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バカとワルは高い所がお好き







ーーーードォン!ドォン!ドォン!



「うわわっ」

『うわー。私らもろとも仕留めかねない勢いで撃ちまくってんな』



ヅラの仲間達が高杉一派がいるこの船に向かって大砲をぶっ放すものだから、足場が揺れる揺れる。



「船が滅ぶのが早いか、僕らが神楽ちゃんを見つけるのが早いか…」

『どこいんだろね、神楽のヤツ』

「高杉ィィィィィィィィィ!!」



ん?



「貴様ァ、志同じくする尽忠報国の士でありながらァ、我らが攘夷志士の暁、桂小太郎を殺めた罪許し難し!!」



窓から顔を出すと、船の先に立つ男が叫んでいた。



「我らはもう共に歩む仲間ではない!志の遠く離れた敵である。よってここに天誅を下さん!!」



ーーーードォン!



「『ギャアアアアどこ狙ってんだァァァ!!』」



私らの真横の海へと大砲を撃ちまくるヅラの仲間達。ノーコンすぎんだろ!!



「ハイ、きけェェェェ!!」

「あ!架珠さん、アレ!」



あ、神楽見っけ。高杉の部下どもに囲まれた神楽は、船の先で磔にされている。

ーーーードォォン!

また大砲が撃たれる。私らは慌てて船の甲板へと出る。



「ブハハハハ。バッカじゃねーの!!私あんな連中となんにも関係ないもんネ!!勘違いしてやんの〜!ププッ、恥ずかしい」

「何浮かれてんの!?お前が一番危機的状況なんだよ!」



その状態でも相手をバカにする神経は尊敬するわ。

ーーーードォン!



「げっ、また!!うわァァァァ!逃げろォォォ!!」

「ちょっ!お前らそんな無責任な!」



本当に無責任だなお前ら!!神楽を置いてさっさと逃げ出す部下どもとは逆方向へと走り出す。



「わっ!うわァァァァァ!!」



神楽!!

ーーーードォン!

船の甲板へと放たれた砲弾。その衝撃に辺りには煙が立ち込める。



「チッ。何の役にも立たなかったっス」

『ちょっとちょっとォ』

「!!」



悪夢に出そうな顔面の男と銃ぶら下げてる女が驚いた顔をする。



『うちの娘になにすんのさ。慰謝料払え慰謝料』

「お待たせ、神楽ちゃん」



神楽はちゃんと、砲弾が当たる前に救出したさ。



「架珠っ!新八!!」



笑う神楽は特に怪我がなさそうだ。さすが。



『一人タイタニックは楽しかったか?』

「好きでしてないネ。あいつらの趣味ヨ」

『相手がいないからって、いたいけな少女になんてことをさせんだ!やっぱ慰謝料払え慰謝料ォ!』

「払うかァァァ!どうでもいいんスよそんなこと。お前ら一体…!?」



ーーーーグン.

ん?



『なに?なになになになに?なにこれ?』

「新八、地面が近づいてるネ。ちゃんと持ってヨ」



なんか、微妙に…重心が斜めに…。



「あ」

「どうしたんスか先輩」



え?



「船が動き出したんですよ」



このタイミングでかオイ。空へと浮かびだした船は傾斜が凄まじい。



「『んごををををををを!!』」



なので滑り落ちていく貨物に負けないようコレでもかと走り続ける。キッツぅぅぅぅ!!



「何者っスかァ!!オイぃぃ答えるっス!!」

「また子さん、走る事に集中した方がよさそうですよ。ああなります」



転がっていく部下に混じって顔面に瓶を喰らった先輩とか呼ばれてた男も転がっていく。ああはなりたくない。



「ダメッ、もう落ちる!架珠さん!どうにかしてください!」

『できるかァァ!とにかく走れって!!』

「神楽ちゃん。助けに来といてなんだけど助けてェェェェェェ!!」

「そりゃねーぜぱっつァん」

「『のん気でいいなてめーはよう!!』」



磔のままだから新八に抱えられてる神楽は走る労力がいらない。



「架珠。私こんな所までヅラ捜しに来たけどやっぱり見つからなかったネ。ヅラは…どうなったアルか?銀ちゃんは…なんで銀ちゃんいないの」

『…ごめん、今走ってっから』

「架珠」



なんて言おうかねェ…。

ーーーードォン!



「『!!』」



間近に落ちた砲弾に吹き飛ばされる。あっぶねェェェェ!なんとか直撃は免れたが、崩れた船の壁の向こうに神楽が投げ飛ばされてしまった。



「神楽ちゃ…」







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