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恋にマニュアルなんていらない







前回までのあらすじ。電車で酔っぱらいにからまれている猫耳女を助けた新八はなんやかんやでその女とデートすることになったのであった。



『………いい?こんなカンジで』

「なんやかんやってなんですか。もっとちゃんと説明して下さい、私達が尾行している状況も含めて」

『あー、じゃあもう銀ちゃん』

「俺かよ。あの、アレ…俺も新八から詳しく聞いてないのでしらないのであった」

「しらないのであったってそんな無責任なあらすじ聞いたことないわ」

「もうなんかだるいのであった」

「だるいって言うな」

「姉御、こんな無気力な奴らには無理ネ。私がやるアル」



ーーーーケーキがうまかったのであった。



「「『それお前のことだろ』」」



あらすじでもなんでもない感想じゃねーか。



「あなた達さァ、あったってつければなんでもいいと思ってるでしょ」

「確かにアレはうまかったのであった」

『以下同文なのであった』

「もういいです私がやります」



ーーーー侍の国。私達の国がそう呼ばれていたのは今は昔の…「オイ戻りすぎだろォ!!単行本何冊分のあらすじ!?」



十巻分だね。



「順を追って説明していくのであった」

「お前は黙ってろなのであった」

「いやお前の方が黙ってろなのであった」



もはや会話じゃねーか。

カフェで一休みする新八達を、離れたテーブルでサングラスかけて雑誌や新聞紙を読むふりしながら様子を伺う。そのうち猫耳が目にお茶をかけるドジっぷりを見せつける。



「おかしいなァ、なんだか私ドキドキしてるみたい。てへ」



ぺろりと舌をだして、額をコツン?

ーーーーバリィ.



「……何やってんの」



雑誌を引き裂いた私らに銀ちゃんが問いかけるけど、わかんねーのか男は。



「私、あこがれの人とペアルックで歩くのが夢だったんです。あっ、言っちゃった〜」



ーーーーガシャァァン.



「…何してんのちょっと…いい加減にしてくんない」



テーブル破壊する私らと違って冷静な銀ちゃんが信じらんない!!



「何コレ!何この気持ち!なんかイライラすんですけどあの娘!!どうしたらいいの!?私はどうしたらいいの!?」

『じっとしていられない!抑えきれない!自分でも戸惑うこの気持ちのやりどころってどこへェェ!?』

「いだだだ!!」

「胸ん中になんか黒いものがァァ!!とってェェ!!この黒いやつとってェェ!!」



もう我慢できなくて私らは銀ちゃんに八つ当たり。



「一緒に歩くぐらいでそんな大げさな。じゃあ今から…いきましょうか」

「えっ、ホントに!いいんですか?」



あ?



「よかった、勇気出して。アレ?なんでだろ、前がかすんで見えないや」



あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!



「「『一生何も見えなくしてやろーかァァァ!!』」」

「だから何で俺!?直接いけって!!」



散々銀ちゃんをボコりにボコッて、ようやく落ち着いた私らは新八達の尾行を再開。

にしても、新八の奴マジであんな女と付き合うの?え?男共ってあんなんがタイプなの?男は女をなんだと思ってんの?

尾行を続けると、やがて通りがラブホ街へと。会って早々にそれは新八にはキツイって。あと隣のお妙さんがマジで恐いデス。



「一番安い部屋で」

「いやだァ、私ィ、あのベッドが回る部屋がいいわん」

『えー?私はァ、あのガラス張りの部屋がいいなァ』



新八達を追いかけて私ら大人三人も潜入。



「どっちも冗談じゃねーよ、あんな高い部屋。お前らが回ってすけるとんになりゃすむことだろ」

「『それ、どういう意味?』」

「あの、道具とかもサービスしてますけど。ろうそくとかムチとか」

「バズーカで」



あ、お妙マジだわ。



「いや、バズーカなんてないから」

「バズーカであのブリブリ女を撃ち殺すんです」

「オイ、お前いい加減にしなさいよ。すいませんね、コイツの言ってるバズーカはこっちのバズーカのことでね。まァ俺のはバズーカというより波動砲ですけどね」

『誰も聞いてねーよ』



裏拳で銀ちゃんの顔面を殴る。苛立ち募ってるから些細なことでイラッとしてしまう。



『それより、このホテルに眼鏡と猫耳の若いカップル来ませんでした?』

「悪いけど、そういうのはしゃべっちゃいけないことになってるからねェ。それよりさァ、アレ…なんとかしてくんない?」



え?アレ?



「おたくらでしょ?アレ連れてきたの。ウチ子供は入れられないからね、困るんだけど」



…神楽ちゃん?



「だから大人って嫌い!!不潔よ!!淫よ!!インモラルよ!!パパなんて大嫌い!!」

「どーゆう設定!?」



入口で叫ぶ神楽は、子役にでもなれるんじゃないかと思う………って…。



「ん。アレ?」



スタスタと店を出ていくあの猫耳は…。






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