で高みの見物していた高杉に刀の切っ先を向ける。
「俺達ゃ次会った時は仲間もクソも関係ねェ!」
『覚悟しとけェ!全力で…』
「「『てめーをぶった斬る!!』」」
ーーーーバッ.
「せいぜい街でバッタリ会わねーよう気をつけるこった!」
「なっ…」
走り出した私らは刀を放って船から飛び降りた。
ーーーーバサッ.
おお…すげェ。
「ブハハハハハさ〜らばァァ!!」
パラシュートを仕込んでいたヅラへと私と銀ちゃんはしがみつく。
「逃がすなァァァ!!」
「撃てェェェ!撃てェェェ!!」
間近に何発も大砲が放たれる。あぶねーな。
「用意周到なこって。ルパンかお前は」
「ルパンじゃないヅラだ。あっ、間違った桂だ。伊達に今まで真選組の追跡をかわしてきたわけではない」
威張れる理由じゃねーよなそれ。
「しかしまさか奴も、コイツをまだ持っていたとはな…」
ヅラが取り出したのは教科書だった。
「…始まりはみんな同じだった。なのに、随分と遠くへ離れてしまったものだな」
地上へ大分近づいてきた頃には、もう爆撃も収まっていた。どうやら向こうも諦めたようだ。
『アンタも高杉もよく持ってたねそれ』
「お前はどうしたんだこれを」
『ええと…あ、ヤベ。なくしたかも』
「振り落とすぞ貴様」
「ズボラな証拠だな」
『銀ちゃんはそもそも覚えてんのこれ』
「ああ」
お。
「ラーメンこぼして捨てた」
まさかの結末だった。
next.
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