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「『カブト狩りじゃああああ!!』」
「カブト狩りじゃああ!!」
迷うことなく山まで来た。
「狩って狩って狩かりまくるんじゃあ!!」
「狩って売って売って売って売って売りまくるんじゃあ!」
『狩って売ってがっぽがっぽ儲けるんじゃあ!!』
「なんでこうなるの?」
カブトムシぃぃ!!金ェェェ!!
「よし、ここを宿営地にする」
正面が吹き抜けてる簡易なものだが、屋根があるだけマシだ。テントとかさ、そんなの買う金ないんだよ。
「おめーら巨大カブトをつかまえるまで帰れると思うなよ。ビジネスで来てんだからな、ビジネスで。キャンプ感覚ではしゃぐんじゃねーよ、森は魔物だ。うかれてたら、あっという間に飲みこまれるぞ」
『大丈夫だって、ぬかりはないよ。ね、神楽』
「ウン。食糧もしっかり買いこんだし」
「食糧っていうかオヤツだよね。ピクニック気分だよね」
風呂敷いっぱいのお菓子。結構奮発したね。
「バカヤロー、何うかれてんだ。オヤツは三百円以内におさめろって言っただろーが!!」
「お前もかいィィ!」
えェ?
「残念でしたァ、酢昆布はオヤツの内に入りません〜」
『これらは全て非常食なんで、オヤツには入らないんですぅ』
「入りますぅ。口に入るものは全てオヤツですぅ。ジュース類も認めません〜」
『いいんですかァ、そんなこと言って』
「私達、銀ちゃんがこっそり水筒にポカリ入れてきてるのしってるんだからネ」
「あれはポカリじゃありません〜。ちょっとにごった水ですぅ」
「お前ら森に飲みこまれてしまえ」
さて、本題のカブトムシを探しにいくか。
意気込んで森の中を歩き出したのは言いけれど、木にカブトムシの姿は見当たらない。
「意外に見あたりませんね」
テンションちょっと落ちてきたわァ。
「スグ見つかると思ったのに…どうすればイイネ?」
「身体中にハチミツ塗りたくってつっ立ってろ。スグ寄ってくるぞ」
「んなもん変態しか寄ってこないアル」
『金持ちの変態ならお金もついてくるよ』
「いやアル。カブトムシが欲しいアル」
「流行ってるって話だし、この辺のはもうとりつくされてるのかもしれませんね。ん?」
ん?
足を止め、目を向けると褌だけの身体にハチミツ塗りたくった……なんか、見慣れた奴が立っていた。
すぐに、回れ右。
「銀サン、帰りましょうよ。この森恐いです」
「身体中にハチミツ塗りたくってたネ」
「気にするな、妖精だ妖精、樹液の妖精だよ。ああして森を守ってるんだよ」
『邪魔しちゃ悪いからさっさと行くよ』
「でも、なんか見たことある人だったんですけど…」
「ゴリネ、ゴリだったネ」
「じゃあゴリラの妖精だ。ああしてゴリラを守ってるんだよ」
『襲われる前に行くよ。ゴリラの守り神怒らせたら、恐いからね』
「ゴリラ守ってるって意味が…!」
ん?
「「「『………』」」」
木に、マヨネーズを塗りたくってる………頭おかしーんじゃねーの?
「銀サン、帰りましょうよ。やっぱりこの森恐いですよ」
「マヨネーズ木に塗りたくってたネ」
「気にするな。妖怪魔妖根衛図だよ。ああして縄張りにマーキングしてんだよ」
『ほら、関わる前に行くよ』
「でも、明らかに見たことある人だったんですけど」
「ニコ中ネ、ニコチン中毒だったアルネ」
「じゃあ妖怪ニコチンコだ。ああして二個チンコがあるんだよ」
『新八、一個もぎ取られないよう気をつけな』
「いや、二個チンコないですから。!」
今度はなによ…って。
「ぬっ…うおぁぁぁぁ!!なっ…なんじゃありゃぁぁ!!」
「オイオイウソォ?ウソだろ!とんでもねェ大物じゃねーか!」
定春より一回り小さいくらいのカブトムシが、木にしがみついていた!
デケェェェ!!!
「何モタモタしてんだ早く落とせオラァ!!」
「オラァ!!死ねオラァ!!」
『落、ち、ろ!落、ち、ろ!』
容赦無く木を全員で蹴りつければ、カブトムシは地面に落下。
「よっしゃあぁ!!これで定春28号の仇が…」
…ん?
「なにしやがんでェ」
てめーかよ!!
ーーーードゴォ.正体が沖田クンだったことに、私らは怒りをぶつけるため蹴りつけた。
紛らわしいことしてんじゃねーよ。
「お前こんな所で何やってるアルかァァ!!」
「見たらわかるだろィ」
「わかんねーよ。お前がバカということ以外わかんねーよ」
「ちょっ、ゴメン起こして。一人じゃ起きられないんでさァ」
知るか。一生そうしてろや。
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