傘の置き忘れに注意
「高杉晋助。その人が…桂さん失踪と岡田仁蔵に関わる重要人物だと?」
エリザベスの案内でヅラの仲間達と合流し話を聞く。
「俺達も桂さんを探すかたわら色々調べたんだがまさかね、俺達と同じ攘夷浪士の仕業だったとは」
「それに高杉晋助といやぁ、かつて桂さんやそこの血染めの舞姫さんと共に攘夷戦争を戦った盟友…そいつが、なんで…姐さん、何かわかりますか?」
『姐さん言うな』
もっとないのか呼び方。
『知るわけないでしょ。それより、他に何か知ってることはないの?』
「はい。噂じゃ高杉は人斬り仁蔵の他に、紅い弾丸と恐れられる拳銃使い来島また子、変人謀略家武市変平太、そして、仁蔵と同じく人斬りと恐れられる剣豪河上万斉らを中心に、鬼兵隊を復活させたとききましたが…」
「鬼兵隊?」
「かつて高杉が率いていた義勇軍さ。文字通り鬼のように強かったって話だが」
「連中は秘密裏に強力な兵器を開発しているともきく。強力な武装集団をつくり、クーデターを起こすのが恐らく奴の狙い」
「桂さんは、最近では武力による攘夷を捨てて別の道を探しておられた。袂を分かったかつての仲間にいらだちでも感じていたのでしょうか高杉は」
『…さァね…』
高杉はわからん。わかりたくないが。
「なんにせよ、このままだまってるわけにいかん!」
「エリザベスさん。高杉の所へ乗りこみましょう!!」
おいおいおい…。
「血染めの舞姫もいるんです!今こそ桂さんの敵を」
「高杉の首をとりに!」
「[おちつけ]」
『だーもー盛り上がるな!静まれっつの!』
ヅラの奴よくまとめていられたな!話聞けよお前ら!
『!』
騒ぐ浪士達の向こうで、廊下へと出て行く後ろ姿が見えた。あれ、新八?
『新八!』
「[待て!]」
『そんなんで待つか!』
聞こえてねーから待てねーだろそれ!
『新八追いかけるから、ここは任せたよ』
「[わかった]」
バタバタと階段を駆け下りていった新八は、港まで来た。船が停泊しており、その船は神楽がいるらしい船だ。
『新八』
「!架珠さん」
建物の陰から船の様子を伺っていた新八へと背後から声をかける。
『勝手に動き回らないでよね』
「すみません…でも、銀さんが動けない今、早く神楽ちゃんを助けなきゃと思って…」
『一人で行ってどーすんのさ。見てみ?浪人ウヨウヨいるってのに。ここでライフポイントゼロになるって。魔王の城につけないって』
「RPG架珠さんだって苦手のくせに。でも、確かに恐そうな人ばっかですよね…!?」
ん?
ぎょっと新八の顔が固まったので、何かと顔を向けて目を剥いた。
「『(なんか変なのいるぅぅ!!)』」悠々と歩くのは、黒いロン毛のカツラかぶったエリザベスだった。いやウソだろおいッ。
「オイ、なんだ貴様。あやしい奴め」
案の定目立って絡まれた。
「こんな怪しい奴は生まれて初めて見るぞ」
「怪しいを絵に描いたような奴だ」
確かに。
「ちょっ…何やってんのォォォあの人ォォ!?」
『あれ人なの?』
「あっ、人じゃなかった。いやてか、あぶない!!やられる!!架珠さん、助けに…」
『いや待った』
エリザベスがいつもの札を見せた。
「[すいません。道をおうかがいしたいんですが]」
「あ?」
なんだ?
「[地獄の入口までのな!!]」
ーーーードォン!!!!
あたりに轟く爆音。口から飛び立たせた大砲をぶっ放したエリザベスに、浪人共は腰を抜かしへたり込む。
「何してんだてめェェェェ!!」
「くせ者ォォ!!くせ者だァァ!!」
騒ぎに周りの輩も集まってきた。
ーーーージャカ.
『!』
「ぶッ」
エリザベスに投げ渡された刀をキャッチしたら刀の先が新八の顔面に直撃。ごめん。
「[早くいけ]」
エリザベス…。キャッチした刀を握りしめる新八と頷き合う。
「うおおおおお!!」
待ってろ神楽!
新八と共に船へと向かった。
next.
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