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ネットでも最低限のエチケットはもって







郵便物が届いて宛先を見ると、新八宛てのもの。万事屋の住所使ってんだからいーだろと開けて見ると、中には猫耳カチューシャと手紙と、美味しそうなワンホールのケーキ。



「ニャオォォォォ!!」



猫耳つけた神楽が大はしゃぎで猫マネ。ノリノリだな。



「どうコレ銀ちゃん、架珠、カッコイクね?」

『アンタのカッコイイの基準がよくわからん』

「オイオイ、あんまり勝手にいじるんじゃねーよ。それ、新八宛てだぞ、箱に戻しとけ」

「なにさ、銀ちゃん達だって勝手に中に入ってたケーキ食べてるクセにさ」

「いいんだよ、食いもんは胃袋に入れれば証拠隠滅できるだろ」



うんまーこのケーキ。



「あ、ヤベ。そろそろ新八来るな。戻そ」

「あっ、ズルイヨ。私まだ一口も食べてないネ」

「あー、お前ダメだって」



静止も聞かず神楽は手掴みでケーキを食べ始めた。ワイルド過ぎるぞ。



「おーうマイルド〜」

「お前よォ、なんか最初からこんなカンジだった的な食べ方をした俺の計画がグダグダじゃねーか」

『もちっとココを削ればいんじゃね?』

「しょうがねーな、お前も手伝え。丸いカンジな。丸いちっちゃいケーキをつくるカンジな」

「ウン」



ちょっとずつ円を目指して食べ進める。マジうまい。



「いや、そーいう丸じゃなくて円柱っぽく…」

「ウン」



で、結果。



「銀ちゃんヤバイヨ、ポッキー並みのはかなさアル」



ワンホールあったケーキは、ろうそくのような細長い出来栄えに。



「ポッキーが何故うまいかしってるか?それははかないからだよ」

「そうかァ、だからヤクルトもオイシイアルか」

『人生もまた然りだねェ』

「よし。じゃっ、かたづけるぞ」

「お前らをなァ!!」



ーーーードゴォッ.

頭押さえつけられたかと思う、テーブルに顔面強打。いってェ!!



「なに人の郵便物勝手に開封してんのォォ!!人にはやっていいことと悪いことがあるでしょうがァ!!」



銀ちゃんには頭突きをしたのか新八の額から煙が出てる。てか…。



『ちょっと新八、アンタいつの間にいたのさ。いつからいたの』

「お前いるならいるって言えよ。そうして俺達を踊らせて楽しんでたワケか」

「陰湿ネ!最低アル!」

「陰湿で最低なのはオメーらだよ!!」



とりあえず、ケーキ食い始める前はまだいなかったよな、確か。



「あの…アレだから。別に何も見てないから。ケーキ食べただけだから」

『甘いものはちょっと我慢できなくってさ』

「ウン、別に手紙とか見てないヨ」

「バカ!!」

「手紙!?」



なんで言っちゃうかな神楽!知らんぷりしておこうとした手紙を銀ちゃんが差し出すが、その手紙はテープで継ぎ接ぎを接着されたもの。



「あの、コレ、ちょっと破けてっけど違うよ。最初からなんかこんなんだった。別に中とか見てないから」

「ウン、別にデートとかしらないヨ」

「!!」

「アホ!!」

『神楽ちゃんお口チャック!!』



マジ黙れお前。もう遅いけど。

手紙の内容はお礼の言葉で始まり、もう一度会えないかと言う、いわゆるデートのお誘いの内容だった。恋愛のれの字も体験したことないだろう新八は見ていて狼狽えてんのがわかり、私らは愉快で笑いがこぼれる。ニタニタと笑いながら冷や汗ダラダラの新八を眺めていると、ダッシュで万事屋を出て行った。


その日は結局帰って来なかったが、翌日万事屋を訪ねてきたお妙も連れて、手紙に指定された場所までこっそり向かった。寺門通の親衛隊ハッピを着た新八の姿があったけど、なんか…なに?あのデートとは不釣り合いな覇気は。



「オイオイ、戦争にでもいくつもりですかアイツは?。一人だけオーラが違うよ」

『つか、なんであの格好?あり得ないでしょデートに』

「…成程ね。最近様子がおかしかったのはこーいう事だったのね」

「手紙によると、そろそろ女も来る時間ネ」



どんな女なんだ?一体。気になるわァ。



「まァ、そーいうこった。これで安心したろ、邪魔者は退散するとしよーや」

「嫌です。未来の志村家の跡とりを生むかもしれない娘ですよ。この目で見定めます」

「気が早いェーんだよ。嫌な小姑になる匂いかプンプンするぜ」



お妙が小姑とか胃に穴があきそうだわァ。



「それにもしその娘が「けん」という名前だったらどうするんですか?一人の偉大なコメディアンが誕生してしまうのよ」

「いねーよ!!「けん」なんて名前の女!!」



探せばもしかしたらいるかもね。



「あっ、来たアル!!」

「!!」



…ん?



「ちょっ…何アレ!猫耳じゃないのォ!!きいてないわよあんなの!!」

『アレだよ、愛は星をも越えるって奴?』



だから猫耳のカチューシャ贈られてたのか。



「冗談じゃないわよ!!私、猫が大嫌いなの!!犬派なんです!」

「犬も猫も似たようなもんだろ。もしかしたらアレも犬の耳かもしれんよ、実際」

「犬だったら犬だったで志村家に嫁いだ犬、志村犬の誕生だろーがァァ!!」

「何その強引な誕生のさせ方!?帝王切開!?てめーは結局弟離れできてねーんだよ!俺ァ、てっきり新八の方にその気があると思ってたが、とんでもねー!ブラコンはオメーの方だったよ!」

「誰がブラコンよ!!私はリモコンで操作できるような都合のいい女じゃありません!」

「それラジコンだろーがァ!!」



うるせー。



『行こう、神楽』

「ウン」



場所を移動し始めた新八達に、私らは阿呆らしい言い争いをする銀ちゃんとお妙を置いて尾行をすることにした。





next.

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