闇夜の虫は光に集う
ーーーーガキィィィン.
あの場を新八と神楽に任せ、行く手を邪魔する浪士共をヅラと斬り倒して行った先に、やっと目当ての人物を見つけた。
「架珠、ヅラ、あれ見ろ。銀時が来てる」
悠々と座って屋根を見上げる高杉は愉快そうに見物している。
ーーーーズオオオン.
凄い音に見上げると、刀持った銀ちゃんが紅桜を持つ似蔵と対決していた。
「紅桜相手にやろうってつもりらしいよ。クク、相変わらずバカだな。生身で戦艦とやり合うようなもんだぜ」
銀ちゃんとやり合う似蔵の動きを眺める。以前会った時とはまるで違う動きだ。
「…もはや人間の動きではないな。紅桜の伝達司令についていけず、身体が悲鳴をあげている。あの男死ぬぞ…」
命かけすぎだろオッさん。
「貴様は知っていたはずだ、紅桜を使えばどのような事になるか。仲間だろう、何とも思わんのか」
「ありゃ、アイツが自ら望んでやったことだ。あれで死んだとしても本望だろう」
立ち上がった高杉が刀を抜く。
「刀は斬る。刀匠は打つ。侍は…なんだろな。まァ、なんにせよ、一つの目的のために存在するモノは、強くしなやかで美しいんだ。そうだ。剣のように」
鋭く光る銀色の刃に、なんとなく銀ちゃんが思い浮かぶ。
「クク、単純な連中だろ。だが嫌いじゃねーよ。俺も目の前の一本の道しか見えちゃいねェ。あぜ道に仲間が転がろうが誰が転がろうがかまやしねェ」
似蔵がここで銀ちゃんに倒されようが気にしないのか…。
ーーーードォォン!
大きな音が轟き、屋根をもう一度見上げると、銀ちゃんと似蔵の姿がなかった。
決着、ついたのか…?
next.
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