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走り続けてこそ人生







「おうおう、キレイに直ってるじゃねーか。ほとんど全壊してたのにスゲーな、オイ」



なんか、車に突っ込んで大破したらしい原チャリが直ったと連絡が来たので、平賀のじーさんトコに来た。



「あったりめーよ。俺を誰だと思ってんだ」

「指名手配犯」

「お前は人の傷口ほじくって楽しいか?」

「冗談だよ〜ホラァ、バイクの傷口をほじくってくれたお礼にさァ、俺もアンタの傷口を…」

「ほじらんでええわい!」



一応、指名手配犯だったねじーさん。



「いやいやアリガトよ、じーさん。さすが江戸一番のからくり技師、平賀源外だ」

「わかりゃいいんだよ。で、金のことなんだがな」

「またなんかあったらよろしくメカドッグな」

「いや金のことなんだがな」

『これからジャンプ買いに行かなきゃだから』

「じゃーな」

「いや、金…」



修理代なんて払う金ねーよ。ジャンプ買う金ならあるけど。

さっさと原チャリに乗り私らはその場を去る。



「……」



ーーーーピッ.
ーーーーガポン.



「『ん』」



アレ?タイヤがない。



「『うごぉぉぉぉぉ!!』」

「ジジーてめっ、細工してやがったな!」

『タイヤどこいったァァァ!?』

「フン…金の切れ目が縁の切れ目だ。あばよ」



あばよじゃねーよォ!



「あわわわわ!!」

『ブレーキ!ブレーキ!』

「無理!これ無理!死ぬ死ぬ死…」



建物の影から、バイクが現れた。



「「『!!』」」



死ぬ!!!



「「『うわァァァァァァァァァ!!』」」

「!」



ーーーーガラガラガシャン.

盛大に接触事故を起こしてようやく止まった原チャリ。良かった、死ななかった。あちこち痛いけど。



「いでで」

『死ぬかと思った…』

「オイぃぃぃ!大丈夫かァ!?」



事故った私らにじーさんが駆け寄る。



「オメーら、一般人に迷惑かける奴があるかァ!!」

「『アンタが車輪に細工なんかしなきゃこんな事にはならなかったんだよクソジジー!!』」

「オイ、大丈夫か!?」

「しっかりしろネーちゃん、オイ!!」



騒ぎを聞きつけ店先からも人が出てくる。

ーーーームクッ.



「大丈夫です。ちょっと転んだだけなんで…」

「大丈夫ですって血だらけだぞオイ動くな!」



スゲーな、このねーちゃん。頭から血流しながらも元気って。



「いや、ホント大丈夫です。私、ホントちょっといかなきゃダメなんで」

「どこへ!?無理!無理無理無理!違う所いっちまうぞ!!」



バイクのハンドルだけを構えるねーちゃんは色々とヤバイ。



「!!うごっ…苦し」

「オイぃ!!しっかりしろ!」



突然胸元を抑えて蹲ったねーちゃんに、こちらも焦る。ヤバイ、打ち所悪かったとか!?



「バ…バイクを、早く私をバイクに、私…走り続けないと…風を感じないと…死んじゃうん…」



ーーーードサッ.

なんか、力尽きて倒れてしまったねーちゃん。



「…なんだコイツ?」



さァ?







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