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「フー、全く。仲間のフリして奴らに接触する作戦が台無しだ」
「オイ、何の騒ぎだ?ん」
「あっ、お前ら!!こんな所で何やってんだ!?」
うわァ、なんかゾロゾロ集まってきた。
「何やってんだって…全身ハチミツまみれの人に言う資格があると思ってんですか?」
「これは職務質問だ。ちゃんと答えなさい」
「職務ってお前、どんな職務についてたらハチミツまみれになるんですか」
「お前に説明するいわれはねー」
「カブトムシとりだ」
はァ!?
「言っちゃったよ。もうちょっとこう、なんか…」
「カブトムシとりぃ!?」
「オイオイ、市民の税金しぼりとっておいて、バカンスですかお前ら?馬鹿んですか!?」
『いい年した大人が揃いも揃って恥ずかしくねーのか。全国の子供達に土下座しろ』
「ブーメランだなその言葉。お前がしろ」
『いやお前がしろ』
「こいつは立派な仕事だ。とにかく邪魔だからこの森から出ていけ」
お前らが出ていけ。
「ふざけるな!私だって幻の大カブトをとりにここまで来たネ!定春28号の仇を討つためにな!!」
ああ、沖田クンにやられたのね、フンコロガシ。
「何言ってやがんでェ。お前のフンコロガシはアレ、相撲見て興奮したお前が勝手に握りつぶしただけだろーが」
沖田クン別に悪くねーじゃん。
「誰が興奮させたか考えてみろ!誰が一番悪いか考えてみろ!!」
「『お前だろ』」
訴える神楽の頭を銀ちゃんと引っ叩く。これからは力加減考えなさい神楽。
「総悟、お前また無茶なカブト狩りをしたらしいな。よせといったはずだ」
「マヨネーズでカブトムシとろうとするのは無茶じゃないんですか?」
「トシ、お前まだマヨネーズでとろうとしてたのか。無理だといっただろう、ハニー大作戦でいこう」
なんでかな。沖田クンの作戦が一番マトモに見えてしまう。
「いや、マヨネーズ決死行でいこう」
「いや、なりきりウォーズエピソードVでいきやしょーや」
「いや、傷だらけのハニー湯煙殺人事件でいこう」
上司が揃いも揃って馬鹿ばかり。
「!!あ゛あ゛、アレ、局長見て下さい!」
双眼鏡を構えていた隊士の一人が叫ぶ。
「カブト虫です!前方まっすぐの木にカブト虫が…」
なにィ!?
「「『カブト狩りじゃああ!!』」」
我先にと一斉に走り出した。
「待てコラァァ!ここのカブト虫には手を出すなァ!!帰れっつってんだろーが!!」
「ふざけんな!一人占めしようたってそうはいかねーぞ。カブト虫はみんなのものだ!」
『いーや!私のものだ!』
「いや!俺のものだ!」
誰にも渡さねェェェ!!
「クソッ。オイ、奴らにアレを渡すな!なんとしても先に…ぶっ!!」
神楽!?
「カブト狩りじゃあああ!!」
多串君の頭を踏みつけ飛躍した神楽の手が伸びる。
ーーーーガッ.
「!」
あ。
「カーブト割りじゃああ!!」
神楽の足首を掴んだ沖田クンが、そのまま神楽を地面に叩きつけた。
「カブト蹴りじゃあ!!」
ーーーーゴッ.
すぐさま銀ちゃんが沖田クンを木へと蹴りつけた。
「ワッハッハッハッ!」
「!」
高笑いに見上げると、いつの間にかゴリラが木に登っていた。チッ。
「カーブト…」
『カブト落としじゃあ!!』
思いっきり木を蹴りつける。
ーーーーズル.
「!」
ーーーードゴ.
「割れたァァァ!!」
振動にハチミツで手が滑ったゴリラは、地面に頭から落下。その隙に登ろうとするけど、多串君や銀ちゃんまで登って来てマジ、邪魔。
「カーブト…」
「言わせるか!カーブト…」
『私がカーブト…』
ーーーーザッ.
「「『ん?』」」
振り向くと、復活したらしい神楽と沖田クン。
「「カーブートー」」
…いやな予感がする…沖田クンとか、刀構えてるし…。
「…オイ、ちょっと待て」
『嘘でしょ、冗談でしょ』
「俺達、味方だろ。俺達…」
え…ちょっと…。
「「折りじゃァァァァ!!」」
ーーーーズズゥン.
「「『ぎゃああああ!!』」」
木どこ地面に落とされて、もう切れた。結局カブトムシも関係なく、私らは武器を手にしてこれでもかと暴れまくって終わった。
next.
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