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「待て、落ち着け。何もしらせなかったのは悪かった、謝る。今回の件は敵が俺個人を標的に動いていると思っていたゆえ、敵の内情を探るにも俺は死んでいる事にしていた方が動きやすいと考え何もしらせなんだ。なにより俺個人の問題に他人を巻き込むのは不本意だったしな」



周りの奴らが刀構えてこっち走ってきたのを見て、新八と神楽と頷き合う。



「ゆえにこうして変装して」



ーーーーガシッ.



「?」



ヅラの足を新八と神楽が掴む。



「「だからなんでエリザベスだァァァァ!!」」

「ぶごをををを」



ヅラ、子供を怒らせちゃいかんよ。大回転するヅラで敵どもをぶっ飛ばす。



「うおおおおお!!近寄れねェ!まるでスキがねェ!!」

「何やってんスかァ!!」

「!!ん、アレは」



ん?

銃を構え出していた女の隣で男が何かに気づく。なに?見ると、遠くに船が見えた。



「オイアレ、なんかこっちに」



近づいてきてね?



「!!」



エリザベス!

ーーーードン!!!



「うわァァァ!!」

「船がつっこんできやがった!」

「なんてマネを!!」



船首に立つエリザベスに気づいた直後、その船はこちらの船につっこんできた。



「高杉ィィィィィ!!貴様らの思い通りにはさせん!!」

「チッ!!全員叩き斬るっス!!」



つっこんできた船からエリザベスを先頭に一斉になだれ込み、あちこちで刃がぶつかり合う音が響く。



「エリザベス…みんな」



私らを守るように取り囲むヅラの仲間達。



「すみません桂さん。いかなる事があろうと勝手に兵を動かすなと言われておきながら、桂さんに変事ありとききいてもいられず」

「かような事で桂さんが死ぬ訳ないと信じておりましたが、最後の最後で我らは」

「やめてくれ。そんな顔で謝る奴らを叱れるわけもない」



号泣じゃんか。よっぽど慕われてんだなヅラ。



「それに謝らなければならぬのは俺の方だ。何の連絡もせずに」

「桂さん。あなた、一人で止めるつもりだったんでしょう。かつての仲間である高杉を救おうと、騒ぎを広めずに一人で説得にいくつもりだったんでしょう」



刀を振るう奴らの隙間から、この場を立ち去る高杉の姿が見えた。



「それを我らはこのように騒ぎたて、高杉一派との亀裂を完全なものにしてしまった。これではもう…」

「言うな…奴とはいずれ、こうなっていたさ」

「[桂さん。ここはいいから早く行ってください]」



背を向けたままエリザベスがボードを見せる。



「[まだ間にあいます]」

「………エリザベス」

「[今度はさっさと帰ってきてくださいよ]」



目を丸くしていたヅラは一度目を閉じると走り出した。



「すまぬっ!」



すぐさま私らも後を追う。



「!!お前ら…!!」

『私らが単独行動を許すと思ってんの?』

「ここまで来たら最後までつき合いますからね!」

「ヅラぁ。てめっ、帰ったらなんかおごるアル!!」

「お前ら…」



あと金も払えよ!

ーーーードン!



「!!」



銃声に走っていた足を止める。銃ということは…。



「晋助様のところへはいかせないっス」

「悪いがフェミニストといえど鬼になることもあります。綿密にたてた計画…コレを台無しにされるのが一番腹がたつチクショー」



二丁の拳銃を器用に操る女と、刀を構える男が立ちはだかる。



「チッ」



急いでるところに邪魔が入るのはお約束だけど、こっちの戦力も負けてないぞ。



「!」



新八、神楽が前に出る。



「ヅラぁ。私、酢昆布一年分と「渡る世間は鬼しかいねェチクショー」DVD全巻ネ。あっ、あと定春のエサ」

「僕お通ちゃんのニューアルバムと写真集とハーゲンダッツ100個お願いします」

『どうせだからもっとねだっとけ』

「あっ、やっぱ1000個」

「あっ、ズルイネ!じゃ私酢昆布十年分!!」



万事屋の給料じゃ買えないからね。



「おい何を!」

『私も残ろうか』

「いらんわァ!」

「早く行けェボケェ!」



傷つくわ。



「待て!お前達に何かあったら俺は…銀時に合わす顔がない!」

「何言ってるアルか!!」



二人が一斉に踏み出す。



「「そのヘンテコな髪型見せて笑ってもらえ!!」」



やっぱヘンテコだよな、髪。さっさと走り出した私に一瞬たたらを踏んだヅラだが、すぐに走り出した。



「架珠、本当にいいのか…!」

『いいんだよ』



任せられるくらいには強いし、なにより信用してるんだから。





next.

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